日中間の課題解決に向けて、民間からもリーダーシップを発揮すべき ― 「第20回東京-北京フォーラム」全体会議パネルディスカッション報告

2024年12月04日

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 前日に開幕した「第20回東京-北京フォーラム」の2日目を迎えた12月4日午前、開会式・基調講演に続いて、「多国間協力に基づく世界秩序と平和の修復に向けた日中協力」をテーマとするパネルディスカッションが行われました。

 日本側は言論NPO代表の工藤泰志が、中国側は楊伯江氏(中国社会科学院日本研究所所長、中華日本学会常務副会長)がそれぞれ司会を務めました。


人類共同体は歴史的な岐路にあり、戦争をしている場合ではない。多国間主義に基づく国際協調を再興するための日中協力が求められている

 最初に発言したのは、前財務官で、次期アジア開発銀行(ADB)総裁に選出されたばかりの神田眞人氏です。

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 その冒頭、神田氏は現在の世界がAIや気候変動をはじめとして生存的リスクすら内包する様々な危機に直面しているとの認識を踏まえながら「人類共同体は歴史的な岐路にある」と指摘。こうした状況の中では「戦争や紛争をやっている場合ではない。法の支配など基本的価値を守る努力、国際秩序の維持と進化に向けた努力を加速しなければならない」と力強く主張しました。

 その上で、日本と中国は、両国間に懸案は多くとも戦略的互恵関係の構築に向けて協力すべきとしつつ、財務官在任中に中国と共に進めてきた様々な多国間主義へのコミットメントを回顧しながら、日中協力のあり方について提言。途上国債務問題やASEAN+3での金融協力を振り返りながら、こうした協力を今後も進めていくべきとしました。特に途上国の債務問題においては、中国が全体として保持している債権は、主要な先進諸国の債権国団・パリクラブの債権全体を上回っているとし、積極的な協力を求めました。

 そして最後に、次期総裁としてADBの場における協力についても言及。ADBの主要な加盟国の一つであり、支援対象国でも中国との多面的な協力の展開に意欲を示しつつ、多国間主義に基づく国際協調の精神で、粘り強く解決策を導き出していくことに日中双方が貢献していくべきと語りました。

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