平和協力宣言
「第18回北京―東京フォーラム」は、12月7日から2日間にわたって東京と北京を オンラインで結ぶ会議方式で行われ、平和秩序、政治外交、安全保障、経済、デジタル社会、メディア、青年の議論に、日中両国を代表する有識者約100氏が集まった。
世界の平和と国際協調の修復に向けた日中両国の責任。今年の対話に対する 参加者全員の思いは、全体テーマに集約されている。
世界の平和は不安定化し、アジアで緊張が高まっている。そして、世界経済に分断の動きが強まっている。この地域の平和と安定、そして、世界の協力のために、今年、国交正常化50周年を迎えた日中両国こそが、責任を持って取り組むべきというのが、私たちの強い問題意識である。
世界やアジアの歴史的な困難にどのように向き合うのか。この二日間の議論を踏まえて、私たちが到達したのは二つの基本的な合意である。
一つは、各国の主権と領土の一体性を尊重し、どんな紛争も、最大限の努力を尽くして平和的に解決すること、そして二つめは、共に国際協力を推進し、世界の分断傾向をこれ以上、助長させないことである。
そのためには日中関係の修復も不可欠である。この50年間に合意した4つの政治文書の意味を再確認し、新しい情勢の下でもそれらが実行できるように、再構築する努力を行う。
その環境づくりを、政府に一歩先駆けて取り組むのが、私たち民間の対話の役割である。私たちはこうした強い思いから、以下の合意をまとめた。
私たちはこれを「平和協力宣言」として公表する。
- 1.世界の平和と安全を維持するために世界が力を合わせることは、国連憲章が掲げる理念である。私たちはこの理念に賛成し、国連憲章を基礎とする世界の平和秩序を擁護し、どんな紛争も平和的手段で解決すべきと考える。双方は ウクライナ情勢の現状を憂慮しており、ウクライナ危機のエスカレートの回避、平和的解決につながるあらゆる努力を共に支持する。
- 2.今回の世論調査では、周辺地域の安全保障情勢を懸念し、不戦や紛争回避を希望する声が、両国で増えていることが明らかになっている。私たちは、こうした民意を重視し、全ての関係者に地域の緊張を高める全ての行動を自制することを、求める。日中両国は事故の防止や紛争を回避するために海空連絡メカニズムの一層の強化を行うほか、安全保障課題を考える定期的な協議を早期に始めるべきである。また、北東アジア全域で、建設的な安全保障関係を構築するため、多国間の対話を強化すべきである。
- 3.日中両国が、地域の平和、安定と繁栄発展に責任を持って取り組むことは、国交正常化以来の合意である。両国は、これまでの政治文書に反映された合意が、国民間の幅広い理解を得るために一層の努力をする必要がある。両国はこれらの合意の今日的な意味を再確認し、世界的な視野を持って、新時代にふさわしい日中関係をどう構築するのかについて協議する。そのためにも日中両国は政府間だけではなく、民間も含めたあらゆるレベルの対話を強化し、必要に応じて、新しい合意を検討すべきである。
- 4.両国は、包摂的で地球環境に配慮した持続可能な世界経済のために共に努力すべきである。そのためにも、国際協調や国際法に基づく国際秩序の擁護、共通のルールに基づく自由経済の修復は堅持しなくてはならない。日中両国は、世界の分断傾向をこれ以上悪化させるべきではなく、世界経済のブロック化を避けるべきである。経済の全てを安全保障で考えるべきではなく、過度の経済混乱を招かない様に、両国政府は協力を前提に話し合いを始めるべきである。
- 5.アジアの未来で両国に問われるのも、平和と協力発展に向けた一層の努力である。両国はそのためにも相互信頼や共通利益での協力を具体化すべきである。政府間の信頼関係の再構築は急務であり、先日の首脳会談を政府間交流の正常化につなげるべきである。歴史的な困難が広がる中で、民間の取り組みが勢いを失うことは致命的である。コロナ禍で国民の往来が影響されているが、コロナ対策でも両国は協力を進め、渡航の正常化に向けた環境づくりに取り組むべきである。
私たちは、これらの合意を踏まえ、世界やアジアの平和と紛争の回避に取り組むと同時に、来年迎える「日中平和友好条約」締結45周年を目指し、日中の新しい協力に向けて一層の努力を行う決意である。
2022年12月8日
言論NPO、中国国際伝播集団
言論NPO、中国国際伝播集団