言論NPOは参議院選挙を前に、安倍政権の実績評価を公表しました。全体の結果は5点満点中2.8点となり歴代政権の中でも最高の結果となりました。首相が参議院選挙に向けて「成果」を出すことに強いこだわりを持ったことがプラスに働いています。 中でも、経済政策であるアベノミクスについては、政策を実行に移すだけでなく、実際の効果を意識したものと評価し、3.7点と最高点となりました。異次元の金融緩和、2年で物価上昇2%の達成を掲げるなど、市場に対する日本の見方を大きく変えたことはプラス評価ですが、アベノミクスによって目標が達成されるかは、現時点ではわからず、今後の政策を見守る必要があります。その他、経済に続く形で、教育、復興、外交分野で3点を超える結果となっています。
一方で、財政政策や社会保障、エネルギーや農業政策については、どのような理念の下に政策がすすめられているのかが曖昧で、それぞれの政策がどのようなゴールに向けて動き出そうとしているのかが見えません。 特に、財政再建については昨年のマニフェストには記載がなかったこともあり、J-ファイルや首相の所信表明・施政方針演説で補いました。「2015年度にプライマリー赤字のGDP比半減、2020年度まで黒字化、20年代初めには債務残高比を引き下げる」ことを、6月14日の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で示しましたが、その具体策は選挙後の中期財政計画に先送りしました。 その他、社会保障、エネルギー、農業の分野でも具体策は参議院選後に先送りされています。しかし、先送りされたことなどについては、国民へ十分な説明がなされたとはいえず、全体的に非常に低い評価となっています。
なお、今回の評価は、2012年末の衆議院選挙で自民党が掲げた政策BANKの169項目から、Jファイル328項目、安倍総理の所信表明・施政方針演説なども踏まえながら、政策として評価できるものを11分野、70項目を抽出しました。それらの項目ついて、個々の政策が、その目的を実現する方向でどのように取り組み、動いているのかについて判断しました。さらに、動いていない場合や、政策を止めたり修正した場合には国民に説明したかどうかを判断基準としています。
判断基準
1点:未着手、または断念 2点:着手したが、実現の展望がなかったり、既に修正が行われているにもかかわらず、 そのことが国民に説明されていない 3点:着手し、予定通り進んでいないが、一定の成果を上げている 4点:着手し、予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは現時点では判断できない 5点:着手し、予定通り進んでおり、実現の方向に向かっている各分野の点数一覧
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