グローバル課題と国際協調に関する有識者アンケ―ト(2021年1月)

2021年1月21日

バイデン政権でも国際協調の修復は簡単に進まない
―世界の課題に対する国際協調に関する言論NPOアンケ―ト(2021年1月)―

 1月20日に発足した米国のバイデン政権に国際協調の修復を期待しつつも、コロナ感染や国際貿易、さらに核軍縮など世界が直面する課題で、国際協力がこの一年で大幅に後退し、2021年もその修復は簡単に進まない、と多くの有識者が考えていることが明らかになりました。

 非営利シンクタンクの言論NPOが、昨年末から1月19日までに国際政治、外交、安全保障の専門家やこうした課題に取り組むNGO関係者などを対象に行ったもので142氏が回答しました。
また、喫緊の課題である新型コロナウイルスの年内での収束は難しく、長期化するだろうとの見通しが多数を占めました。


6割超の有識者が、地球規模課題に関する国際協力は機能していないと厳しい評価

 まず、2020年の地球規模課題への国際協力について、67.6%と7割近い有識者が「後退した(「やや」と「大きく」の合計)」(67.6%)と見ており、日本の有識者は、国際協力の現状は機能していないと厳しく評価していることが明らかになりました。

 さらに、新型コロナウイルス、気候変動、サイバーガバナンス等、10分野の個別の進捗評価でも、国際貿易の71.6%を始め、核軍縮・不拡散、国際開発、難民、国内・国際紛争の防止の5分野で半数を超える回答者が国際協力は「後退した」と判断。残りの新型コロナ、気候変動、サイバーガバナンス、国際経済システムの4分野も4割の人が後退と見ているなど、全面的に厳しい見方となりました。

 また、こうした地球規模課題での国際協調が「崩壊している」との回答も41.6%となっており、「国際協調は何とか機能している」の33.1%と上回っています。

【地球規模課題に対する国際協調の現状】

【地球規模課題に対する国際協調の現状】.png


アメリカの大統領が代わっても、多くの地球規模課題で国際協力は進まない

 また10の個別分野の2021年の進捗を予測してもらったところ、差し迫った課題である新型コロナウイルスへの対応と、気候変動については、「前進する(「一定程度」と「大きく」の合計)」との見方がそれぞれ71.8%、65.5%と半数を超えたものの、その他の8分野については半数前後から最大で8割近くが状況は「変わらない」と見ています。

 71.9%の回答者は、米国のバイデン政権に国際協調の修復を期待していますが、多くの地球規模課題では国際協力の修復が簡単に進まないと考えている、ことが明らかになっています。

【2021年、国際協力の分野別進捗予測】

【2021-年、国際協力の分野別進捗予測】.png


新型コロナウイルスの収束は長期化するとの回答が6割

 喫緊の課題である新型コロナウイルス感染の収束については、「2021年に収束する」(18.3%)との見方は2割に満たず、「収束には3~4年かかる」(27.5%)、「2022年に収束する」(22.5%)、「変異種が次々に生まれ、収束までさらに長期間を要する」(11.3%)と6割を超える有識者が収束までには時間がかかる、との見方を示しました。

【新型コロナウイルスの感染収束の目途】.png

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