歴史学者と国際政治学者の重鎮3氏が考える「2021年の世界」は「どん底」であり、1月20日にバイデン政権が誕生したものの、国内の格差是正やコロナウイルスの感染がなかなか封じ込められず、国際協調に舵を切るものの、修復には数世代を超えるほど時間がかかる、との認識で一致しました。
これは言論NPO代表の工藤泰志と3氏の新春の鼎談で明らかになったもので、この議論には、ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長の五百旗頭真氏、青山学院大学国際政治経済学部教授の古城佳子氏、上智大学国際関係研究所客員研究員の納家政嗣氏が参加しました。
世界が「どん底」である背景として、コロナという人間の命に対する挑戦にも関わらず、国家対立である米中対立という文脈で処理し、米中両国の協調が全くできていないこと、さらには、コロナ収束に向けたリーダーシップをとる国が存在しないこと、などが挙げられました。その修復に動き出すバイデン米大統領も覇権的なリーダーシップを発揮するまでには至らないとの見方で、日本やヨーロッパ等、ミドルクラスの自由民主主義国家が役割を果たしていく必要があるとの認識で一致しました。
3氏はトランプ支持者の議会乱入に衝撃を受けたとしましたが、それでも踏みとどまった米国の民主主義の復元力に期待すると同時に、こうした民主主義崩壊の危険性は日本も例外ではないと警告。さらに既に社会基盤となったSNSなどのデジタル社会の加速に政治や経済の対応は2週以上遅れており、表現の自由や人権も含めた基盤づくりができるかの岐路にある、との見方も示され、これから世界で模索が始まる国際協調や民主主義の修復に向け、厳しい見方が相次ぎました。
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