言論NPOが2月28日から3月9日まで、言論NPOに登録されている約1000人の日本のジャーナリストを対象にアンケートを行ったところ、56人から回答がありました。
10年前に比べて、国際社会での日本の発信力がどうなったかを尋ねたところ、50.0%と半数の人が「低下している(どちらかといえばを含む)」と回答し、「高まったと思う」と回答しました。
日本自身の発信力に続いて、「日本やアジアの姿が、海外に正しく伝わっていると思うか」と尋ねたところ、「正しく伝わっていないと思う」(10.7%)、「どちらかといえば正しく伝わっていないと思う」(33.9%)との回答は44.6%となりました。
海外のメディアの日本報道について、印象が偏っている」(26.8%)、「誤解が生じている」(8.9%)と海外メディアの日本に対する報道に対して、好意的には見ていない人が多数いることが明らかになりました。
北東アジアの平和構築については、「アメリカ」(48.2%)よりも「中国」(80.4%)と「日本」(48.2%)対してリーダーシップを求めていることが明らかになりました。
調査の詳細は以下の通りです。
10年前に比べて、日本の発信力は「低下した」との回答が5割
まず、日本のジャーナリストに「10年前に比べて国際社会での日本の発信力についてどのように感じているか」を訪ねたところ、「低下したと思う」(12.5%)、「どちらかといえば低下したと思う」(37.5%)との回答が50.0%と半数の人が、低下していると回答しました。
一方、「高まったと思う」と回答した人はおらず、「どちらかといえば高まったと思う」との回答も16.1%と2割に達せず、日本のジャーナリストの多くは、日本の発信力が低下したと感じていることが明らかになりました。
ただし、32.1%の人は「どちらともいえない」と回答しており、判断できない方も一定数います。
日本の「存在感がなくなってきている」、
「内向きになってきている」との回答が6割を超える
前問で「低下したと思う」、「どちらかといえば低下したと思う」と回答した人に、その理由を尋ねたところ、「世界における日本の存在感自体がそもそもなくなってきているから」「日本自体が内向きになり、世界の課題に対して関心を持っていないから」との回答が同率(62.1%)で最多の回答になりました。
一方、日本の発信力定価の原因として「日本のメディア報道が内向きになってきているから」と回答した人は24.1%に留まり、「日本政府が世界的な課題に対して関心が乏しいから」(31.0%)を下回りました。
半数近くの人が、日本やアジアの姿が海外に正しく伝わっていないと回答
日本自身の発信力に続いて、「日本やアジアの姿が、海外に正しく伝わっていると思うか」と尋ねたところ、「正しく伝わっていないと思う」(10.7%)、「どちらかといえば正しく伝わっていないと思う」(33.9%)との回答は44.6%となり、半数近くの日本のジャーナリストは、日本やアジアの姿が海外に正しく伝わっていないと認識していることが分かりました。
正しく伝わっていないとの回答は1割強に留まりました。(「正しく伝わっていると思う」(0.0%)「どちらかといえば正しく伝わっていると思う」(12.7%))
海外メディアに本質的な議論があることを認めつつ、
4割近くが「誤解」や「偏見」も存在していると回答
続いて、海外のメディアの日本報道について、「日本にはない本質的な論点が指摘されていると思う」(30.4%)と回答し、好意的に見ている人が最多となりました。
ただし、「印象が偏っている」(26.8%)、「誤解が生じている」(8.9%)と海外メディアの日本に対する報道に対して、好意的には見ていない人が多数いることが明らかになりました。
一方、「正しい認識を持っている」との回答は3.6%に留まりました。
6割を超える人が、メディアに「課題可決に向けた大きな役割がある」と回答
世界が様々な課題に直面している中、こうした課題の可決に向けて、メディアがどのような役割を果たせるのかを尋ねたところ、「未だに非常に重要な役割があり、課題解決に向けて大いに役割を果たせると思う」(60.7%)との回答が6割を超え最多となりました。一方で、「すでに役割を終えていると思う」と回答する人はいませんでした。
ただ、33.9%の人が「重要な役割があると思うが、既存メディアでは限界を迎えつつあると思う」と回答しており、メディアの役割を認めつつ、既存メディアの限界を指摘する声も3割強いることが明らかになりました。
8割を超える人が「中国」に北東アジアの平和構築でリーダーシップを発揮すべきと回答
続いて、北東アジアの平和を考えた場合、どの国のリーダーシップが必要かを尋ねたところ、最も多くの人が「中国」(80.4%)と回答し、「日本」(62.5%)、「アメリカ」(48.2%)と続きます。
日本のジャーナリストの多くは、北東アジアの平和構築については、アメリカよりも中国と日本に対してリーダーシップを求めていることが明らかになりました。
7割以上の人が20年後の日本は「高齢化社会」だが「影響力のある国」と回答
「20年後の日本をどのように見ているか」との問いに対して、8割を超える人が「高齢化社会」(83.9%)と回答し、7割を超える人が「相対的な経済規模は縮小するが、影響力のある国」(71.4%)と回答し、この2つの選択肢に回答が集中しました。大半のメディアは日本の20年後の姿を、高齢化社会に突入し、経済規模は収縮するが、影響力は維持している、と考えていることが明らかになりました。
一方、「極東の小国で影響力もない国」(10.7%)との悲観的な見方も1割程度存在しています。
日本は「北東アジアの平和構築」や「科学技術の進歩」に貢献すべきとの回答が最多
最後に、「世界やアジアの中で日本がどのような役割を果たせるか」について尋ねたところ、「北東アジアの平和構築」との回答が64.3%で最多となり、「科学技術の進歩に向けた技術支援や資金援助」(58.9%)で続き、この2つの選択肢が半数を超える結果となりました。これに続く形で、「途上国開発などへの積極的な投資」(39.9%)、「核拡散防止」(33.9%)が3割を超えました。
しかし、ISなど、現在、国際的に問題となっている「国際テロ対策」は1.8%に留まり、安倍政権が進んで取り組んでいる「女性の活躍の推進」と回答した人はいませんでした。