「東京会議2019」の評価と、来年の会議に向けて何が必要か

2019年3月04日

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国際秩序をアップデートしようというメッセージを
トランプ政権だけでなく米国のより広い政策決定者に届けることが重要

_DZB1569.jpgエットーレ・グレコ氏
(イタリア国際問題研究所(IAI)副理事長)


工藤:今回の東京会議に参加して、どのように思いましたか。

グレコ:東京会議には昨年に続いて参加しましたが、グローバルガバナンスに関する課題について素晴らしい議論の機会となりました。特に、米中間の対立を巡る深い議論により、これらの大国にどのように向かい合うか、示唆を得ました。そして、今の困難をどのように解決するのか、第三国がどのように米中関係の発展に貢献できるのか、議論しました。この文脈において、G7、G10諸国の実際の貢献能力に焦点を当てて議論したことは、重要です。この緊張をどのように解き、世界の経済協力における既存の国際機構やシステムの改革、アップデートの道を見つけるか。このような、安全保障、政治と経済が密接に関係する問題について、私たち民主主義国がどのような未来のシナリオを準備できるか、議論を試みました。中国のような、異なる体制の選択肢を持つ国に対し、私たちの国が共同戦線を組む。そして、特殊な貿易慣行やWTOでの位置付けを巡り、中国の経済改革を誘発することです。特に、WTOの将来は議論の鍵となる論点でした。現在、アメリカから疑問視されているWTOの紛争解決手順がアップデートされるべきだ、というのが、全体的な合意となりました。

工藤:グレコさん、実は来年が大事で、今回の成功は来年のためなのです。来年3月の「東京会議2020」でもG7議長国に提案するのですが、その議長がトランプ大統領なのです。それに向けてどういう大きな動きをつくっていけばいいか、アドバイスをください。

グレコ:会議の後に採択されるこの重要な文書は、基本原則、価値の重要性を強調しています。今回の合意で焦点を当てた5つのポイントの重要性を私は確信しており、来年に向けて進む道も、この5点を確認することから始めるべきです。この点でどのように国際協力を発展させるか。もしアメリカの政権に提案するなら、私たちがこれらの価値を促進し、トランプ大統領が立場を修正するようにしなければいけません。そのために、G7やG20のような会議体を基礎に、これらの価値を議論することが大事です。言論NPOにとっては、次の東京会議のアジェンダを準備することが特に重要な課題だと思います。

 来年、トランプ大統領に送られるメッセージは、国際協力のシステムを守るという私たちの決意であるだけでなく、既存の国際組織の改革、アップデートを始めようという、ワシントンへのいくつかの要求でもあります。トランプ政権に伝えられるこの二重のメッセージこそが、ルールベースの秩序を守るための共同作業を始められると、アメリカに確信させる唯一の道です。今のグローバルガバナンス・システムの様々な要素を改革することは、トランプ大統領だけでなく、米国のかなり大きな合意です。私たちはトランプ政権にメッセージを送るだけでなく、もっと広く、米国の政策決定者や外交コミュニティにきちんと届ける必要があります。

工藤:また相談させてもらいます。ありがとうございました。

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