3月3日から3日間にわたって開催されてきた「東京会議2025」。全てのプログラムを終えた3月5日の昼、10カ国のシンクタンクと、ゲストスピーカー約20人が参加し、昼食を共にしながら今回の会議を振り返り、意見交換が行われました。
参加者からは、今回の会議は大成功だったとの意見が相次いだ
まず、今回の3日間の議論について、トランプ米大統領が誕生し、様々な政策を矢継ぎ早に打ち出す中、非常にタイムリーなテーマで議論ができたこと、さらに公開フォーラム、非公開会議の組み合わせ、その中での議論に厚みもあり、非常に有意義な議論ができ、大成功だったと評価が相次ぎました。
加えて、毎年参加しているシンクタンクの代表からは、「あなたたちは歴史が作られる瞬間をずっと観測できる、という特権に恵まれていることを実感してほしい」との言葉が投げかけられる等、今回の会議の運営に当たったスタッフへのねぎらいの言葉も参加者から数多く聞かれました。
さらに、世論調査や有識者調査などの声をベースに議論が組み立てられていること、様々な専門家の視点を共有し、理解することができたとの評価も見られました。特に、北米・ヨーロッパと東アジアにおいて、トランプ米大統領に対する反応の相違や、アジアよりもヨーロッパには選択肢が沢山あることなどに気づかされた等、好意的な評価が目立ちました。
日本にはどんな選択肢があり、何が課題なのか、そうした日本の声は聴かれなかった
一方で、今後は欧米中心ではなく、アフリカや中東、アジア等の地域の問題を取り上げるべきとの意見や、エネルギー、人口動態の変容、経済社会政策、産業政策やデータの未来等のテーマについて議論するのも有用との意見も出される等、この「東京会議」をより発展させ、より良いものにしていくために必要なアドバイスが、参加者全員から数多く出されました。
日本そのものに対しては、「我々は、日本についてあまり学べなかった。日本にとってどんな選択肢があるのか、何が日本にとって課題なのか、会議に集まる日本の外交官の皆さんが、周辺については論ずるけれども国については論じない。日本は重要なプレーヤーですから、そんなにもう控えめになる必要はない」との厳しい意見も出される等、参加者全員が、「東京会議」を更に発展させるにはどうしていくべきか、真剣な意見交換となりました。
知識層と国民の間にある断層を無くすための一筋の光も
最後に、主催者の言論NPO代表の工藤泰志が挨拶を行いました。
その中で工藤は、この間、悩んできたこととして、知識層と国民の間にある断層を無くすためにも、知識層が課題解決に本気で向かい合い、悩んで苦しんでいることを国民に見せる必要があること、さらに、国民の多くが不安に思い、悩んでいること、怒りを感じていることにテーマを設定し、議論する必要があること等を挙げました。
その上で、蓋を開けてみれば、今回の会議の聴衆として300人を超えるが参加し、その半数近くが若者だったこと、そうした聴衆にパネリストが課題にぶつかりながらも、解決に向けた議論を行っている姿を見せられたことが、今回の大きな成果だと語りました。
最後に工藤は、課題解決の意志を持つ議論が国民の声になる必要があり、そのために知識層や言論人の役割がある。そうした思いから毎年行っている「東京会議」の継続と発展に力を貸してほしいと参加者に投げかけ、挨拶を締めくくりました。会場は大きく長い拍手に包まれ、「東京会議2025」は全てのプログラムを終え、閉幕しました。