ローカル・マニフェスト評価設問について

2004年9月08日

img_paper.jpg言論NPO政策評価委員会(2004/9/8)



1. マニフェスト評価の目的


マニフェスト評価は、立候補者が提示したマニフェストが、当選後に県の施策として位置づけられ、マニフェストの実現に責任を持つ、マニフェストサイクルを定着することを目的にする。その際にマニフェストを実現する行動計画(仮称)を県民に提案し、またはその行動計画にもとづき必要に応じて県の総合計画が修正され、それらにもとづき事業が実施され、効果が現れたのかを確認する作業である。そうしたマニフェストサイクルのプロセスは県民に公開されるべきである。また、マニフェストに記されたビジョン、目標、それを達成するための工程は、有権者が理解し評価しやすいようにわかりやすく提示されるべきである。

これらのプロセスは図1のようになる。

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本来、マニフェストは選挙のための公約に留まらず、県の計画として具体的に反映され、実行されることにその意義を持つ。本評価は、この意義を全うするために必要な要件とその達成を確認し、不足があれば改善点を明らかにすることを目的とする。我が国においてマニフェストは緒に就いたばかりである。そのような発展途上段階においては、不足は批判の対象ではなく、それをさらなる発展の可能性と捉えるべきである。

2. マニフェスト評価対象

評価対象は、図1のプロセスに基づき以下となる。

・ マニフェストの形式要件
・ マニフェストの実行計画(行動計画)の形式要件
・ 総合計画修正:上記行動計画に基づき修正されたのか
(いわゆる総合計画は自治体のマスタープランとして作成される計画で知事当選前よりほとんどの自治体で策定され、これに基づき事業が実施されている。新知事政権のもとでは、知事が提示したマニフェストに基づき、必要があれば総合計画に修正が加えられるものである。)
・ 県のマニフェスト実行計画、あるいは総合計画(修正後)実施による効果
(新政権直後であり効果発現には時期尚早であることを鑑み、ここではアウトプットを中心に確認する。ただし効果が発現されるものについてはアウトカム(効果)の判断も加える)

3. 評価設問と配点基準

評価設問とフォーマットは、評価目的に基づき、評価対象別に設計されたものである。回答は各設問に配分された点数を満点とする。各設問における配点は、今回のローカル・マニフェストにおいて特に重要と思われるものについてより多く配点した。言論NPOが本大会用に提案する評価項目、ならびに採点基準は言論NPOのローカル・マニフェスト評価基準を本大会のマニフェスト推進の目標も考慮して修正・加工したものである。ここでは (1) マニフェストサイクルの定着、(2) 目標実現へのマネージメント、(3) 住民への説明と情報公開を重要視した。本来、こうした評価については施策ごとの評価に基づき、採点を集計する形式を採用すべきであるが、一回目の本大会では評価を通じて、マニフェスト型の政治を実現することを目的にしており、それを考慮した評価項目、配点基準とした。

< 配点基準>

採点は100点満点とし、うち80点が採点基準に伴うもので、残りの20点が評価者の主観に伴う判断点として加点をする。採点基準に伴う80点の内訳は (1) マニフェストの形式要件30点 (2) 実行プロセス30点 (3) 進捗度ならびにその効果20点。

ここではマニフェストを今後普及するためも形式要件を特に重要と考え、6倍のウエイトをつけている。このため形式要件の5設問は最高点を6点とし、合計点を30点とした。また形式要件と実行プロセスは同じく30点として、進捗度の20点と比較してより重要度をあげた。これは地方においてマニフェストの導入が初期段階であり、これを推進ならびに普及することを目的するためである。

評価はこれらの総合点にもとづきA,B,C,Dの4段階で表す。その場合は以下の基準を活用する。

(1) の場合、24点以上をA,18点から24点未満をB,12点から18点未満はC,それ以下はDとする。

(2) の場合も同じ、(3) の場合は16点以上A,12点から16点未満はB,8点から12点未満はC,8点未満はD、評価者による判断点は16点以上A, 12点から16点未満B, 8点から12点未満はC、8点未満はDとした。

総合点は、設問票の合計80点に加え評価者による判断点20点を加え、合計100点満点とする。なお、合計点にもとづくレイティングは A,B,C,Dの4段階であり、80点以上はA,60点から80点未満はB,40点から60点未満はC,それ以下はDとする。4.判断点についての判断基準(マニフェスト政治の導入姿勢など)

・ マニフェスト型政治への意欲、それに向けた知事のリーダーシップ
・ マニフェスト型政治に向けた庁内内部での理解とそれに向けた体制の整備
・ 県民や議会への説明努力
・ それぞれの自治体が抱える課題への挑戦度、課題克服に向けた取り組みの先進度 財政の健全化に向けた取り組み
・ 国と地方との補完関係に対する自立を求める挑戦、問題意識や検討課題への職員、有権者への説明や提起

以上

(なお、この「ローカル・マニフェスト評価設問について」は、言論NPOが独自に作成した、日本で初めての評価基準であり、そこで示されたローカル・マニフェストの評価手法に係る権利は全面的に言論NPOに帰属します。従って、その無断転用はお断りいたしますが、私たちは同時に、これが知的財産として広く活用されることが重要と考えております。転用される場合には、言論NPOまでご相談ください。)