12月7日に開幕した「第18回東京―北京フォーラム」。初日午後には、平和秩序分科会特別セッション「国連憲章の今日的意味と世界の平和秩序の再建」が行われました。日本側司会は言論NPO代表の工藤泰志が、中国側司会は楊伯江氏(中国社会科学院日本研究所所長、中華日本学会常務副会長)が務めました。
まず前半では、「ロシアのウクライナ侵攻と世界の平和秩序の今後」をテーマに議論が行われました。
「国連中心の集団安全保障体制」、「米国の抑止力」、「世界の相互依存関係」によって維持されてきた平和が壊れ始めている
日本側から最初の問題提起を行ったのは田中均氏(日本総研国際戦略研究所特別顧問(前理事長)、元外務審議官)です。田中氏は現状分析として、これまでの世界は「1.国連中心の集団安全保障体制」、「2.米国の抑止力」、「3.世界の相互依存関係」の三点によって平和が維持されてきたとしつつ、「それが壊れ始めている」と指摘。1に関しては国連憲章を無視したロシアの侵略に対して拒否権を発動できない国連の無力さによってより露になり、仮に中国がロシアに与するようなことがあれば「完全に終わりだ」と強く懸念。2については中東で間違いを犯した米国の弱体化を指摘し、3については各国による経済制裁の多発が大きな要因との見方を示しました。その上で田中氏は、これら三点の見直しが急務であると主張しました。
日中関係50年の教訓を欧州で活かすべき
中国側から最初の問題提起を行った徐歩氏(中国国際問題研究院院長、国連秘書長ハイレベル諮問委員会メンバー)はまず米国に対する批判を展開。地政学的な大国間競争が起き始めている要因として、国家安全保障戦略やインド太平洋の展開において中国をターゲットとしたり、貿易のみならずイデオロギーをも武器化している米国の行動を、平和秩序を乱すものとして強く批判しました。
徐歩氏は欧州の現状については、政治的・安全保障的な安定のための構造が出来なかったことを問題視するとともに、ここでは日中関係50年の教訓を生かせると提案。特に「歴史を鏡とする」姿勢によって、「ロシアとNATOの歴史をよく考えるべき」と提言。併せて周辺国家とともに共同発展を実現するという習近平主席の国際秩序についての考え方も大いに参考になるだろうと語りました。
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