日米韓3カ国の協力は、北朝鮮問題を超えて、地域の課題にも拡大を ~「日米韓対話」公開セッション報告~

2024年9月03日

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 「アジア平和会議」の初日である9月3日午後、2つめの公開セッションは「朝鮮半島と北東アジアで3カ国はどのように協力するか」と題して、日米韓3カ国から安全保障、外交専門家12人が一堂に会して活発な議論を繰り広げました。司会は元自衛艦隊司令官の香田洋二氏が務めました。

 議論する内容として挙がったのは①北朝鮮の非核化に対し、3カ国はどのように実現するのか。さらに米大統領選の結果によって懸念されることは何か。②北朝鮮の核開発と、それに対するロシアの技術協力にどう対応するか。韓国で高まる核保有の国民感情をどう考えるか。③日米韓3カ国は朝鮮半島だけではなく、台湾などの北東アジア全域の安全保障で協力する可能性はあるのか。協力を進める場合、どのような課題があるのか──の3点です。3カ国から1人ずつ見解を示してもらい、約2時間の議論がスタートしました。

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日米韓3か国の指導者は北朝鮮問題だけでなく、地域の他の問題にも目を拡げて協力すべき

 まず米国から戦略国際問題研究所(CSIS)のクリストファー・ジョンストン上級顧問兼日本部長が壇上に立ち、「北朝鮮の脅威が増大し、軍事力を増強する」現状について説明しました。さらに北朝鮮からロシアに250万~300万発の砲弾を移送し、ウクライナ侵攻を支援する見返りに、核技術開発能力を提供している実態に言及。国連での北朝鮮制裁に関しても、ロシアと中国が消極的な姿勢を崩していないことから、米国による対北朝鮮協議も進展が見られないことが報告されました。そうした状況下では、「日米韓の継続的な協力体制の強化は重要であり、北朝鮮に対して『現状の道を進んでも安全は確保されないことを示す』ことが重要になる」と指摘。さらに中国に対しても、同盟ネットワークの一層の強化によって「中国の利益に反する地域秩序が形成される」とのメッセージを送るとの方針が示されました。

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 さらに日米韓3カ国の戦略的枠組みに関して、ミサイル脅威に関するリアルタイムの情報共有など連携が強固になっているほか、長年課題が山積していた日韓関係においても、IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)において「防衛関係正常化で合意した意義は大きい」と歓迎しました。今週9月6日から2日間の日程で岸田文雄首相が訪韓し、尹錫悦大統領と12回目の会談を予定するなど関係改善が進んでいることも評価し、これらの実績を活かすためのステップを挙げました。

 具体的には軍事作戦の連携を深めるために①3カ国緊急時対応計画及び作戦センターの設置、相互の指揮下での連絡将校の交換などラテラルなコミュニケーションを図ること、②拡大抑止に関する対話を定期実施し、信頼性を強化する、との方針を示しました。また、議論となっている米国の戦術核兵器を、朝鮮半島に再配備することは現時点で不要である一方、NATOのような核兵器共有協定は必要ないものの、排除すべきではないとの見方を示す一方、同時にアジアにおける「フォーマルなNATO」化を提唱しているわけではないとの認識も表明しました。さらに3カ国の連携については「朝鮮半島の脅威を、はるかに超えるものであることを示すべきだ」との考えを強調しました。

 これらは「アジアのルールに基づく秩序の要石」であり、開発・技術・経済安全保障などの対話と同様に、インド太平洋に関する3カ国対話を一層強化すべきだとの考えが強調されました。同時にG7においても「韓国とオーストラリアを含めるべきであり、米日がG7拡大を提唱することは非常に強いメッセージになる」と訴えると同時に、3カ国の指導者が「北朝鮮問題だけではなく、地域の他の問題にも目を拡げて協力すべきだ」と提唱し、発言を締めくくりました。

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