海警法は、尖閣諸島を狙い撃ちにした法律か南シナ海・東シナ海・台湾海峡における中国の行動を、専門家3氏が分析

2021年3月03日

 バイデン政権の誕生直後に中国で成立した「海警法」について、安全保障の専門家3氏は法律で武器使用の任務が加わった以上、中国が主張する海域で、中国が強硬策に打って出てくる可能性が高まった、という認識で一致しています。

 さらに、こうした中国の強硬策は尖閣諸島にも当てはまり、「極端な言い方」としつつも、尖閣諸島を狙い撃ちにした法律かもしれない、との意見まで出されました。

1.png 加えて3氏は、2021年、中国の動きが具体的に顕在化してくる地域は「台湾」との見方で一致し、台湾の一部である東沙諸島に対するアメリカの出方や台湾の対応などが、一つの指標になるとの見方も出されました。

 これは、言論NPOが1月末に実施した座談会で示されたもので、元自衛艦隊司令官で元海将の香田洋二氏、防衛研究所主任研究官の増田雅之氏、東京大学東洋文化研究所教授の松田康博氏が参加し、司会は言論NPO代表の工藤泰志が務めました。


 今回成立した「海警法」で、3氏が注目点として挙げたのは、中国が主張している水域であれば、どれだけ一方的であっても管轄水域としてみなされ、武器の使用が可能になること、尖閣諸島や、南沙諸島に中国当局の承認なしに外国なり個人が何らかを設置した場合に強制的に排除する、という規定が加わったこと、さらに、有事になれば中央軍事委員会の指揮下に入ることも明確化されたことなど、です。

 その上で、香田氏は、海警は法執行機関であり、法律を執行することが任務であることから今後、何が起こってもおかしくない、と警鐘を鳴らし、さらに日本政府が有事の準備ができていなければ、パニックになる恐れもあり得るとして、日本政府の準備不足を指摘しました。

 2021年の中国の行動が顕在化してくる地域として3氏は「台湾」を指摘しましたが、その切迫度合いでは、見解が異なりました。

 香田氏は、中国の東沙諸島への行動に対するアメリカの出方、台湾の対応、日本の動きを一つの指標として、最終的に台湾にいつ手を出すかを決めるのが今年になる、と指摘しました。増田氏は、バイデン政権が台湾への支援を継続することを表明したことで中国は東沙諸島に軍用機や爆撃機を飛ばしたことを挙げ、アメリカの対応いかんによっては、緊張感がこれまで以上に高まると強調しました。

 これに対して松田氏は、中国が台湾の海空軍を潰して台湾の統治を開始することはコストとリスクの点から簡単ではないと強調し、中国としてはやるぞという脅しをかけるものの、実際には叩かないということを延々と1、2年やり続けるのではないか、との見通しを示しました。

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