北朝鮮との対話再開は不可欠。ただし、時間は与えず、日米韓軍事連携も進めるべき―「東京会議2024」非公開会議(3)報告

2024年4月10日

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 公開セッションの翌日には、東アジア情勢に関する二つの非公開セッションが行われました。まず、行われたのは「高まる朝鮮半島の緊張と北朝鮮の核保有」をテーマとするセッションです。そこではまず、日韓中欧から四人の識者が問題提起を行いました。


「友を近くに置け、敵はもっと近くに置け」の発想で対話再開を目指すべき

 金炯辰氏(元国家安全保障室第二次長)はその冒頭で、ウクライナとガザで起こる二つの戦争に世界が気を取られている間に、北朝鮮はより大きな脅威になっていると指摘。ミサイル能力は向上を続け、すでに米国をも射程に収めると同時に、国際原子力機関(IAEA)の分析によれば、寧辺にある建設中の実験用軽水炉が臨界に達した兆候があり、核兵器の原料となるプルトニウムの製造能力が高まっているとしました。
こうした中で北朝鮮は、祖国や民族の至上命題としてきた「統一」の目標を捨て、韓国を「敵対する別国家」と定義するなど米韓同盟に対する徹底的な敵対意志を示しており、「朝鮮戦争時と同様の軍事的・戦略的な決定を既に下しているかもしれない」などと強く懸念。その一方で、日本に対しては融和的なメッセージを出すなどして、日米韓の分断を図っているとの見方を示しつつ、ロシアとの関係強化を最優先課題としていると解説しました。

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 金炯辰氏は、北朝鮮の経済情勢については、「人々の生活が惨憺たる有様にあることは当局ですら公に認めている」とするとともに、外貨節約のために海外公館を相次いで閉鎖するなどその窮状を強調。それにもかかわらず、核・ミサイル開発に資金をつぎ込み続ける指導部に対しては、民衆の不満は高まり続けているとしつつ、「ルーマニアのチャウシェスク・モーメントのようなことが北朝鮮でも起こらないとは限らない」と指摘しつつ、そうなることによって北朝鮮が大混乱に陥り、制御不能になることを懸念しました。

 金炯辰氏は最後に、朝鮮半島の平和と安定を守るためには、抑止強化・防衛整備と同時に、非核化に向けた努力は急務であると主張。映画『ゴッドファーザー』の格言「友を近くに置け、敵はもっと近くに置け」を引用しながら、対話再開を目指すべきと語りました。

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