インド:サンジョイ・ジョッシ
(オブザーバー研究財団所長)
G7で形作られた構造が今、脅威・挑戦を受けている
これからの世界の状況を考えると、今回のシンポジウムで議論する内容になったのは、理論的に見ても同意できます。パリでテロ事件があり、シリア問題があり、中国経済の不透明な部分もあるなど、世界的に見ても非常に不透明な状況が続いている中での会議となり、その中で、各国のシンクタンクが一堂に集まって、そうした問題について議論するということは、非常に意義のあることだと思います。
約25年前、グローバリゼーションという1つの壮大なプロジェクトがスタートしました。ただ、その時の内容というのは、一部限定された国々が集まって、安全保障や構造的な問題、グローバル化の中、何をノーマルとするのか、グローバリゼーションという1つのプロジェクトの中身を一部の国が定めていった。
それから20年、25年経過した今、グローバリゼーションという1つの壮大なプロジェクトは失敗をしたというか、機能していないという状況にあるのだと思います。ただ、小さなところで、多様な動きというのが脈々と波打っていて、しかも、それが衝突を起こしているという状況だと思います。その中で、G7というのは1つの立場にあると思います。もともとグローバル化のプロジェクトからできたG7、ただ、そこで形作られた構造が今、脅威・挑戦を受けている状況にあります。
世界の課題に挑戦するアクターは国や政府に限らない
現在、そうした状況だからこそ、新しいグローバルアーキテクチャは何なのか、グローバル状況下でのノーマルは何なのか、グローバルインスティテューションはどうあるべきなのか、ということを考え直す時期に来ていると思います。しかも、今、世界の課題に挑戦するアクターは、これまで以上に増えている。既に、国や政府だけがアクターではなくなり、例えば、言論NPOや、我々ORFもそうですが、そうした団体も実際にアクターになって自身の責任として、世界的な議題をディベートして、インプットとして提案していくことをやっていく必要があると思います。特に、自由という価値を共有している国々、同じマインドを持っている人たちが集まって、国境を越えて議論して、発信していくということの意味は非常に大きいと思います。