言論NPOは6月7日、「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第1回会議を開催しました。WACは世界が直面するグローバルな課題の解決に向けた日本国内の議論形成、およびその解決策を東京から国際社会に発信するための有識者会議です。言論NPOはこの3月に世界10カ国のシンクタンクの代表を集めて議論する「東京会議」を発足させましたが、次回の「第2回東京会議」に向けて、再びWAC会議が始動しました。会議には、武田薬品工業会長の長谷川閑史氏はじめ13名が参加しました。
会議の冒頭、ゲストスピーカーとして招かれた外務省経済局長の山野内勘二氏より「G7タオルミーナ(イタリア)サミットにおける成果と課題」をテーマにご報告頂きました。その中で山野内氏は、ドイツのメルケル首相と並び安倍晋三首相がG7の最古参であると同時に、米国のトランプ大統領とも話の出来る間柄であるという立場を活用して、G7の分裂の阻止や保護主義と闘うメッセージを出すことなどにおいて、大きなリーダーシップを発揮したと強調しました。さらに、グローバリズムに対する反発の高まりを受けて、今年のG7が法の支配や人権など基本的価値観を共有するという観点からも重要な枠組みであること、メディアの報道とは異なりG7という枠組みが依然として有効であること、加えて「東京会議」がG7に向けて発した緊急メッセージが意味のあるものだったとの見解を示しました。
その後、工藤から次回の「東京会議」までのスケジュールについて説明があり、WAC会議とフォーラムを定期的に行うこと、次回の東京会議の日程が3月9日~11日で確定したことが共有されました。委員からは、次世代を育成する為にインターンなど学生の参加が重要であること、シンクタンク代表だけではなくIMFや世界銀行など国際機関からの参加について、途上国へのアウトリーチの重要性について、英語での情報発信やメディアリレーションについてなどなど多く意見が出され、次回の「東京会議」に向けての機運の高まりを感じさせる活発な議論となりました。
言論NPOは、今後もグローバルな課題における日本のオピニオンを発信し、国内での論壇形成に向けて積極的に活動してまいります。今後も定期的にフォーラム等も開催していきますのでご注目ください。
第1回WAC会議参加者
【委員会】
言論NPO代表・工藤泰志、赤阪清隆氏(フォーリン・プレスセンター理事長)、古城佳子氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)、小松浩氏(毎日新聞社主筆)、近藤誠一氏(近藤文化・外交研究所代表)、滝澤三郎氏(特定非営利活動法人国連UNHCR協会理事長)、田所昌幸氏(慶應義塾大学法学部教授)、長谷川閑史氏(武田薬品工業取締役会長)、藤崎一郎氏(上智大学国際関係研究所代表)
【専門委員】
藤野純一氏(地球環境戦略研究機関プログラム・マネジメント・オフィス上席研究員)、内野逸勢氏(大和総研金融調査部主席研究員)、菅原淳一氏(みずほ総合研究所調査本部政策調査部主席研究員)