公開フォーラムの最後に、「北朝鮮の核保有を容認するいかなる声にも賛同しない」など5項目からなる「カナダでのG7首脳会議に向けた緊急メッセージ」が言論NPO代表の工藤泰志より発表されました。
そしてこれに引き続いて、「緊急メッセージ」が工藤から今年のG7首脳会議議長国であるカナダのナディア・ブルジェー・在日カナダ大使館首席公使に手交されました。
カナダ政府が設定する5つのテーマ
「緊急メッセージ」を受け取ったブルジェー氏は、同国のジャスティン・トルドー首相が今年のG7サミットにおいて設定しようとしている5つのテーマについて説明。
まずその一番目として、「すべての人々にとっての成長に資する投資」を挙げ、「長期的な視点から『包摂的成長』を実現するためにはどうすべきかを考えなければならない」と語り、『これはG7にとっての義務である』とその重要性を強調しました。
二番目として、「将来の雇用に備える」ことを挙げ、グローバリゼーションに伴う雇用構造の変化や、人工知能(AI)に代表される革新的技術が台頭する中で雇用をどう守るのか。とりわけ、教育や職業訓練などを通じた対応整備の必要性を指摘しました。
三番目としては「女性の社会進出」を挙げ、これは一番目の包摂的成長にも関わる重要テーマであるし、実際にカナダ自身も非常に力を入れている課題であると説明しました。
四番目には、「海洋環境」を挙げました。人類が共に繁栄していく上では、共通の資産である海洋の保全が不可欠であり、新たな環境管理手法を考える必要があると述べました。
そして最後の五番目として、「より平和で安全な世界の実現」を提示。「平和と安全」はすべての人々にとって恩恵をもたらすものである以上、国際紛争がます
ます複雑化する今日の状況においては、「G7こそが意思を統一してコミットしていかなければならない」と強調。そしてその際には、民主主義や基本的人権の尊重、ルールベースの世界秩序の維持といった既存の価値や規範を強く意識しながらのコミットメントにならなければならないと指摘しました。
ブルジェー氏は最後に、そうしたカナダ政府の方針とも合致する今回の「緊急メッセージ」に対して感謝の意を示すと同時に、「本国に持ち帰って必ず活用する」と確約しました。
シンクタンクの英知を結集すれば、どんな困難な課題解決も可能
その後、閉会挨拶に登壇した言論NPO理事の近藤誠一氏(近藤外交・文化研究所、元文化庁長官)は、「人類は現在、かつてないほどの大きなチャレンジを受けており、多くの人々が不安にさらされている」と切り出した上で、そうした状況の中では依然としてG7には世界秩序の維持のために強いコミットメントが求められると語りました。
しかし同時に、「もはや国家だけではすべて解決できる時代ではない」とし、非政府の役割の重要性を強調。そして、「今日の議論を聞いて、シンクタンクの英知を結集していけば、いかなる課題に対しても答えを導き出せると確信した」とこの「東京会議2018」の成功を力強く宣言し、4時間半にわたって繰り広げられた白熱した議論を締めくくりました。
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