マイケル・デン・タント
(カナダ「ポストメディアグループ」コラムニスト)
工藤:私たちは、今、世界では凄く大きな変化が起きていると思っているのですが、マイケルさんはどういうことに一番関心がありますか。
中国が台頭する中、日本は外交的にどのように対応しようとしているのか
マイケル・デン・タント:まず今回こういう機会を頂いてありがとうございます。何に関心があるかと言うと、中国政府が東シナ海、南シナ海でかなり強く出ていることに、日本はこれにどのように対応していこうとしているのかについてすごく関心があります。個人的にもこの数年間の中国の動きを見ていますが、現場での状況を凄く変えようとしているというか、既成事実を少しずつ作り上げ、それを導入し、1945年以降にできていた第二次大戦後の秩序、この地域だと1970年代ですが、それを変えていこうとしている動きを徐々に進めているように思うのです。それに対して日本がどのように対応していこうとしているのか、もしくは国際的なサポートを得ながらそれをプッシュバックしていくのか。プッシュバックというのは、軍事的にというよりは、外交的にどのようにやっていくかという事に非常に関心があります。
工藤:僕も十分理解していますが、明日の対話で、今の話をできる人がいると思います。今の話は、私たち言論NPOがまさに中心的に取り組んでいる対話の問題意識と同じなのですが、中国がかなり大きくなっていて、実現することはかなり難しく、大変な道のりです。その中で今回、日本を訪問して、日本の印象はどうですか。また、日本に何を期待していますか。
地域の環境自体が変わる中、マルチな対話が必要になる
マイケル・デン・タント:まず個人的には、民主主義や自由貿易というところを非常に重要だと感じているので、そうしたことを日本はこの地域でこれまでもずっと推し進めてきたと思いますが、引き続き推し進めてほしいと思っています。ただ一方で、環境自体が非常に厳しくなっています。中国にとどまらず、ロシアの事も考えるとこの地域の環境というのはそうたやすいものではありませんが、状況が難しくなる中で日本が継続してこれまでやってきた結果を出そうとすると、G7などどうしてもマルチのフォーラムを通さなければいけない。さらに、ASEAN諸国ともう少しアライアンスを組んでというところをやっていかないといけないと思います。
工藤:ありがとうございました。