「アジア再バランス」で米国は技術革新とネットワークによる安保上の軍事パワー再編成をめざす
今回の訪米最終日の14日、言論NPO代表の工藤は、昨日に続き、上院スタッフ、シンクタンクと会談し、米国の「アジア再バランス」政策や日本の政治の変化について議論を行いました。
上院外交委員会民主党補佐官マイケル・シファー氏と対談した工藤は、「アジア再バランス」政策は依然として米国の外交基本方針であり、これにより、米国は大きくアジアシフトの方向に動いていることを理解しました。この中でシファー氏は、「アジア再バランス」政策とは、単に量的な軍備資産の増大など目先の短期的な数値目標を追求するのではなく、技術革新とネットワークに支えられた安保上の質的な軍事パワーの再編成をめざすものであり、第1期のオバマ政権以来の外交政策ビジョンとして、長期的に時間をかけて着実に推進されている、と説明しました。
一方で、工藤は、ワシントンDCにあるシンクタンクで活躍する複数の日本研究専門家と意見交換を行いました。工藤は、長年の友人であるケント・カルダー氏(ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)付属ライシャワー東アジア研究所所長)や言論NPOメンバーであるグレン・S・フクシマ氏(センター・フォア・アメリカン・プログレス(CAP)上級研究員)と個別に会談を行い、米国と日本の政治の変化や言論NPOの日米民間外交の課題や可能性について語りました。
またこの日、フクシマ氏がCAPで主催した日本研究者グループの昼食会に、工藤はスピーカーとして招かれ、言論NPOと日本の政治の変化に関する講演を行いました。ワシントン・カレッジ准教授のアンドリュー・オロス氏、ジョージ・ワシントン大学政治学部助教授のルウェリン・ヒューズ氏、スタンフォード大学で国際問題を研究するベン・セルフ氏などが参加し、約2時間にわたり白熱した議論を展開しました。
そして、工藤は、ブルッキングス研究所で初の日本専門部門の責任者として就任した、北東アジア政策研究センター日本上級研究員のミレヤ・ソリース氏とも個別に会談を行いました。
ソリース氏は、言論NPOが行う対中、対韓はじめ対米やマルチに展開する民間外交のほか、マニフェスト評価など国内政治への活動にも高い関心を示すとともに、有権者が主体となり当事者意識を持って社会に参加することを目的とした強い市民社会づくりにも共感し、今後の言論NPOの活動に期待を寄せました。
工藤は、20氏におよぶ、米国の上下院スタッフ、政府要人、シンクタンク研究者との、米国を含むアジア太平洋外交に関する議論を終え、日米関係や東アジア、太平洋地域の民間対話に関する考察や課題認識をさらに深めました。工藤は、今回の議論結果を踏まえて、日本に帰国後すぐに、不安定な東アジアのガバナンスを安定化させるための、東アジア・パブリック・ディプロマシー構想3年計画の枠組みづくりの準備にとりかかる予定です。