言論NPOは7月4日、世界が直面するグローバルな課題の解決に向けた日本国内の議論形成、およびその解決策を東京から国際社会に発信するための有識者会議「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第3回会議を開催しました。
会議には、言論NPO代表の工藤泰志のほか、赤阪清隆氏(フォーリン・プレスセンター理事長)、岩崎俊博氏(野村證券代表執行役副社長)、岡野進氏(大和総研専務取締役)、近藤誠一氏(近藤文化・外交研究所代表)、杉田弘毅氏(共同通信社論説委員長)、長谷川閑史氏(武田薬品工業取締役会長)、藤崎一郎氏(上智大学国際関係研究所代表)の7名の委員及び内野逸勢氏(大和総研経済環境調査部長)、藤野純一氏(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)の2名の専門委員が参加し、活発な意見交換が行われました。
会議ではまず、工藤から、5月に世界の有力シンクタンクの会議であるカウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)年次総会に参加し、グローバル・イシューに関する評価を記したレポートカードを発表したこと、また年次総会での議論の動向、各国シンクタンクとの協議の状況及びワールド・アジェンダ・スタジオ(WAS)における議論と発信の状況について報告がなされました。
その後、来年初頭に開催を予定している「東京会議」に向けたWACの今後の方針について意見交換が行われました。また、6月23日の国民投票によってイギリスがEU離脱を決定したことから、参加者間で民主主義についての意見交換がなされました。
参加者からは「各国が今まで作り上げたシステムの矛盾や、グローバリゼーションの進展によって様々な問題に直面し、自由主義を貫徹することが難しくなり、アメリカのトランプ現象、英国のEU離脱、欧州各国で自主権を求める運動が起きるなど、保護主義へ走り出している」、「グローバリゼーションの進展に伴い、国境を越える問題に対して、意思決定機関ではないG7及びG20が対応できない事態が起きている。今だからこそ、グローバリズムとデモクラシーの問題について真剣に考える必要があるのではないか」など様々な論点から活発な意見交換がなされました。
最後に工藤から、「今日のような世界の課題に関する議論と論壇形成を行いつつ、『東京会議』の準備を進めていきたい。また、海外のシンクタンクとの連携も進んでおり、彼らが東京に来た際には、WACの皆さんも交えて今日のような議論も行いたい」と会議を締めくくりました。
言論NPOでは、WASの開催をはじめ、グローバルな課題について今後も定期的に議論を行っていきます。