5月25日、北京を訪問した「東京-北京フォーラム」日本側実行委員会の武藤敏郎・実行委員長、宮本雄二・副実行委員長、山口廣秀・副実行委員長、そして主催団体代表の言論NPO代表の工藤泰志は、中国側の指導委員会の代表者を始めとした関係者約10名と今年10月に開催予定の「第19回東京-北京フォーラム」に向けて、4年ぶりに対面で事前協議を行いました。
日中関係の次の10年を見据え、率直かつ踏み込んだ議論を行いたい
冒頭、今回ホストとなる中国側主催者を代表し発言した杜占元・中国国際出版集団総裁は、4年ぶりに北京にて日本側実行委員会幹部を迎えたことに、厚い歓迎の意を表しました。その上で、「現在、中日関係は複雑な国際情勢と複数の課題に直面しているが、今年のフォーラムでの交流と議論を通じて、中日平和友好条約の精神を再検討し、地域の平和の維持と改善に向けて前向きな意見を出し合うべきだ」と今年のフォーラムへの期待を示しました。
続いて発言した武藤敏郎・実行委員長は、過去18年間毎年継続して開催してきた「東京-北京フォーラム」が年々影響力と注目度を増していることに触れ、「長年培った参加者や関係者間で強い信頼関係を基盤に、日中関係の次の10年を見据え、諸課題について率直かつ踏み込んだ議論を行い、世界が注目するような対話にしたい」とフォーラムへの決意を表明しました。
日中平和友好条約を機能させるための対案をまとめたい
日本側主催者を代表し発言した工藤は、前日に行われた日中主催者間の4年ぶりの対面協議ですぐに共通の目標で一致し、企画・運営について前向きで協力的な議論ができたことを報告。「一部のメディア報道や世論は、日中両政府間の対立や意見の違いを強調するが、私たちが実施した日中共同世論調査結果からは両国民の多数が平和を求めている。分断ではなく、平和と協力に向けた取り組みに期待している」と説明。さらに、今年45周年を迎える日中平和友好条約については、昨年の調査で日本人の48.2%、中国人の45.2%が「機能していないか、既に形がい化している」と回答していることに触れ、「条約が機能するために何ができるのかの議論を行い、場合によっては対案をまとめたい」と意気込みを語りました。
その上で、日中両実行委員会の幹部は、本年の「第19回東京-北京フォーラム」を2023年10月19日~21日の3日間(後日、10月18日~20日開催と1日前倒しで再合意しました)、「日中平和友好条約45周年に考えるーアジアと世界の平和に向けた日中両国の責任(仮)」を全体テーマに、北京で開催すること。また、政治・外交、経済、安全保障、メディア、デジタル、青年、特別対話の7つの分科会で開催することを決定しました。さらに、過去18年間同様に、フォーラム開催前の8月~9月に両国関係や地域の課題について日中両国民の認識を調査する日中共同世論調査を実施し、発表することも合意しました。さらに、7つの分科会での議論を踏まえ、今後の日中関係のあるべき方向性について両国で共同宣言をまとめて世界に発表することも合意しました。
5カ月後の「第19回東京-北京フォーラム」の開催に向けて、今後も随時言論NPOホームページ上でお知らせいたします。是非ご覧ください。
今回の日中両実行委員会による事前協議で決定したことは以下の通り。
- 10月19日~21日の3日間、対面方式を基本に北京にて「第19回 東京-北京フォーラム」を開催する(後日、10月18日~20日開催と1日前倒しで再合意しました)
- 全体テーマは「日中平和友好条約45周年に考える-アジアと世界の平和に向けた日中両国の責任(仮)」を軸に具体化する
- 分科会は、常設の政治・外交、安全保障、経済、メディア、デジタルに加え、青年対話と、特別対話を加えた7つのセッションを行う。テーマについては今後具体化する
- 分科会での議論を踏まえ、最終的に共同声明を公表する
- 両国関係や地域の課題に対する日中両国民の認識を19年間調査している世界で唯一の世論調査である、日中共同世論調査は今年も実施する。現時点では、調査を8月後半に実施し、結果は10月中旬に世界に公表する予定
事前協議参加者
【日本側】
武藤敏郎(同フォーラム実行委員長、株式会社大和総研名誉理事)
宮本雄二(同フォーラム副実行委員長、元駐中大使)
山口廣秀(同フォーラム副実行委員長、元日銀副総裁)
工藤泰志(同フォーラム執行委員長、言論NPO代表)
【中国側】
杜占元(中国側執行委員長、中国国際伝播集団総裁)
劉洪才(指導委員会委員、中国国際交流協会副会長)
陳小工(指導委員会委員、元中国共産党中央外事弁公室副主任)
程永華(指導委員会委員、中国日本友好協会常務副会長)
張燕生(指導委員会委員、中国国際経済交流センター首席研究員)
高岸明(指導委員会委員、中国国際伝播集団副総裁兼総編集長)