言論NPOは9月6日、グローバルイシューの解決策を日本から国際社会に発信するための有識者会議「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第3回会議を開催しました。
米中貿易戦争をはじめ世界の自由貿易体制に亀裂が入る中、G20の役割が改めて問われています。そこで今回は、ゲストスピーカーとして、財務省の武内良樹国際局長をお招きし、「G20、何が問われているのか‐日本議長国として求められる役割‐」と題してご講演いただきました。
武内局長は冒頭、現下の世界経済情勢の概観と、市場に影響を与え得る米・欧・中・新興国における当面のイベントについて解説。今後に向けていくつかの懸念要素はあるとしつつも、10年前、20年前と比較して各国の経済指標が悪いものではないとの認識を示しました。次に武内局長は、自身が同行した8月下旬の「第7回日中財務対話」や、麻生太郎財務相と中国の韓正筆頭副総理、劉鶴副総理との会談について説明。
さらに、7月にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議については、世界経済、国際金融アーキテクチャ、金融セクター改革、国際課税、テロ資金供与対策など多岐にわたり議論が行われたと振り返りました。また、今年の議長国アルゼンチンが掲げた優先分野として、技術革新が変える「仕事の未来」について検討が行われたり、「インフラストラクチャー投資の推進」について議論が行われたことも紹介しました。
最後に武内局長は、来年2019年、日本が議長国として迎えることになるG20会議について説明。議論をリードし、世界経済・金融の安定と発展のために、日本の役割を果たしていくと抱負を語りました。
講演後は、WAC委員との質疑応答が行われました。そこでは、今後のアメリカや中国の動向予測や、米中対立が続く中でのG20における日本の立ち位置などについての質問が投げかけられました。
その後は、WAC委員間での意見交換に移り、来年開催予定の「第3回東京会議」で議論すべきグローバルイシューについて、様々な論点提示が行われました。
「第3回東京会議」の準備状況につきましては、言論NPOのウェブサイトで随時お知らせしていきますので、是非ご覧ください。
第3回WAC会議 出席者一覧
【ゲストスピーカー】
武内良樹氏 財務省国際局長
【委員】
赤阪清隆氏 公益財団法人フォーリン・プレスセンター理事長
工藤泰志 言論NPO代表
古城佳子氏 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻教授
杉田弘毅氏 共同通信社特別編集委員
藤崎一郎氏 日米協会会長、公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所理事長、
元駐米大使
牧野正俊氏 株式会社大和総研 常務取締役 調査本部長
【専門委員】
内野逸勢氏 株式会社大和総研金融調査部主席研究員