言論NPOは2月2日、世界が直面するグローバルな課題の解決に向けた日本国内の議論形成、およびその解決策を東京から国際社会に発信するための有識者会議「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第6回会議を開催しました。
会議には、言論NPO代表の工藤泰志のほか、赤阪清隆氏(フォーリン・プレスセンター理事長)、岡野進氏(大和総研専務取締役)、古城佳子氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)、滝澤三郎氏(東洋英和女学院大学教授)、長谷川閑史氏(武田薬品工業取締役会長)、藤崎一郎氏(上智大学国際関係研究所代表)の7名の委員と、専門委員として藤野純一氏(国立環境研究所主任研究員)、内野逸勢氏(大和総研経済環境調査部長)の2名が参加し、2017年3月に予定されている「東京会議」に向けて活発な意見交換が行われました。
会議ではまず、工藤より12月8日に行われた前回会議以降の活動報告として、1月7日より10日間にわたる訪米において50氏の有識者との意見交換を行ったこと、笹川平和財団米国で講演を行ったことなどが報告されました。その中で工藤は、トランプ大統領就任後のアメリカの行方が不透明な中、アメリカの多くの有識者から「言論NPOや日本に戦後の自由や民主主義といった規範を担う役割を期待している」との声が多くあったことを紹介しました。
その上で工藤は、3月初旬に行う「東京会議」において、民主主義と国際秩序の将来、国際社会が直面している様々なグローバルイシューについて価値を共有する世界10カ国のシンクタンクトップを東京に招聘して対話を行うこと、議論の内容をまとめてG7に対して提案することを目指すとして、今回の「東京会議」の重要性を強調しました。
次に、ゲストスピーカーとして財務官の浅川匡嗣氏から、「グローバル経済におけるリスクと先進国の役割」とのテーマで、現在の経済情勢などに対しての解説が行われました。その中で浅川氏は、米国、欧州、中国、原油・新興国という4つの視点から、グローバル経済における現状、今後の見通しなど、様々な角度から現在の経済情勢について指摘。その中で、今後のリスク要因として中国の資本流出を挙げ、人民元の暴落を防ぐことが最大の課題だと語るなど、3月初旬の「東京会議」に向けて、示唆に富む意見や解説がなされました。
その後の意見交換では、委員からトランプ大統領の個人プレーを心配する意見が出されると、通商面では大統領の権限が強いが、財政・金融面においては議会の関与が必要であり、トランプ大統領も自由な決定ができないとの意見が出されるなど、活発な意見交換が行われました。
こうした議論を踏まえて工藤は、トランプ大統領就任後もヨーロッパではドイツ、フランス大統領選が行われるなど、世界的な秩序が見通せない中で、3月初旬に日本を舞台に行われる『東京会議』で何を発信するべきか、世界情勢も見ながら思案し、世界の中でも意味のあるものにしていきたいと意気込みを語り、会議を締めくくりました。
言論NPOでは、3月初旬の「東京会議」に向けて、世界課題に関する議論を行う予定です。詳細は随時、言論NPOのホームページで公開していきます。