日中間で核について議論するのは、ほぼ初めて
「第19回東京-北京フォーラム」分科会の一つで、「核の安全体制の構築に向けた日中協力」をテーマにして19日午後行われた特別分科会は、日中両国の核問題・軍備管理の専門家らが一堂に会して初めて話し合いました。パネリストは中国側から5人、日本側から4人が参加。2時間超にわたり、異なる現状認識を巡って激論を交わしつつも、国際平和に向けた建設的な意見交換を繰り広げました。司会は元中国軍事科学院中米防務関係研究センター主任の姚雲竹・中国軍事科学院国家ハイレベルシンクタンク学術委員会委員と、言論NPO代表の工藤泰志が務めました。民間対話をはじめ、政府間レベルにおいても、日中間で核について議論することは「極めて珍しい」(関係者)とされ、多くの傍聴者が最大の「目玉企画」の議論を注意深く見守っていました。
冒頭、日本側司会の工藤が本フォーラムで核問題を取り上げるに至った経緯を説明。ロシアがウクライナ侵攻の過程で「核保有国が核兵器の使用・威嚇をした。原発施設への攻撃もあり、とんでもないことが起こっている。これまで積み上げてきた『核不使用』という国際的信頼を壊してしまいかねない」と問題意識を披露した上で、「最近、核保有国間において核軍縮がかなり後退しており、全ての不安につながっている。日中の有識者で議論することは簡単ではなかったが、何度も交渉した結果、実施することが決まった」と述べました。
中国側の姚雲竹氏も「ロシアが核使用に踏み切った場合、米国がどう応じるか、という質問に、米側は往々にして『あらゆる手段を排除しない』と言う。核保有国間において、こうしたやり取りはエスカレートにつながりかねない」と懸念を表明。その上で「核リスクを制御するという意味において、共通の利益がある」と応じ、議論がスタートしました。