非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は7月16日、中国側の主催者である中国国際出版集団(外文局)と事前協議を行い、これまで15回にわたって開催してきた「東京-北京フォーラム」を、111月末をめどにテレビ会議にて開催することで合意しました。
今回の事前協議もテレビ会議方式で行われ、日本側から「東京-北京フォーラム」の運営委員長である言論NPO代表の工藤泰志の他、同フォーラム実行委員長の明石康氏(国立京都国際会館理事長、元国連事務次長)、同副実行委委員長の宮本雄二氏(宮本アジア研究所代表、元駐中国大使)と山口廣秀氏(日興リサーチセンター理事長、元日銀副総裁)が参加。中国側からは、同フォーラムの指導委員会委員兼執行委員会主任の杜占元氏(中国外文局長)、同指導委員会委員の程永華氏(中国日本友好協会常務副会長、前駐日大使)、魏建国氏(中国国際経済交流センター副理事長)など10人が参加しました。
コロナウイルスの影響が続く中、米中対立は深刻化し、さらに日本の国民の中にも中国の行動に対する様々な懸念が出ている中で、今回の協議でも、現状の日中関係に対する懸念が双方から出され、コロナ後の世界を描くための理念や哲学を共有できなければ、本当の意味での協力関係は築けないのではないか、といった意見も出されました。しかし、「東京-北京フォーラム」はこれまで様々な困難に立ち向かったという実績をもとに、こうした時期だからこそ日中間では本音の議論を行うことが極めて重要だ、との認識で一致し、11月下旬にフォーラムを開催すること、分科会数も6つに増やして議論を行うことで正式に合意しました。今回の事前協議での主な決定事項は以下の通りとなります。
日程については、今月中にも確定することになりますが、報道関係者の皆様には、ぜひとも今年の「第16回 東京-北京フォーラム」をご取材いただければ幸いです。詳細につきましては、改めてご連絡いたします。
7月16日開催の事前協議にて決まったことは以下の通り
- 11月下旬に、テレビ会議を利用して「第16回 東京-北京フォーラム」を開催する
- 分科会は、これまでの政治・外交、安全保障、経済、メディアに加えて、デジタル技術や、コロナ危機での協力についての分科会を加えた6つの分科会を行う
- フォーラムは原則公開し、インターネットで中継する
- 世論調査はこれまでと同様実施する
- それぞれの分科会で合意する努力を行い、最終的に「東京コンセンサス」として公表する
【東京-北京フォーラムとは】
「東京-北京フォーラム」は、日中関係が悪化し、反日デモが激しくなる2005年、立ち上がりました。それから15年、このフォーラムは両国の困難や障害を乗り越える対話の舞台として、日本が尖閣諸島を国有化し、日中両国の政府間外交が停止している中でも一度も途切れることなく、毎年、東京都と北京を舞台に開催してきました。第2回フォーラム(2006年)では、安倍晋三官房長官(当時)が日中関係の重要性を強調し、その2ヵ月後の、首相としての電撃訪中と首脳会談の実現に決定的な役割を果たしました。第9回フォーラム(2013年)では、尖閣問題で両国関係が最悪の状況に陥る中、両国の民間レベルで「不戦の誓い」に合意し、第14回フォーラム(2017年)では、日中間で「平和宣言」を採択し、不戦・反覇権を軸とした多国間の平和メカニズム構築に向けた議論を、北東アジア地域で開始することを合意しました。
【言論NPOとは】
言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2012年から米国外交問題評議会が主催する世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本を代表して参加し、世界の課題に対する日本の主張を発信しています。このほか、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。