中国:肖耿
(国際金融フォーラム研究所所長、香港大学教授)
中国は金融市場の安定化と構造改革を進めていく必要がある
今回のシンポジウムは非常に重要だと思います。特に、今後、世界経済が安定して成長していくためにも、多くの国がシンポジウムに参加することが重要で、その中からイノベーティブな、もしくは協力できることは何かという議論をしていくべきだと思います。
その中でも1つ重要な問題として、中国の経済成長をどれだけ安定化させることができるか、もしくは、構造改革をどう深めていくかということが重要です。今、中国経済は6.5%を少し超えるぐらいの成長をしています。しかも、世界第2位の経済国だということを考えると、中国がきちんとその課題に真剣に対応していかなければならないと思います。その中でも、特に、真剣に金融市場の安定化と構造改革をもっと進めていかなければいけないと考えます。そのために、私は為替の安定化と、中国市場を開いた市場にしていくことが重要です。
グローバル化が進む中、各国が協力して対応していくことが重要
この10年間、人民元高の基調が続いてきた結果、中国人が所有していた米国資産、預貯金を手放すということがすごく進んできて、中国国内の外国資産が非常に薄い状況になってきています。こうした状況下で、さらなる人民元安が進むと、非常に経済が不安定な状況になってしまいます。逆もしかりで、外国人投資家が中国の国債を買えるような仕組みももっと進めるべきだと思います。中国の国債であれば安全だということ、金利も高くなるように対応しながら、互いに分散化できるようにしておくことが重要だと思います。
だからこそ、まず為替の安定化をやっていくことが重要で、これは、FRB(連邦準備制度理事会)にとっても、日本銀行にとっても、ECB(欧州中央銀行)や中国人民銀行にとっても協力していかなければいけないことだと思います。そうしないと、例えば、中国人民銀行が、これからリスクがあるという恐怖を感じることで金融の引き締めをやってしまう可能性があり、しかも、さらなる資本規制の引き締めを行う可能性が出てきます。それは逆行している話なので、その点は各国が協力していく必要があります。特に、いま、経済はグローバル化が進み、例えば、中国で数カ月間続いた市場のボラティリティの状況というのは、不必要な恐怖をあおったというところがありました。そういうことは、経済にとってはよくないことなので、みんなで協力していくことが重要だと考えています。