「第20回東京-北京フォーラム」の八つの分科会の一つ、政治・外交分科会は12月4日夕刻から2時間にわたって開催されました。「日中が目指すべき『戦略的互恵関係』とは何か」という大きなテーマに関して、日本側から5人、中国側から3人のパネリスト計8人が参加しました。日本側司会は川島真・東大大学院教授(中曽根世界平和研究所研究本部長)と、中国側司会は中国社会科学院日本研究所の楊 伯江所長(中国日本協会常務副会長)がそれぞれ務めました。
冒頭、日本側司会の川島氏が2006年に合意した「戦略的互恵関係」の包括的推進について「一体どういった関係なのか。そもそも世界の対立構造の中で、日中はどのようにして、どのような関係を目指すべきなのか」と、両国の努力のあり方や最終ゴールはどこにおいているのかなどに関して議論の深まりを期待しました。
東アジアの国際秩序を維持するべき原理原則は「反覇権」
最初に東京女子大学の高原明生・特別客員教授は「日中で協力して、長期的な平和で安定した国際秩序をつくり、持続的発展を共に実現することが戦略的互恵関係の実現ではないか」と指摘した上で、大切な概念は「国際秩序」であると強調しました。続いて「皆が安全安心を感じることができるような力の配分・利益の配分が実現していることが大事な要素だ。それだけではなく、国家や企業、市民社会などのアクターの行動を規定する原理原則は何なのか。国際市場において国家などが行動する原理原則は何なのか」と語り、「原理原則」が大きな鍵を握っているとの考えを示しました。
一方、米国がこれまで信奉してきた国際秩序の原理原則が崩れており、その崩壊は米国国内でも始まっている点に触れ、「東アジアの国際秩序を維持するべき原理原則とは何なのか」との問題を提起しました。
その点に関して高原氏は、①国連憲章、②日中間の四つの政治文書にも記されている原理原則──が重要との認識を示した上で「今の時代に最も重要なポイントは『反覇権』だ」と強調しました。「覇権主義」については「実力を持って相手を操作すること。つまり、力によって自分の意思を相手に押し付けることだ」と指摘し、2025年で戦後80年を迎えるにあたって日中両国が協力し、平和の大切さを次世代へとつなげるべきだと呼びかけました。一方で、中国が陸上と海上での支配力を強めていることに関して「私達が大事に思う原理原則を忘れないでやっていただきたい」と要望しました。
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