評価の視点
日本は今、急速に進む少子高齢化、人口減少など、非常に大きな課題に直面しているが、その中でも、特に、地方の衰退は非常に深刻な状況にある。毎年、地方圏から東京圏へ、20代の若者を中心に約10万人が流出しており、2040年には全国896の市区町村が「消滅可能性都市」に該当し、そのうち、523市区町村は人口が1万人未満となり、消滅の可能性がさらに高いとされている。
急速に人口減少と高齢化社会が進む中、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げ、どのように地方を再生していくのか。これまで地方政策といった場合、地方分権によって国の権限や財源をどうやって地方に移譲していくかということが大きなテーマであったが、地方再生に主眼が移ったことで、地方に関する政策が人口減少対策や経済再生の中で、語られることとなった。
こうした状況下で、①各党は、地方の人口減少に歯止めをかけ、地方の活性化に向けて、どのようなことに取り組もうとしているのか。②本来地方の主役である住民に地域の経営や将来に責任を持たせ、地域の創意の発揮により地域活性化に繋がる制度設計の実現に向けて動いているのか。③国と都道府県・市町村のそれぞれの役割をどのように定義しているのか。そうした視点から各党の公約を評価していくこととする。
加えて、東日本大震災から5年余り、熊本地震から2カ月余りが経過した。地方の衰退が始まる中、各党は被災地の未来をどのように描き、復興・防災に向けてどのように取り組んでいこうとしているのか。また、遅々として進まない福島第一原発の廃炉への道筋など、福島の再生をどのように進めようとしているのか評価していくこととする。
【 評価点数一覧 / 自民党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
4
|
目標設定(10点)
|
2
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
2
|
|
合計(40点)
|
8
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
5
|
課題解決の妥当性(20点)
|
5
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
3 | |
合計(60点)
|
13
|
|
合 計
|
21
|
【評価結果】自民党 マニフェスト評価 合計 21 点 (形式要件 8 点、実質要件 13 点)
【形式要件についての評価 8 点/40点】
自民党は、地方創生の実現を目指し、地方に仕事と人を呼び込み、「まち」を活性化する総合的な政策を展開すること、地方が自主的に取り組みを進める政策を応援し、地方が主役の地方創生を目指すことを掲げた。これにより、国が総合的な政策を展開することと、地方が自主的な取り組みを提示し、それを国が応援していくという2つの方法で地方創生を目指す方向が提示された。
その実現に向けて、3月末に各地方自治体に義務付けた総合戦略に基づき、意欲的な取り組みを地方創生推進交付金、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)などで積極的に応援していくこと、政府関係機関の地方移転への取り組み、企業の本社機能の地方移転の積極支援など、政府が現在進めている施策を与党として盛り込んだ。
また、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための様々な政策を列挙している。政策メニューは提示されたが、そうした政策の具体的な目標や達成時期、財源などを説明したものではない。
震災からの復興については、東日本大震災の復興を加速し、熊本地震被災地の位置にも早い復旧・復興のため、法整備の検討も含め、必要な施策を全力で取り組むとしている。特に、東日本大震災については「集中復興期間」後の「『オールジャパン体制』を一層強化し、『地方創生』のモデルとなるような『新しい東北』の実現を目指します」としている。ただ、こうした震災復興がいつ完了するのか、そもそも「新しい東北」が何を表しているのかが説明されていない。
また、福島の復興・再生について、福島第一原発の廃炉・汚染水対策、中間施設整備など、これからも国が前面に立って取り組むことが明記され、国による主導的な解決の姿勢は再確認されたが、具体的に国がどのように取り組むのかを、説明したものではない。
【実質要件についての評価 13 点/60点】
日本では急速に人口減少、高齢化が進み、地方の消滅も叫ばれる中、地方の人口減少を食い止め、地方全体の活力を上げようとしており、認識自体は妥当である。そして、地方創生を掲げ、地方からの提案に基づき、意欲的な地域の取り組みに交付金を上乗せするなどの取り組みは自治体間の競争を促し、自治体の政策能力が求められる取り組みであり、地方と課題を共有して再生を図ろうとする方向も一定程度評価できる。
しかし、これらの公約は政府の施策を説明したものに過ぎず、政府が進める地方創生も人口減少化での地方創生に見通しをまだ示せていないことを考えれば、政策を列挙するだけではなく、地方の長期的なビジョンを提示し、国民全体で認識の共有を図るべきだが、そうした体系的な説明は公約でなされていない。
また、自民党の全体的な公約は、国と地方の役割を大きく変えていこうという今までの方向から地方創生に主眼が移っており、地方に関する政策が人口減少対策や経済再生の中で、語られることとなっている。地方衰退の危機感から、こうした課題に絞り込むことは妥当であるが、課題が人口減少下での日本と地方の将来に移っている以上、一極集中が続く東京と地方、あるいは全国一律の標準的な行政サービスの維持を目的とした現行の交付税制度、さらにこれまで進めてきた地方分権との関係との整理が必要となっているが、そこまで踏み込んだ地方再生のビジョンが示されているわけでもない。
熊本地震の復旧に対しては、熊本地震での必要用物資の「プッシュ型」供給を行うなど、東日本大震災の教訓は生きたと判断できる。しかし、東日本大震災の復興は加速する、と書いているのみで、東北の復興ビジョンを描き、その実現に向かってどのように対処していくのか、という大きな方向性は見えてこない。
また、福島県の復興については、国が前面にたって取り組むことが明示されている。しかし、昨年末の安倍政権3年の実績評価においても、廃炉・汚染水対策についても国が主導していくとしていたものの、廃炉の工程の遅れや、汚染水対策について、政治からの説明は限られており、国が前面に立っているとは言い難い。このような現実を踏まえながら、原発事故に見舞われた福島の復興ビジョンをどのように描き、進めようとしているのかを示すと同時に、国民に説明しなければならないと考えるが、今回の公約からはそうした具体的な取り組みについては言及されておらず、評価を下げる点である。
【 評価点数一覧 / 公明党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
5
|
目標設定(10点)
|
3 | |
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1
|
|
合計(40点)
|
9
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
5
|
課題解決の妥当性(20点)
|
5
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
1 | |
合計(60点)
|
11
|
|
合 計
|
20
|
【評価結果】公明党 マニフェスト評価 合計 20 点 (形式要件 9 点、実質要件 11 点)
【形式要件についての評価 9 点/40点】
公明党は、経済成長の果実を地方へ広げていくため、地方に関する政策は経済分野の項目の中に列挙された。具体的には、賃金・可処分所得の引き上げるため、金融・財政政策を引き続き推進していくこと、政府関係の研究・研修期間の地方移転、コンパクトシティの推進など、様々なことに取り組んでいくことを掲げている。しかし、こうした政策を実行していく上で、具体的な目標、達成時期、財源の裏付け、目標の実現に向けた工程などは明らかにされていない。
さらに、人口減少が続いていく中、各政策を実現して、地方の将来をどのように描いているのか、という大きなビジョンが示されていない中では、評価を下げざるを得ない。
震災からの復興については、熊本地震からの復旧・復興を加速することを掲げた。被災から2カ月余りということも鑑み、生活支援の加速、災害弱者に対し、旅館・ホテルなどの積極的な活用、緊急スクールカウンセラー等の派遣、インフラ復旧事業の加速など、きめ細やかな政策が列挙されている点は評価できる。しかし、その取り組みの具体策や財源は提示されていないのは評価をさげる。
また、東日本大震災については、新しい東北の展望を開く「復興・創生」を掲げたが、そもそも「新しい東北」が何を表しているのかが明らかにされておらず、公約を通じて説明すべきだと考える。
福島の復興については、「福島イノベーション・コースト構想」の実行により雇用創出と地域再生を実現するとして政策が列挙されているが、構想が目指している姿を示す必要があるが、そうしたものが公約からは読み取れない。
福島第一原発については、廃炉・汚染水対策を着実に進め、中間施設整備の整備・搬入を加速するとした。しかし、いつまでに、どうやって実現していくのかといったことは何ら語られておらず、評価は低くなる。
【実質要件についての評価 11 点/60点】
急速に人口減少と高齢化社会が進む中、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的として、第二次安倍政権から地方創生が展開された。そちらに主眼が移ったことで、地方に関する政策が人口減少対策や経済再生の中で、語られることとなった。 連立与党ということもあり、公明党もこの路線を踏襲していることは公約から明らかであり、課題は認識していると考える。しかし、地域経済を活性化していくことは重要であるが、地方の将来ビジョンを描いているのか、という点には何ら言及されていない。
さらに、東日本大震災の復興、熊本地震の復旧・復興について、各種の政策が列挙されてはいるものの、その前提として東北の復興ビジョンを描き、その実現に向かってどのように対処していくのか、という大きな方向性は見えてこない。
また、福島県の復興については、昨年末の安倍政権3年の実績評価においても、廃炉・汚染水対策についても国が主導していくとしているものの、廃炉の工程の遅れや、汚染水対策について、政治からの説明は限られており、国が前面に立っているとは言い難い。
このような現実を踏まえながら、原発事故に見舞われた福島の復興ビジョンをどのように描き、進めようとしているのかを示すと同時に、国民に説明しなければならないと考えるが、今回の公約からはそうした具体的な取り組みについては言及されておらず、評価を下げる点である。
【 評価点数一覧 / 民進党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
5
|
目標設定(10点)
|
1 | |
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1
|
|
合計(40点)
|
7
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
5
|
課題解決の妥当性(20点)
|
3
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
0 | |
合計(60点)
|
8
|
|
合 計
|
15
|
【評価結果】民進党 マニフェスト評価 合計 15 点 (形式要件 7 点、実質要件 8 点)
【形式要件についての評価 7 点/40点】
民進党は公約で「地域のことは地域で決める『地域主権改革』を推し進め農林水産業を守り、経済、雇用、エネルギーの面でも自立できる地域」をつっていくことを掲げた。具体的には、地方が自由に使える財源の確保として、現在、政府が行っている地方創生に基づく先行型交付金の上乗せ分(300億円)や新型交付金について、「国主導の戦略を押し付けるひも付き補助金」と批判し、地域が自由に使い道を判断できる「一括交付金」の復活させること、エネルギーの地産地消を推進するため、4つの法律をつくり、地域の特性に応じた多少なスモールビジネスを応援する等の政策を掲げた。しかし、具体的な目標、達成時期、財源の裏付け、目標の実現に向けた工程などは明らかにしていない。
東日本大震災の復興に関して、「集中復興期間」後の「復興・創生期間」の費用に関して全額国費で賄うとした。現在、16年~20年度の「復興・創生期間」の歳出規模は6.5兆円だが、被災自治体にも総額220億円の負担を求めている。しかし、その財源をどうするかは公約では明記されていない。
熊本地震からの復旧・復興については、支援金の300万円から500万円への引き上げ、支援金の対象を大規模半壊から半壊に拡大する等、被災者生活支援制度の拡充を表明しているが、引き上げることでいくらの財源が必要で、その財源をどうするか、さらにそれを進めていく工程などは明らかにしていない。
福島の復興・再生についても「原発の安全確保に万全を期し、汚染水漏れなど廃炉の課題に主導的に取り組む」「風評・風化対策への支援、除染の徹底、速やかな賠償などを通じ、生活再建・安定化を迅速に進める」としているものの、どのような形で推進していくのか、いつまでに、どのような手段を用いて実施するのか、何も示されていない。
【実質要件についての評価 8 点/60点】
民進党は地域のことは地域で決める「地域主権改革」を推し進めることを掲げ、地域のことは地域で決めるという問題意識は伺える。しかし、そうであるなら、権限や財源を含めた国と地方のあり方をどう考えているのか、という点を明らかにする必要があると考えるが、今回の公約で説明はなされていない。また、民進党は地域主権改革を進めていくための具体的な方策として、一括交付金の復活、戸別所得補償制度の法制化や、農業所得の向上、TPP合意に反対など、農業政策に関する政策などを掲げている。確かに、農業従事者が減少し、TPPなども進めている現状では、農業従事者の所得確保は必要だと考えるが、それが地域経済の立て直しにどのように繋がっていくのか体系的に説明すべきだと考える。
また、毎年、地方圏から東京圏へ、20代の若者を中心に約10万人が流出しており、2040年には全国896の市区町村が「消滅可能性都市」に該当し、そのうち、523市区町村は人口が1万人未満となり、消滅の可能性がさらに高いとされている。そうした課題に、どのような答えを出そうとしているのか、今回の公約からは読み解くことができない。
東日本大震災の復興、熊本地震の復旧・復興について、様々な支援の拡充、財源負担は国費で賄うことなどが掲げられているが、そうした財源は何ら明らかにされていない。そもそも、民進党は東北の復興ビジョンをどう描いているのか。そして、そのビジョンを実現していくために、何が必要なのか、そうしたことを明らかにして国民に説明すべきだと考えるが、今回の公約からは何ら読み解くことができない。
さらに、福島県の復興については、国が主導的に取り組んでいくことが明示されているものの、廃炉の工程の遅れや、汚染水対策をどう進めていくのか明らかではない。原発事故に見舞われた福島の復興ビジョンをどのように描き、進めようとしているのかを示すと同時に、国民に説明する必要があると考えるが、今回の公約からはそうしたことに言及はなく評価を下げる点である。
【 評価点数一覧 / おおさか維新の会】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
3
|
目標設定(10点)
|
3
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
1
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1
|
|
合計(40点)
|
8
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
4
|
課題解決の妥当性(20点)
|
3
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
2 | |
合計(60点)
|
9
|
|
合 計
|
17
|
【評価結果】おおさか維新の会 マニフェスト評価 合計 17 点 (形式要件 8 点、実質要件 9 点)
【形式要件についての評価 8 点/40点】
地方の人口減少を食い止め、地方再生をどう実現しようとしているのか、公約の中で示されてはいない。
国と地方のあり方については、道州制の実現を含む統治機構改革を打ち出し、道州と基礎自治体の二層性にすること、道州には国の役割以外の法定事項については法律に優位した条例を制定できること、自治体の課税自主権を定め、財政力の不均衡は道州相互間での財政調整などを明らかにした。さらに、大阪を副首都化する首都・副首都法の制定、地方交付税制度は廃止し、地方共有税の創設、さらに、国の出先機関は原則廃止し、職員の地方移管を進めることも主張するなど、現在の国と地方のあり方を大きく変える案を提示した点は評価できる。
ただし、大阪府・大阪市での改革を行うなど、ある程度の実績はあるとしても、その実現に向けて具体的にどのように進めていくのか、どれぐらいの期間で実行できるかなどは明らかにされていないことは評価を下げてしまう。
一方、復興については「震災復興は地元目線で。大規模災害対応であらたな原則を確立」として、ハード偏重からソフト重視の復興支援策への転換、復興財源は特別会計の剰余金等を最大限利用し、議員歳費と公務員給与を削減し、復興増税は行わないことを原則とするなど、一部財源を明示している点は評価できる。ただ、全体的に見て政策の列挙に留まり、目標や達成時期、工程などは明らかにされておらず、評価は低くならざるをえない。
【実質要件についての評価 9 点/60点】
現行の統治機構を大きく変え、党として、国と地方のあり方やビジョンを描いたことは評価できる。また、現在の国と地方のあり方に課題があり、それに対して一定程度の答えを出そうとしていることは評価できる。しかし、そうした政策を実現するために、どのような体制で、ガバナンスを持って進めていくのか、明らかにされていない点は評価を下げざるを得ない。
また、地方消滅が叫ばれる中、そうした課題にどう向き合おうとしているのか、という点では何ら明らかにされておらず、統治機構を組み替えて地方に任せる、というだけでは解決にならないと考える。
復興については、被災地の未来をどのように描き、復興・防災に向けてどのように取り組んでいこうとしているのか。また、遅々として進まない福島第一原発の廃炉への道筋など、福島の再生をどのように進めようとしているのか、といった点については現状の課題をどう認識しているか、今回の公約では明らかにされておらず評価は低くなる。
【 評価点数一覧 / 共産党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
5
|
目標設定(10点)
|
0
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1 | |
合計(40点)
|
6
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
3
|
課題解決の妥当性(20点)
|
3
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
0 | |
合計(60点)
|
6
|
|
合 計
|
12
|
【評価結果】共産党 マニフェスト評価 合計 12 点 (形式要件 6 点、実質要件 6 点)
【形式要件についての評価 6 点/40点】
日本全体で少子高齢化が進み、人口減少が急速に進展する中、地方の消滅が叫ばれている。こうした課題にどう取り組んでいくのか、残念ながら共産党の今回の公約では言及がない。
東日本大震災、熊本地震など、災害関連については「災害から国民の生命と財産を守る政治」との理念を明らかにした上で、被災者生活再建支援法の支援金を500万に引き上げ対象を拡充、被災住宅の被害判定の基準の見直し、既存ローンの負担軽減、その他、耐震基準の見直しなどが列挙されている。しかし、政策の列挙に留まり、それを具体的にどのように実現しようとしているのか、は公約からは読み取れない。
福島原発に関しては、被災者支援、完全賠償、徹底した除染を行うことが掲げられているが、列挙されているだけで、具体策は何もない。
【実質要件についての評価 6 点/60点】
日本全体で少子高齢化が進み、人口減少が急速に進展する中、地方の消滅が叫ばれている。こうした課題にどう取り組んでいくのか、残念ながら共産党の今回の公約では言及がなく、課題を認識しているか、明らかにすべきだと考える。
一方で、震災からの復興については、課題は認識していると考えられるが、政策の列挙でしかなく、更に体系的に国民に説明していく必要がある。
【 評価点数一覧 / 社民党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
4
|
目標設定(10点)
|
3
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1 | |
合計(40点)
|
8
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
2
|
課題解決の妥当性(20点)
|
2
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
0 | |
合計(60点)
|
4
|
|
合 計
|
12
|
【評価結果】社民党 マニフェスト評価 合計 12 点 (形式要件 8 点、実質要件 4 点)
【形式要件についての評価 8 点/40点】
「豊かな地域づくり」として、現政権下で進めている地方創生に基づく先行型交付金の上乗せ分(300億円)や新型交付金については「地方交付税の恣意的な配分」と反対姿勢を示し、権限・財源の移譲を進め、分権・自治の日本をつくるため、国税と地方税の割合を現行の6対4から、5対5に進め、地方交付税の総額確保、交付税率の引き上げ実現を示し、分権を進めていくことを明らかにした。しかし、国と地方のあり方や、権限・財源をどのように描いているのか、という点では不十分である。
また、「中山間地、小規模町村を切り捨てることは認めない」として「地域の特色をいかした地域再生を進める」ことが示されている。しかし、それをどのように実現するのか、具体的な案については何ら言及されておらず、スローガン的なものと言わざるをえない。各政策を繋ぎ、全体的としてどのような地方の将来像を描いているかは明らかではない。
震災・復興については、「被災地・被災者の切り捨てを許さず、『人間の復興』を実現します」として、被災者・避難者へのきめ細やかな生活支援、被災者生活再建支援制度の支援上限を最高500万円に引き上げ、適用範囲を広げることなどが列挙されたが、どのように実現するのか、財源等も明らかになっておらず評価は低くなる。
また、福島第一原発の完全収束と原因究明に全力をあげること、被害者の補償、避難後の生活再建の支援を始め、様々な施策を打ち出しているが、目標、財源は何も示されていない。
【実質要件についての評価 4 点/60点】
急速に人口減少と高齢化社会が進む中、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかける必要がある。公契約法や共同労働の協同組合法を制定し、地域の雇用をつくること、中小企業支援予算の拡充などが掲げられているが、それらを通じて地方の人口減少にどのような歯止めとして機能するのか、説明すべきであるが公約からは明らかでない。また、社民党の公約には、例えば、「中山間地、小規模町村を切り捨てることは認めない」としているが、そうした小規模町村を維持していくためのインフラや交通網の整備などをどう進めるのか、その財源をどうするのか、といった点を明らかにする必要があるが具体策は示されていない。
加えて、国の権限や財源を地方に移譲していく政策は掲げられているが、最終的に国と地方の将来像やビジョンをどう描いているのかは不明であり、評価を下げざるを得ない。
公約の中で、東日本大震災のおける震災関連死に関する報告を提示するなどして、東日本大震災から課題を抽出し、政策に活かそうとする努力は読み取れる。しかし、全体的に見て、財源が必要なものばかりで、それをどのように実現していくのか、実行体制はどうするのかなど明らかにされていない。また、現在進行形で動いている東日本大震災や熊本地震に関して、具体的な対応は「きめ細やかな生活支援に全力で取り組む」というものだけで、どのような対策を取るのか不明である。
また、福島第一原発についても施策が列挙されているものの、単なる列挙に過ぎず、課題解決にどのように危惧するのか、公約からは読み取れない。
【 評価点数一覧 / 生活の党と山本太郎となかまたち 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
2
|
目標設定(10点)
|
1
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1 | |
合計(40点)
|
4
|
|
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
3 |
課題解決の妥当性(20点)
|
3
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
0 | |
合計(60点)
|
6
|
|
合 計
|
10
|
【評価結果】生活の党と山本太郎となかまたち マニフェスト評価 合計 10 点 (形式要件 4 点、実質要件 6 点)
【形式要件についての評価 4 点/40点】
地方の衰退、人口減少をどう食い止めるか、という点について「地方分権で雇用を創出し、若者の地元定着化を図る」ことを掲げている。しかし、その他具体的な施策は何もなく、スローガン的な政策と言わざるを得ず、評価は低い。
国の統治機構に関する考え方として、「行政の権限と財源を地方に移し、地域で決められる仕組みに変えること」によって、地方の雇用を増やし、地域経済を活発にすることを掲げ、地域経済を活性化する交付金を実現するとしているが、その目標や達成時期、財源などは明確になされていない。また、権限と財源を地方に移譲することで、介護を受ける人の環境と介護士の待遇を大幅に改善するとしているものの、なぜそうなるのか具体的にみえず、説明必要だと考えるが何ら言及がない。
復興に関しては「復興最優先。教訓を活かした防災対策に取り組みます」として、1日も早い生活再建を促進するとしているが具体的な施策は何も示されていない。また、「福島第一原発事故の早期収束を図る」としているが、復興・福島原発ともに、具体策すら提示がなく評価は低ならざるをえない。
【実質要件についての評価 6 点/60点】
地域経済を活発化させ、地方分権で雇用を創出し、若者の地元定着化を図るとされていることから、地方衰退にどう歯止めをかけるべきか、という課題は認識していると考えられる。しかし、具体的な政策手段は何も明らかにしておらず、評価は低くならざるをえない。
また、地方分権は進めるべきとの姿勢は見えるものの、地方の将来ビジョンを描き、その上で、国と都道府県・市町村のそれぞれの役割をどのように定義し、その役割に見合う財源や権限を移していくか、そうした説明も不十分である。
東日本大震災、熊本地震からの復興、福島原発をどうするかについては、目標、スローガンは提示しており、復興・福島原発につい「復興を加速させ」「福島第一原発事故の早期収束を図る」とはており、課題として認識していると考えられるが、具体的な解決方法を示しておらず、評価は低くならざるをえない。
【 評価点数一覧 / 日本のこころを大切にする党 】
項 目 | ||
形式要件 (40点) |
理念(10点)
|
5
|
目標設定(10点)
|
3
|
|
達成時期(8点)
|
0
|
|
財源(7点)
|
0
|
|
工程・政策手段(5点)
|
1 | |
合計(40点)
|
9 | |
実質要件 (60点) |
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
|
3
|
課題解決の妥当性(20点)
|
3
|
|
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
|
1 | |
合計(60点)
|
7
|
|
合 計
|
16
|
【評価結果】日本のこころを大切にする党 マニフェスト評価 合計 16 点 (形式要件 9 点、実質要件 7 点)
【形式要件についての評価 9 点/40点】
地方の衰退、人口減少をどう食い止めるか、という視点での施策はない。
統治機構の抜本的改革を目指すとして、国の役割を外国・安全保障・マクロ経済政策などに絞り込み、内政は原則として、地方に移管し、都市の自律的経営に任せること。さらに、倒産のリスクを負う自治体経営、自治体破綻制度の創設など、現在の国と地方のあり方を根本から変更することになるが、そうした点を強く打ち出した党は他になく評価できる。
ただし、その実現に向けて、どのようなことを今後進めていくのか、どれぐらいの期間で実行できるかなどは明らかにはされておらず、現時点ではスローガン的な、かけ声だけの政策と言わざるをえない。
復興については「東日本大震災と熊本地震の被災地復興と被災者支援に全力で取り組む。」との記載はあるもの、財源や工程などなにもなく評価できない。
福島第一原発の収束や福島の復興をどうしていくのか、という点については何ら言及されていない。
【実質要件についての評価 7 点/60点】
現行の統治機構を大きく変え、自治体の倒産も覚悟で、地方分権を進め、地方の将来は住民を含めて地方で決めるという、地方分権を究極に進めた統治の形を打ち出し、国と地方のあり方を描いたことは評価できる。しかし、それを具体的に進めていく上で、様々な課題が出てくるが、その点に関しては何ら明らかにされておらず、実現可能性、実行体制に疑問がついてしまう。
また、地方消滅が叫ばれる中、そうした課題にどう向き合おうとしているのか、という点では何ら明らかにしておらず、統治機構を組み替えて地方に任せる、というだけでは解決にならないと考える。
東日本大震災、熊本地震からの復興については「東日本大震災と熊本地震の被災地復興と被災者支援に全力で取り組む」として課題認識はしていると考えられるが、具体策などは何ら示されていない。また、福島第一原発の収束や福島の将来については言及がなく、評価は低くならざるをえない。
主要政党のマニフェスト評価
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9 | 10 |
7 | 9 |
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51 | 29 |
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27 |
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6 |
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21 | 20 |
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