「第19回東京-北京フォーラム」の分科会の一つで、日中両国を代表するメディア人が参加するメディア分科会が19日午後開催されました。「日中平和友好条約の今日的意味と報道の役割」をテーマに、両国から各5人が問題提起し、率直な議論を繰り広げました。
冒頭、日本側司会の川島真氏(東京大学大学院総合文化研究科教授、オンライン参加)が、先に発表された日中共同世論調査結果を踏まえて「日本側からすると、中国側でメディアへの信頼度が少し下がったような印象だ」と指摘し、議論が始まりました。
日本メディアにとって、「知る権利」をゆがめる誤った情報を流した場合には、批判的なのが基本的ロジックだ
まず、北京特派員などを歴任した共同通信社の辰巳知二・国際局編集委員多言語サービス室長は昨年のメディア分科会において「メディア版『不戦の誓い』を確認できたことは大きな成果だった」と振り返った上で、過去に日本の報道各社が「第二次世界大戦のお先棒を担いでしまった反省」に言及。続けて「今年の全体テーマである『アジアの安定と世界の平和協調に向けた日中両国の責任』を、メディア分科会で考える出発点として、もう一度確認したい」と呼びかけました。
一方で昨年の分科会で中国側参加者から「日本メディアは中国を批判するけれども、米国を批判しないではないか」との指摘があったことについて、それは当たらないと否定した経緯を説明。「イラク戦争は大義なき戦争だったことが明確になり、ワシントン特派員だった私も報道を通じて厳しく批判した。日本メディアは総じて米国に批判的だと思う。私たち報道は、国民の『知る権利』への奉仕者であり、『知る権利』は民主主義を支える重要かつ普遍的な原理だと考えている。この戦争は著しく正義に反し、私たちの『知る権利』をも大きく傷つけたことを確認した。『知る権利』をゆがめる誤った情報を流した場合には、絶えず批判的であるのが日本メディアの基本的ロジックだ」と重ねて説明しました。