「第9回東京-北京フォーラム」で、日中平和友好条約35周年を契機に、 日中間の「不戦の誓い」を掲げた「北京コンセンサス」を提唱

2013年10月26日

― 日中両国の有識者が「東アジアの平和・発展と日中両国の責任」を議論し、健全な輿論に支えられた日中関係や東アジアの秩序作りへと対話の成果を発揮させるため、両国民に開かれた対話を継続します


 認定NPO法人 言論NPO(代表:工藤泰志)が、中国日報社(以下チャイナ・デイリー、総編集長:朱霊)と10月26日から27日の2日間にわたり北京で開催した「第9回東京‐北京フォーラム」は、日中平和友好条約35周年を契機に日中の民間による両国関係の平和と発展を提案する「北京コンセンサス」を提唱して閉幕しました。「北京コンセンサス」には、日中両国はどんな対立も平和的に解決すべきであり、平和共存こそが両国が目指すべき究極の目標であるとして、どんな理由があろうとも、どんな対立や課題においても、両国はその解決を軍事的な手段に求めるべきではない、など「不戦の誓い」が述べられています。「北京コンセンサス」は両国の有識者だけではなく、両国民に幅広く支持されることが必要です。そのためには、両主催団体は、両国民に開かれた対話を継続的に実施し、健全な輿論に支えられた両国関係や東アジアの秩序作りに、この対話の成果を発揮させることをめざしていきます。

 「第9回 東京‐北京フォーラム」は、「東アジアの平和・発展と日中両国の責任」を全体テーマに掲げ、日中両国から各界を代表する有識者約80名の討論者たちが参加しました。会場に集まった日本および中国からの約2100名を超す参加者とともに、日中両国間で表面化している課題に正面から向かい合い、質の伴う建設的な議論を本音レベルで行いました。今年は日中平和友好条約35周年の年ですが、日中関係は未だに不安定な状況にあり、多くの障害があります。こうした状況の中で、本フォーラムでは、民間の対話が果たすべき役割を考え、両国が抱える障害や問題を乗り越えるため、政府対話よりも一歩前に踏み込んだ議論を行いました。

 日中間において、どんな対立や課題においてもその解決を軍事的な手段に求めるべきではなく、平和共存こそが両国が目指すべき究極の目標であるという冷静な声が両国民間に広がることは、現状の事態冷却と、政府間外交の環境づくりにも不可欠です。そこで、日中双方の主催団体は、「対話の力」で困難を乗り越えるという、民間外交(公共外交)の責任を果たすことを目的とした「東京‐北京フォーラム」の原点に立ち返りました。「民間の対話」に政府外交の困難を乗り越える特別な役割があるとして、このたび、両国民間に未来を切り拓く冷静で長期的な視点で議論を始めるために「北京コンセンサス」を採択しました。「北京コンセンサス」全文はこちらをご確認ください。

※ご参考:両主催団体は、昨年東京で共催した「第8回東京-北京フォーラム」で民間外交の使命と責任を再確認し、その覚悟を「東京コンセンサス」として公表しています。


「第9回 東京‐北京フォーラム」パネリスト

【日本側】

福田康夫(元内閣総理大臣)、明石康(国際文化会館理事長、元国連事務次長)、木寺昌人(駐中国特命全権大使)、加藤紘一(日中友好協会会長)、松本健一(麗澤大学教授、元内閣官房参与)、數土文夫(JFEホールディングス元代表取締役社長、相談役)、逢沢一郎(衆議院議院運営委員長、元外務副大臣)、中谷元(自民党副幹事長、元防衛庁長官)、宮本雄二(元駐中国特命全権大使、宮本アジア研究所代表)、武藤敏郎(大和総研理事長)、河合正弘(アジア開発銀行研究所所長)、田波耕治(元国際協力銀行総裁)、山口廣秀(日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社理事長、前日本銀行副総裁)、小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐仏大使)など約30名

【中国側】

趙啓正(中国人民大学新聞学院院長、十一回全国政治協商会議前外事委員会主任、元国務院新聞弁公室主任)、蔡名照(国務院新聞弁公室主任)、唐家璇(元国務委員、中国国際経済交流センター顧問、中日友好協会会長)、呉寄南(上海国際問題研究院諮問委員会副主任)、呂祖善(全国人民大会財政経済委員会副主任委員)、徐敦信(元外交部副部長、元中国駐日本国大使)、蘆樹民(中国人民外交学会常務副会長)、魏建国(中国国際経済交流センター副理事長)など約40名


【ご取材のお願い】

言論NPO代表工藤のインタビューなどのご要請がございましたら、積極的に対応させて頂きます。

本件に関するお問い合わせ:「言論NPO」事務局(担当:吉崎)
TEL:03-3527-3972 FAX:03-6810-8729 MAIL:info@genron-npo.net


【東京‐北京フォーラムとは】

 「東京‐北京フォーラム」は中国で反日デモなどが深刻化した2005年に日本の非営利団体である言論NPOと中国のメディアである中国日報社(チャイナ・デイリー)及び北京大学国際関係学院との提携により北京でスタートしました。毎年両国を代表する有識者100名が出席し、安全保障、政治、経済など複数の分科会で議論を行っています。中国では公共外交の重要なチャネルのひとつと位置づけられており、この対話に連動して、日中共同の世論調査を毎年実施しています。日本側の実行委員長は明石康元国連事務次長。学識経験者、企業経営者・政府関係者、主要メディアの編集幹部ら約50名が個人の資格で日本側の実行委員会に参加しています。


【言論NPOとは】

 言論NPOは、2001年に設立された、有権者側に立つ、独立、中立、非営利のシンクタンクです。言論NPOは、議論の力で、「強い民主主義」と「強い市民社会」をつくり出すことをめざしています。それは、有権者が主体となる民主主義であり、多くの有権者が当事者意識を持って社会に参加する強い市民社会です。

 そのために、言論NPOは、有権者が政治や政策を判断し、民主政治を機能させるために質の高い議論づくりや政策評価に取り組んでいます。様々なアクターが当事者として課題解決に向かって議論し、その場が公開され健全な世論と連動して政策に働きかけていく動きを、国内のみならず、アジアや世界に広げて、議論や対話の舞台をつくっています。そして、国際的なネットワークで世界につながり、日本の考えを世界に発信するために、500人を超すオピニオンリーダーが参加し、健全な議論づくりに取り組んでいます。詳しくは言論NPOウェブサイトをご参照ください。