基調講演に引き続き、「国際協調の未来と改革を考える」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。司会は、カナダの国際ガバナンス・イノベーションセンター(CIGI) 特別フェローであるロヒントン・メドゥーラ氏が務めました。
国家主体だけではなく市民社会の助けがあれば、地球規模課題に取り組むための道筋を何とか見つけることができる
このパネルディスカッションからの参加となったジョアキン・レビ氏(元世界銀行専務理事兼最高財務責任者)は、これまでの国際協調について、自国ブラジルと日本の様々な協力を例示しながら、「1980年代はこうした二国間協力や多国間協力は数多く行われた」ことを回顧。それに対して現在の国際協調が機能しにくくなっている一つの要因として、安全保障や医療・保健に至るまで、複雑で困難な国際課題が増えていく中で協力のかじ取りが難しくなっていることを挙げました。
一方でレビ氏は、G20と金融安定理事会(FSB)を例としながら「インフォーマルな国際協力については今後も可能なのではないか」と指摘。また、気候変動に関する協力を進める上での視点として、再生可能エネルギーのマーケットを拡大するなどして、民間の役割を促進するような制度設計が必要だと提言。「未来のための協定」で掲げられた国際金融アーキテクチャの改革や適応・緩和策でもこれは同様で、民間の力を活かしながら国際協調を進めていくことの重要性を説きました。
レビ氏は最後に、ウクライナやガザにおける赤十字国際委員会の活動に触れながら、「国際システムにとって厳しい時代の中でも、特定の領域では確かに機能しているものもある」ことを理由として、国際協調の未来を「比較的楽観視している」と発言。課題は多く、改革は必要ではあるものの、国家主体だけではなく市民社会の助力を得ていけば「地球規模課題に取り組むための道筋を何とか見つけることができるのではないか」と明るい展望を描いてみせました。
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