カナダ:ロヒントン・メドーラ
(国際ガバナンス・イノベーションセンター総裁)
参加国の行く末は、向こう10年の世界の健全性を担っていくかもしれない
今回、東京に来られることができて、非常にうれしく思います。
今回のシンポジウムは非常に重要で、かつ、非常にタイムリーなテーマを取り上げたと思っています。なぜなら、今回の参加国は、これからの世界の健全性を担っていくだろう国が参加しているからです。今回の参加国が今回のテーマに掲げられているような課題にどう向き合っていくかということは、世界の健全性の向こう10年間を決めるようなことになるかもしれません。しかも、今、世界でいろいろなファクターが重なり合っているタイミングで、今回のようなシンポジウムが開催できるということは、非常に重要だと思います。
G7の最大のテーマである金融を考える上で重要な2つの視点
5月に行われるG7の中でも議論されることになると思いますが、その中でも特に金融について、とりわけ、いま、金利が非常に低い状況が続いていますが、この状況からどのように脱却してくのかということが今年のG7、それから数年後のG7でも議論されなければならないことだと思います。確かに、これまでも、低金利の状況からどう脱却するかということは議論されてきましたが、そこから脱却するために、より現実的な話をしなければならない状況が訪れたと思います。私は、こうした議論を、2つの大きな流れの中で行う必要があると思っています。
まず、1つの大きな流れは、明らかに保護主義を促進するようなことを言っている国、そうしたことをほのめかしているという意見も台頭してきており、こうした保護主義の問題をどう考えればいいかということです。加えて、ロボット技術やその他のテクノロジーによって、いわゆる、高いスキルを必要としないロースキルの雇用がどんどん喪失している状況が続いています。これは、先進国でも途上国でも同様の問題が発生しています。こうした背景がある中で、この議論を行う必要があります。
もう1つの流れとしては、長い間ガバナンスが欠けているという状況が各所で見られることです。この状況をどう埋めていけるかが、我々シンクタンクがソリューションンを提供し、役割を担っていかなければならない課題だと思います。例えば、インターネットは、ここ10年、20年、多くの人が非常に利用する状況になっていますが、インターネットにおけるガバナンスというものは存在しません。それから、気候変動に関するところも、まだこれからです。加えて、各国の負債に関する問題、知的財産に対する問題、特に、後者については今後、技術革新を促進することによって、第四の産業革命を目指していく上でも非常に重要になってくる問題だと思います。どのようにイノベーションを起こし、どう技術促進できるか、という点についてもガバナンスはまだ不十分です。
こうした議論を、明日の場で議論し、今回の対話で終わることなく、引き続き、議論しなければならないことだと思います。今後も、東京で議論する場がつくられることを期待したいと思います。