言論NPOは7月26日、グローバルイシューの解決策を日本から国際社会に発信するための有識者会議「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第2回会議を開催しました。今回はゲストスピーカーとして、6月にカナダで開催されたシャルルボワ・サミットに出席した西村康稔・官房副長官が、「G7―今、直面している課題と将来」と題してG7の現状を報告しました。
西村官房副長官は講演で、今回はイランやロシア、貿易問題で激しいやりとりがあったものの、G7は国際社会の牽引役として、これまで以上に役割を果たしていくべきだとまとめ、G7の結束を新たにした、と語りました。
さらに、シンガポールでの史上初の米朝首脳会議を控えたトランプ米大統領は、会議中にカナダを離れ、不評を買ったりもしたものの、現地での同大統領は、米と他国との二国間協議を基本としながらも、WTOやTPPの多国間機関・組織を決して軽視はしておらず、米国にとって有利と見れば、それなりの存在価値を認めているようだ、と西村官房副長官はその感触を話しました。
報告を受けて、10人のWAC委員との質疑応答が行われ、「G7には亀裂報道もあるが、今後も継続できるのか」、「北朝鮮問題では非核化プログラムと平和プログラムは同時に進めるのか」、「朝鮮戦争の終戦宣言に対する米と北朝鮮の反応は」などの質問が飛びました。
最後に、言論NPO代表の工藤泰志は、「米中貿易戦争は世界に拡大しているが、この暗雲をどうやって取り除くのか。こうした世界的課題をどう解決するのか、世界の声を世界につなげたい」と、今後のWACへの動きに強い期待感を寄せていました。
次回のWAC委員による意見交換会は9月6日に行われます。
第2回WAC会議参加者
【ゲストスピーカー】
西村康稔 内閣官房副長官
【委員】
赤阪清隆 公益財団法人フォーリン・プレスセンター理事長
河合正弘 東京大学公共政策大学院特任教授
工藤泰志 言論NPO代表
小松浩 毎日新聞社主筆
近藤誠一 近藤文化・外交研究所代表、元文化庁長官
杉田弘毅 共同通信社特別編集委員
中川淳司 東京大学社会科学研究所教授
藤崎一郎 日米協会会長、公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所理事長
元駐米大使
牧野正俊 株式会社大和総研常務取締役・調査本部長
【専門委員】
内野逸勢 株式会社大和総研金融調査部主席研究員
藤野純一 公益財団法人地球環境戦略研究機関都市タスクフォースプログラムディレクター