「エクセレントNPO」をめざそう市民会議
資金調達の透明性・ガバナンスに対する認識の重要性を提言
~「第1回エクセレントNPO大賞」審査員や各賞受賞団体とともに、 非営利組織の資金調達のガバナンスや活動の中立性に関する望ましいルールについて議論~
「『エクセレントNPO』をめざそう市民会議」(以下、「市民会議」)は、本日、エクセレントNPOフォーラム「望ましい非営利組織とは何か」を開催し、非営利組織が抱える課題の解決に向けた公開議論を行いました。市民会議は、市民社会の受け皿となる非営利組織の質の向上をめざして開発した「エクセレントNPO」評価基準において、「市民性」「組織力」「課題解決力」の3基準を提案していますが、その中で特に、先の7月に実施した「第1回エクセレントNPO大賞(※1)」表彰で論点となった、資金調達の透明性・ガバナンスについて、本フォーラムで討論しました。今回のフォーラムは、非営利組織の評価基準をもとにした提案について、一般公開しながら議論を行う国内初の取り組みであり、特に、今まで非営利組織の中で曖昧にされてきた非営利セクターの資金管理について議論するという、先例のないオープン討論会となりました。
パネリストには、市民会議理事や「エクセレントNPO大賞」の審査員、同賞各賞受賞/ノミネート団体のほか、特別参加として、「新しい公共」担当の中川正春内閣府特命担当大臣が登壇し、会場に集まった、非営利団体職員、財団や企業CSRの担当者や自治体職員など全国から総勢80名を超す多様な聴衆からの意見や質問を交えながら、約2時間半にわたり活発な議論が行われました。市民会議は、今後、本フォーラムの議論結果を踏まえて、評価基準の見直しを含め、成果目標の設定や測定手法の開発に着手していきます。
本フォーラム前半では、市民会議が提案している、エクセレントNPOの評価基準そのものについて、「市民性」「組織力」「課題解決力」などの重要な論点が提起されたほか、エクセレントNPO大賞応募団体を対象に9月に実施した、組織の自己評価への取り組みに関するアンケート回答結果(※2)が報告されました。これを踏まえ、エクセレントNPO大賞の審査のみならず応募過程を含めて見えてきた、日本の非営利セクターの課題について、パネリスト間で活発な議論が行われました。
(※2:自己評価への取り組みに関するアンケート結果はこちらでご覧ください。)
後半は、今まで非営利組織の中で曖昧にされてきた非営利セクターの資金管理に関する問題が提起されました。その後、資金調達のガバナンスや中立性に関連して、資金の不透明性の問題やそれに関する望ましいルールについて、会場参加者を含め白熱した討論がなされました。(「望ましい非営利組織とは何か」のフォーラム概要は下記をご参照ください。)
市民会議は、日本の非営利組織が社会の課題解決で切磋琢磨し、質の向上を目指す良循環を作り出すために、引き続き、エクセレントNPO評価基準の普及や議論形成を行っていきます。
▼「エクセレントNPOフォーラム」アンケート集計結果はこちら
▼「エクセレントNPOフォーラム」アンケート自由記述編はこちら
【「望ましい非営利組織とは何か」フォーラム概要】
テーマ:望ましい非営利組織とは何か
~「第1回エクセレントNPO大賞」表彰式を踏まえて考えよう~
日時:2012年9月28日(金) 18:30~21:00(開場18:00)
場所:プレスセンタービル10F
(東京都千代田区内幸町2-2-1 TEL:03-3580-1581)
参加費:無料
内容:第1テーマ:「エクセレントNPO大賞」で何が評価されたのか
第2テーマ:「望ましい非営利組織」とは何か
スピーカー:
【2012年度エクセレントNPO受賞団体】
島田悠司(Youth for 3.11代表、市民賞受賞)
菅波完(高木仁三郎市民科学基金、課題解決力賞受賞)
渡邊浩美(スペシャルオリンピックス日本事務局長、組織力賞受賞)
【2012年度エクセレントNPOノミネート団体】
徳永由佳(どんぐり1000年の森をつくる会、市民賞ノミネート)
村井雅清(被災地NGO協働センター代表、市民賞ノミネート)
菅原睦子(ぱれっと事務局長、課題解決力賞ノミネート)
大谷順子(子どもの村福岡事務局長、組織力賞ノミネート)
【エクセレントNPO大賞審査委員】
田中弥生(日本NPO学会会長、大学評価・学位授与機構准教授)
武田晴人(東京大学大学院経済学研究科教授)
島田京子(横浜市芸術文化振興財団専務理事)
山岡義典(日本NPOセンター顧問)
【市民会議理事】
堀江良彰(難民を助ける会事務局長)
工藤泰志(言論NPO代表)
【特別参加】
中川正春(内閣府特命担当大臣)
本フォーラムは公益財団法人三菱財団の助成を受け、実施いたしております。
※第1回エクセレントNPO大賞について
市民会議は、2012年7月11日に、第1回「エクセレントNPO大賞」の表彰式を行いました。
市民賞にはYouth for 3.11、課題解決力賞には高木仁三郎市民科学基金、組織力賞にはスペシャルオリンピックス日本が選ばれました。東日本大震災復興支援賞は当初1件としていましたが、多様な活動を一つの軸で評価するのは不可能と判断し、応募団体を複数の分類に分けて評価を行いました。その結果、ネットワークオレンジ、遠野まごころネット、MMサポートセンター、ゆめ風基金、セカンドハーベスト・ジャパンの5団体が「東日本大震災復興支援奨励賞」として選ばれました。なお、第1回目のエクセレントNPO大賞は、さらなる発展を期待するという意味から、受賞団体は「なし」となりました。詳しくは市民会議ホームページをご参照ください。
「エクセレントNPO」とは
1998年のNPO法が制定以来、NPOの設立数はいまや4万団体を超えましたが、数は急増したものの、その大多数は経営的に力が乏しく、社会の自発的な課題解決に取り組む以前に、市民とのつながりが弱く、市民社会を大きく変える力にはまだなっていません。
市民会議では、こうした非営利組織の組織力としての脆弱性や市民とのつながりが希薄である点に当初から問題意識を持ち、その質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会への良循環をつくり出すために、非営利の世界での社会変革のモデルとなるNPOの要因分析を続けてきました。そして、3年間にわたる作業の末、2010年には望ましい非営利組織像としての「エクセレントNPO」の概念を打ち出し、「市民性」「社会変革性」「組織安定性」の3つを基本条件とする、組織評価の体系としての「エクセレントNPO」の評価基準を公開し、その普及活動に取り組んできました。
また、エクセレントNPO大賞は、そうした「エクセレントNPO」を目標にして非営利組織が競い合い、その動きが市民に可視化されることで、市民社会に大きな変化を起こすことを目的としています。
「エクセレントNPO」をめざそう市民会議について
「非営利セクターに質の競争をもたらし、強く豊かな市民社会づくりへの良循環を作る」ことをミッションとし、エクセレントNPOの概念を明示し、エクセレントNPOの必要性について問題提起し、そしてその認識を日本社会に広げることを活動目標としています。共同代表には、國松孝次氏、小倉和夫氏、島田京子氏を迎え、国内外で活躍する数多くのNPO/NGOの代表、研究者10名をメンバーとしています。
お問合せ
「エクセレントNPO」事務局(言論NPO事務所内)
TEL:03-3527-3972 FAX:03-6810-8729
E-mail:info@excellent-npo.net
事務局長:工藤泰志
担当:吉崎・宮浦