ガバナンスをはじめとするAIを取り巻く様々な課題に日中両国はどう取り組むか。「次の10年」に向けた議論が展開された ― デジタル分科会 報告

2024年12月20日

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 デジタル分科会では、「デジタル社会の未来に向けたAI規制とデータ流通」をテーマに議論が行われました。日本側司会は、山﨑達雄氏(国際医療福祉大学特任教授、元財務官)が、中国側司会は高紹林氏(北京大学法律・人工知能研究センター顧問)がそれぞれ務めました。

 まずセッションの前半では、AIをめぐる日中など各国のルールや規制についての現状を共有するともに、今後のガバナンスのあり方を中心に議論しました。


日本はAIに関する国際的ルール形成をどのように主導してきたのか

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 議論の冒頭、松本剛明氏(衆議院議員、前総務大臣・元外務大臣)が登壇。人工知能(AI)について「人類にとって時代を画するような大変強力な道具であり、良く使えば非常に大きなメリットを生み出すので開発利用を促進していくことが大事だ」とした松本氏はその一方で、「強力な道具であるが故に、悪く使うと大変大きな害を及ぼすおそれもある」と指摘。したがって、「信頼性、安全・安心を確保するために、どのような制度や規制を設けていくのかということが非常に大きなテーマとなる」との見方を示しました。

 さらに松本氏は、デジタル分野には「国境」という概念がないとしつつ、だからこそ「国際協調がきわめて重要になってくる」と主張。その上で、昨年の10月まで通信デジタル行政を担う総務大臣を務めていた松本氏は、在任中に迎えた2023年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を回顧。議長国として迎えたこの広島サミットでは、日本は生成AIの国際ルールをつくる「広島AIプロセス」を提唱したことを振り返りつつ、これをその後、世界初の国際的な包括的政策枠組みの合意につなげたことや、今年5月のOECD閣僚会合でも議長国を務め、「広島AIプロセス」を53以上の国・地域や国際機関が参加する「Friends Group」へと拡充したことなど、日本がAIの国際的ルール形成を積極的に進めている現状について説明しました。

 その上で松本氏は、「安全性を確保したAIをどのように開発していくか、インターネットの自由とAI規制をどう調和させるか、政府による恣意的運用がなされない制度をどうつくるか」といった課題に言及しながら、AI先進国・中国との議論に意欲を見せました。

 続いて、問題提起が行われました。

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