ウクライナ停戦と和平に向けた課題が浮き彫りに。ガザ問題ではアラブ地域主体の動きに対する期待も示されたー公開フォーラムセッション2「ウクライナ停戦とガザの復興を考える」報告

2025年3月04日

⇒「東京会議2025」これまでの記事

 3月3日に開幕した「東京会議2025」の2日目(3月4日)の午後、公開フォーラムが行われました。セッション1に続く、セッション2では「ウクライナ停戦とガザの復興を考える」をテーマに議論が行われました。司会は引き続き言論NPO代表の工藤泰志が務めました。

 工藤はまず、この「東京会議2025」の直前に行われたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が、激しい口論の末に決裂するという異例の事態となったことを踏まえつつ、各氏に現状の見方を求めました。


ウクライナを米ロ関係リセットの障害と見做すトランプ米大統領

 米国のジェームス・リンゼイ氏(外交問題評議会 (CFR)メアリー・アンド・デイビッド・ボイス米国外交政策上級研究員、フェローシップ担当ディレクター)は、トランプ氏にとっての主たる目的はウクライナ戦争の停戦ではなく、「米ロ関係のリセット」であると分析。そして、リセットのためにはウクライナの存在が障害となっている中では「どういうものを米国が求めているのか、戦争の解決方法としてそれを前向きな形で言うのは難しい」と語りました。その上で、トランプ氏が明確に求めていない、あるいはやる気がないことはウクライナの領土奪還と米国による安全の保証であると説明。逆に強く求めていることは、これまでの米国による軍事支援に対する見返りであり、そのための鉱物資源協定であるとしましたが、その価値の見積もりは明らかに過大であると指摘。「埋蔵量も分からないし、採掘コストも分からないため、"砂上のディール"になるかもしれない」との見方を示しました。また、「米国との経済協定が抑止力となってロシアは攻撃できない」とのトランプ政権の見立てに対しては、「2014年にも米国の対ウクライナ投資はあったが、それはクリミア侵攻に対する抑止力として働かなかったではないか」と指摘しましたが、「トランプ政権はまたすぐに意見を変えるかもしれない」とも語りました。

 さらに工藤から「トランプ氏には停戦交渉を仲介する気はあるのか」と問われたリンゼイ氏は、トランプ氏もJ・D・ヴァンス米副大統領もウクライナに米国の国益はないと考えており、先述のようにロシアとの関係リセットによって得られる利益確保が最優先だと回答。したがって、交渉は米ロ二カ国だけでよいのであり、ウクライナも欧州も同席させる必要はない、つまり仲介する気はないとの見方を示しました。

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