日中両国の軍・自衛隊関係者及び専門家間で議論する「日中安全保障会議」は7日、東京と上海をオンラインで結んで開催されました。今年は、10月18日~20日に開催される「第19回東京-北京フォーラム」のプレ企画としての位置づけです。
言論NPOと上海国際問題研究所の共催によるこの会議は、今回で5回目の開催となります。今年は、現在、北東アジアの喫緊の安全保障課題である台湾海峡問題と北朝鮮の核・ミサイル問題を踏まえ、北東アジアにおいて持続的な平和を作るために、日中はどのようなことに取り組むべきか、2023年は日中平和友好条約締結45周年であることを踏まえながら同条約の今日的な意味をどう考えるか、福島第一原発の処理水放出を巡る対立をどのように修復するのか、といったテーマについて話し合いました。
今回の会議は日中外交の正常化に向けた準備
日本側主催者を代表して挨拶した言論NPO代表の工藤泰志はまず、日中両国が対立を深めていることを念頭に、「今回の会議には日中外交の正常化に向けた準備を行う、という特別な意識を持って臨んでいる」と切り出しました。
そして両国を取り巻く北東アジアの安全保障環境の悪化を踏まえ、「まず締結から45周年を迎えた日中平和友好条約の再出発について議論したい。今まさにこの条約は存在意義を問われている」と発言。また、「台湾問題について、対立を煽るのではなく、冷静に議論すべき。そこで中国はどのように平和統一を進めようとしているのか、それを説明してほしい」と中国側に要望。さらに、核・ミサイル開発を進める北朝鮮についても、「中国は北朝鮮の核保有をどう考えているのか。それを話し合いたい」と今回の議論についての方向性を示しつつ、最後に改めて「今日の議論はすべて日中外交の正常化のために不可欠だ」と強調し、挨拶を締めくくりました。
中国側主催者を代表して挨拶した上海国際問題研究院院長の陳東暁氏は、5回を重ねたこの「日中安全保障会議」は、双方の理解増進に資してきたと振り返りつつ、日中平和友好条約の精神を護持・発展させ、この北東アジア地域や世界に平和と安定をもたらすために両国は何をすればよいのか、今回も胸襟を開いて議論してほしいと呼びかけました。