デビッド・ナカムラ
(米「ワシントン・ポスト」ホワイトハウス担当記者)
工藤:今、私たちはアメリカの力がなくなったと言っているのではなくて、一つの動きとしてアメリカを軸とした大きな秩序が不安定化しているということを感じ始めています。
こうした状況を、私たちはどう考えればいいのでしょうか。
アメリカ自体の価値がどう世界に見られているのか
デビッド・ナカムラ:アメリカ人もこれからの不透明性な要素がアメリカの政治環境であるので、アメリカ人もそのあたりを心配しています。オバマのホワイトハウスを担当していますが、現在のホワイトハウス内では、現在の大統領選自体の動きをリスクとして見ている人がいます。これは今の現大統領や政権が、自分たちのものを残していくかという事でリスクを感じている人もいるのですが、別にいい機会にこれはなるのではないか、と考えている人もいます。というのも、民主党がここで本当に勝つと、かなり長期にわたって民主党政権が続く事になるので、今、共和党でああいうことになっているという所もありますが、そういう風に大統領選を見ているという意見もホワイトハウス内であります。
ただ、いま大統領選が故にいろいろ激しい言葉のつばぜり合いが行われていますが、そういう言葉が国際的に良く見られていないという事も感じるので、こうした質問は良く受けます。これは日本だけではなく、数週間前にヨーロッパに行きましたが、アメリカは今どうなっているのかと聞かれました。アメリカはなぜこうなっているのだという質問は、ヨーロッパも同様にうけます。オバマ政権はそれに対して答えようとか、そういうものをプッシュバックしようという風に今やろうとしているところだと思います。ただジャーナリストとしては、国内の大統領選のみでなく、アメリカ自体の価値が世界でどういう風に見られているのかとかいうところは非常に関心があります。
工藤:そういう話は明日、色々な形で出ると思います。一方で、日本にどのように期待をしていますか。期待していなくてもいいが、どういう風に見ているのでしょうか。
日本は20年後、どのような国を目指しているのかを知りたい
デビッド・ナカムラ:個人的に、自分自身がジャパニーズ・アメリカンという事もあり、日本にはもちろん関心は強いです。それから、オバマ政権を担当しているので、そういう意味で日本の同盟国としての役割という話もいろいろ出るので、そういう意味では日本のこれからの動向には関心があります。ただそれ以外で、特に日本に以前住んだことがあるので、もう少し広い意味で日本に期待したいことがあります。それは、日本が日本という国を例えば20年後どういう風にありたいと思っているのか、ということです。このまま人口が減って、国際的な役割も減らしていく国とみるのか。もしくは世界的にも、アジア地域においてももっと積極的にかかわっていくのか。例えば中国はまさしくそういう風にしていて、あるいは韓国も同様な動きを見せている、日本が長期的にどういう風になろうとしているのかは非常に関心があります。