今年の日韓両国民の世論調査で浮き彫りになったのは、戦後最悪とまで言われたこの数年の日韓関係で悪化した両国民の相手国への意識が改善し始めた、ことだ。
この変化は急激であり、これまで日本の印象を「悪い」と見ていた韓国人は、この一年で10.4ポイント、日本人の韓国に対する「悪い」印象も8.5ポイント減少している。
これは調査を始めた2013年からの10年で最も大きな改善率である。
こうした傾向は、現状の日韓関係の評価にも表れている。現在の日韓関係を「悪い」と判断する韓国人はこの一年で16.4ポイント、日本人で12.9ポイント減少している。
特にこうした改善傾向は韓国に強いことが、今回の調査の一つの特徴である。
その背景に米中対立の深刻化と緊張感の高まりで、韓国人の中国への警戒感が進んでいることがある。その中で米国との同盟国でもある日本に韓国民が歩調を合わせ始めた。
ところが、実際の日韓両国政府はその改善にまだ動いていない。それが、まだ現状の両国関係を「良い」と判断する人が少ないだけではなく、今後の日韓関係への国民の期待に広がっていない。
今回の世論調査は、日韓関係の改善の意志を示す新政権が韓国で誕生し、日本でも関係改善の機会を伺う岸田首相の下で行われたが、二人の指導者はまだ両国民からの期待をほとんど得ていない、ことも明らかになっている。
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