本日は、言論NPOの「東京会議2020」のためにこのメッセージをお送りできることをうれしく思います。
残念ながら、コロナウイルスの感染拡大のために、今回の東京会議には参加がかないません。
東京は素晴らしい街で、多くの友人がおり、いつも非常に興味深い議論ができる場所です。
今回はこの会議にこのビデオを通じて参加させていただければと思います。
まず、私の友人である工藤さんからの質問にお答えしたいと思います。
南シナ海の状況はどのように展開していくのか?
昨年1年間の状況の進展によって、どのような驚異が存在しているのか?
日本は地域の民主主義の大国ですが、中国はご存じの通り異なる体制を持ち、独自の進化をしています。
ここで何が最も大きい課題なのか、それはもちろん中国国内の安定です。
低成長、コロナウイルスの大流行、中国政府へのコロナウイルス感染対策に関しての不満の高まり、これを背景に何が起こるのでしょうか
中国政府は国内問題を解決するために、別の問題を国外に見つける必要に迫られるでしょうか
世界は、すべての地域での経済後退がみられるような状況にこの感染拡大によって追い込まれることはあるのでしょうか。
何が起こるのか。本当のところは誰もわかりません。
しかし恐怖は広がっています。恐怖は血管をめぐり、脳に侵入しています。
大惨事が起こると予測している人たちもいます。
これは本当に起こるのでしょうか
今日現在、コロナウイルスでは多くの死者、感染者がいますが、これを人口の割合で考えれば、それほど大きい数字ではありません。
今起こっている最悪の現象は恐怖です。最悪の状況はこの恐怖が地政学的な緊張を生み出すことです。
コロナウイルスは世界中に広がる可能性があります。この影響がどれほどの規模になるのか、それは誰もわかっていません。
流行のパターンを分析すると見えてくるのは、流行の第一段階で感染を抑制するという機会は失われてしまったということです。
ですから、流行が世界中に拡大する局面になる可能性があります。
暖かい気候で感染が抑制されるような状況が生まれるかもしれない、しかしそれはまだわかりません。
ブラジルではまだ、コロナウイルスの感染がこのコメントを録画している時点ではみられませんが、私たちはこの問題に対応するために必要な準備を進めています。
これはすべての国がそうするべきです。中国の外と、湖北省での感染の広がりをみると、異なる状況が見えてきます。湖北省の外での流行は加速していますが、それは大規模なものではありません。
これはまだ何が起こるか断言できる段階にはありませんが。
そして湖北省では、感染拡大のスピード自体は緩やかになり始めています。ただ、この結果が何をもたらすのか、湖北省と北京の近さについては注意が必要です。
中国政府は、3か月前よりもその指導力が弱まっています
私たちは、今現在難しい挑戦に直面しているという以外に知っていることはあまりありません。
長期的には感染が収まり、再び地政学的な緊張が高まるかもしれません。問題が解決されず、米中、そして日本、南シナ海を巡っての緊張はさらに高まるかもしれません。
平和的な解決策が必要です。しかしその平和的な解決策は、協力の上にしか成り立たないものです。協力は、異なる統治体制を持ち、人々が異なる世界観を持っているときには難しいものです。
アメリカ人は、自分たちを光り輝く民主主義の旗手と考え中国人は、自国が世界の中心と考えている。
これは非常に難しい問題であり、お互いに相容れないものです。お互いを許容するためには、共有できるものを持たなければなりません。
これが私のコメントです。
来年は、この議論に参加できることを願っています。
東京での議論に期待しています。
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言論NPOは「東京会議2020」最終日の3月1日、世界10カ国の有力シンクタンクの合意で採択した「未来宣言」を、G7議長国のアメリカ政府に提出するとともに世界に発信しました。
この宣言は、自由な国際秩序を守るために、主要国が協調して世界のシステムの安定や地球規模課題での協力で強いリーダーシップを取ること、中国は世界との相互主義を受け入れると同時に、10カ国は中国に国内経済改革を迫る必要があること、そして、自由な国際秩序を守るためにも、民主主義国はそれぞれの国自体の民主主義を強くするための努力を始めること、などを10カ国で合意し、その覚悟を示したものです。
世界で進むコロナウイルスの感染拡大が、自由な国際秩序のもとで多国間が協力することの必要性を改めて浮き彫りにする中、世界のシンクタンクトップらは、感染拡大に伴う様々なリスクを取って、この会議のためだけに東京に集まり、危機に直面する世界の自由や民主主義を守る決意を、世界に伝えたのです。
言論NPOでは、彼らの決意を、日本の多くの方々にも共有したいと考えています。
よろしければ、下記URLから私たちの取り組みを広めていただけますと幸いです。