言論NPOは、「原発再稼働を含めた日本のエネルギー政策を考える」と題して、有識者を対象にアンケート調査を行いました。調査は言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2015年3月29日から3月30日の期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった136人の回答内容を分析しました。
回答者の属性
※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。
再生可能エネルギーに重点を置くべきだとの回答が半数を超える
今後の日本の将来のエネルギーの供給体制を考えた場合、どのようなエネルギーに重点を置くべきかを尋ねたところ、「太陽光・風力発電など、再生エネルギーに重点を置くべき」(56.6%)との回答が最多となり半数を超えた。一方、「原子力発電に重点を置くべき」との回答は11.0%にとどまった。
- 「原子力発電に重点を置くべき」と回答した人の具体的記述
- 「火力発電に重点を置くべき」と回答した人の具体的記述
- 「水力発電に重点を置くべき」と回答した人の具体的記述
- 「太陽光・風力発電など再生エネルギーに重点を置くべき」と回答した人の具体的記述
- 「わからない」と回答した人の具体的記述
- 「その他」と回答した人の具体的記述
再生可能エネルギーの更なる導入に向け、意欲的な数字を2030年の目標に
昨年の4月に閣議決定したエネルギー基本計画では、再生エネルギーの導入に関して、 従来の政府目標(30年に約2割)を「さらに上回る水準」を約束しました。その後、経済産業省は2015年2月末の有識者会議において、2030年の再生可能エネルギーについて、 約22.2%の導入が見込めるとの試算を示しています。
こうした状況を踏まえつつ、経産省が示した再生可能エネルギーの比率についての評価を尋ねたところ、「さらに高い目標を追求すべきと思う」との回答が55.1%と最多となり、「当初の政府目標は上回っており妥当だと思う」との回答は20.6%を大きく上回り、更なる意欲的な数字を目標に掲げるべきとの回答が半数を超えました。
2030年時点の原子力発電は0%との回答が最多となるも、原発は必要との回答を併せると半数を超える
発電所の「40年廃炉基準」を厳格に運用した場合、2030年末の時点では現存する48基のうち30基の原子力発電設備が廃炉となり、新規を前提としない場合、2030年の原子力依存度は15%程度(2010年の実績26%)にとどまることになります。そこで、2030年の原子力発電における日本のエネルギーの供給比率はどの程度だと考えているか尋ねたところ、「全ての原子力を廃炉とし、0%を目指すべき」との回答が30.1%となり、原子力発電は無くすべきとの回答が多数となった。
しかし、「原子力発電所のさらなる廃炉により、15%以下を目指すべき」(19.9%)、「40年廃炉基準を厳格に運用し、15%ぐらいが妥当だと思う」(17.6%)、「原子力発電所の新設により、震災前の10年度実績の26%程度は維持すべきと思う」(13.2%)との回答を併せると50.7%の人が2030年時点において原発は必要との認識を示しています。中でも、原発の更なる新設が必要との声も13.2%存在しています。
原子力発電所の「再稼働には反対」との回答が最多となるも、立地自治体、もしくは周辺自治体の同意を得れば「再稼働には賛成」との回答が半数を超える
最後に、原子力発電所の再稼働について尋ねたところ、「そもそも再稼働には反対」(37.5%)との回答が最多となりました。一方で、再稼働には賛成との回答は「安全審査に合格した原発は立地自治体の同意を得て再稼働することに賛成」(27.9%)、「安全審査に合格した原発も、原発から30キロ圏内にある周辺自治体の同意も得て再稼働することに賛成」(25.0%)を併せると、52.9%と半数を超えました。