公開フォーラム終了後、4人のパネリストが参加して記者会見が行われました。
初めに言論NPO代表の工藤泰志が、「世界が直面する課題を東京で議論し、世界にメッセージを届けるという流れを始めたい」と、東京会議の発足にかける思いを語りました。
次いで、G7が1975年の開始以降、自由と民主主義の規範を守りながら、多国間主義に基づく協力という理念を共有し続けてきたことに触れ、「その状況が問われている中、今年のG7は非常に重要だ」と、5月にイタリアで開かれるG7首脳会議への提言を発表した意義を説明しました。メッセージを受け取った岸田文雄外務大臣による特別講演を振り返り、「日本政府と私たちの考えがかなり近いことに驚いたが、日本が自由や民主主義の規範を主張するタイミングに来たのだということを実感した」と述べました。
続いて発言したイタリア国際問題研究所所長のエットーレ・グレコ氏も、同じ価値観を共有する国がそろうという意味で、G7での協力関係が重要だと強調。そして、今回の緊急メッセージを、G7議長国であるイタリア政府や、イタリアの専門家のコミュニティ、また一般の人にも伝えていきたいと語りました。
ワールドアジェンダカウンシル(WAC)委員の長谷川閑史氏(武田薬品工業株式会社取締役会長、前経済同友会代表幹事)は、1日の議論を通して議題になったグローバリゼーションに伴う貧富の格差の問題について、「民主主義も時代に応じて構造改革をしていかなければいけない。その理由の一つは、世界全体が豊かになっているにもかかわらず貧富の差が拡大する一方で、公平を実現するメカニズムをまだ発見していないからだ」とし、この問題に民主主義が答えを出していく必要性を改めて訴えました。そして、G7諸国のGDPが世界に占める割合が、42年前に発足した当初の75%から50%未満にまで下がっている現状を紹介し、G7で最大の経済大国であるアメリカが、同じ価値観を共有する国としてしっかりとG7に関与していかないかぎり、世界の分裂化という状況に答えが出せないと主張しました。
アメリカ外交問題評議会シニアバイスプレジデントのジェームズ・リンゼイ氏は、発足間もないトランプ政権がG7で何を達成したいのか予測するのは時期尚早だと指摘。その上で2日間の議論を振り返り、「協力的な雰囲気の中で、よりよい理解を得ようという議論がなされた。イタリアでのG7も同じような雰囲気でなされればと思う」と感想を述べました。
そして、会場に詰めかけた記者との活発な質疑応答が行われた後、工藤が「東京会議はこれから毎年やろうと思っている。東京を舞台に、世界の人たちが横につながり、その知恵を活かして議論し、発信するサイクルをつくることが、グローバルのリベラルな仕組みをささえていくことになる」と、来年以降の抱負を語り、記者会見は終了しました。
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