分科会 【 地球温暖化と水問題 】 議事録(会員限定)

2007年8月28日

※「議事録」は現地での速記録を基に作成したものです。
正確性を期し、後日再整備いたしますので、それまではあくまでご参考程度にお止めいただきますようお願い申し上げます。

杜:ご来賓の皆様こんにちは。今日ここでモデレーターとして務めさせていだきまして、嬉しく思っております。福川先生は徳のある有名な方で、この分野について発言力のある方です。まず私がご挨拶をし、福川さんに補足していただきます。

自己紹介・中日の取り組みの紹介の後、日本側、中国側から1人ずつ交互に5分ほどで興味をもつテーマについて発言して頂きたいと思います。その後、共通テーマについて全体で議論し、最後に私と福川さんでまとめます。17時までに終わるようにしますが、この友情はこの会議と同時に終わるものではなく、その後も続くものです。

福川:福川でございます。モデレーターを勤めさせていただきます。

われわれの考え方を簡単に話します。1つ目は、地球環境問題と水問題がテーマです。これは深刻な問題です。水質汚濁、食糧不足、健康関係などの問題が人類をおびやかす問題です。

2つ目は、地球環境問題を市場機能と両立して解決していくことが重要です。マーケットでグリーン化を進めることが大事で、企業経営でもグリーン化を目指すことが課題です。

3つ目の問題は技術パラダイムの変革です。20世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄を支えた仕組みの改革を行う必要があります。省エネルギー、新エネルギーの導入や、産業・工場を環境負荷の少ない循環経済システムに変える必要があります。

また、京都議定書の目標を2012年までに実行すること。ポスト京都議定書では主要排出国が受け入れられる形をつくること。環境を解決するための知的資産の共有化が必要です。

安倍首相が美しい国へのいざないを実現する。この取り組みも大事です。環境ODAなどの育成、人材育成などもある。日本と中国で環境構築を行うことが大事です。

梅田:大使館の梅田です。今年1月に北京に来ました。中国の環境問題のスピード、経験は今までにないものであり、責任は重大です。今朝の安倍首相のメッセージのうち、5月の温暖化に関する問題については、お手元にある資料で説明します。

首相は「美しい星、地球」を発表しました。そのために3つの戦略を提案しました。1つは世界全体の温室効果ガスの排出量を2050年までに半減することです。現在の排出量は自然界の吸収量の2倍に達しています。しかし削減は現在の技術の延長戦上では困難なので、革新技術の開発と低炭素社会づくりが必要です。石炭火力発電からの排出量は全体の30%を占めていますが、これをゼロにする技術開発が必要です。また、原子炉の導入、燃料電池、太陽電池の低コスト化、低炭素技術開発、また、ライフスタイルを変える必要があります。

戦略目標を実現するために3つの提言があります。まず、主要国が参加すること。みんなで削減することが大事です。京都議定書には1位の米国、2位の中国、5位のインドが入っていません。議定書がカバーしているのは排出量のうちの約30%で、残りの約70%は対象になっていません。IAEAは中国が世界一になると予測していますから、中国の対応が必要になります。中国がキーポイントとなります。

また、日本も同意していることですが、各国が対応可能な措置をとることです。先進国と発展途上国には差があるのですから、責任にも差が出るのは当たり前です。

3つ目は、省エネなどの技術を生かし、環境保全と経済発展の両立をはかることです。経済と環境の両立のための資金メカニズムが構築されています。先進国と国連とが協力して、海面上昇などの影響をうけやすい国を中心に途上国支援を行っていきます。

温暖化対策の交渉は9月にオランダで、12月にはCOPの会合があり、来年に開催される日本の北海道洞爺湖サミットでも重要テーマとなります。

安倍提案に対する、中国側の反応に関してですが、5月に胡錦濤国家主席と安倍首相はドイツで会談しました。温家宝首相も安倍総理の提案を積極的なものだと評価しており、気候変動の対策も良いとのことでした。今後とも、戦略的互恵関係の最も重要なテーマとなります。

司会:中国側パネリストは政府、学会、産業界から来ています。自己紹介をしていただきます。この話題は政府のみならず、学術界、産業界などの各界、そして一般市民からの参加が大事です。私は気候変動、生態系の問題などに関わってきたため今日は議長をさせていただいております。

韓:エネルギー産業戦略については石炭分野の改革があります。水問題は専門外です。エネルギー政策を研究しています。エネルギーと環境問題を研究、中国のエネルギー問題について、例えば5ヵ年でどのような戦略をとるべきか。

中国はエネルギー効率の研究を行っています。省エネの研究です。アメリカと協力でつくっ
た発展改革センターにおけるエネルギー技術開発などがあります。

また、気候変動についても研究しています。中国側がどのように対応するか。また中国の環境保護をどう発展させるか。CDMをどうやるか。再生可能な資源については、産業化、使用の発展について関心があります。今日は水問題がテーマと聞き、参加できてうれしく思っております。

宋:国際協力のプロジェクトで、アジア開発銀行や世界銀行と共同で実施し、環境保護を優先的に実施しています。大気汚染の管理や、政策法規などを扱っています。環境保護総局が批准した国際環境条約を履行するため、持続可能有機物弁公室があります。

また、オゾン層についてもサポート事業を行っています。財政部と環境基金をつくっています。環境基金の政策と対応策、また、中国のGEFプロジェクトを行っています。アジア開発銀行のプロジェクトを行い、CDMや家電の効率化、気候変動などについて取り組んでいます。水問題についても、水利部と協力しています。

李:民間企業から来ました。教育学を専攻していました。90年代に日本と中国を往来していました。中国の経済成長につれて、80年、90年と環境悪化がひどくなってきました。しかし、かつて日本にも今の中国と同じ状況がありました。日本から勉強させてもらうことで、今の環境関係の法律をつくることができました。

また、今後は民間プロジェクトをもっとやっていきたいと思っています。
日本の自動車関連のプロジェクト、製品を中国に導入し、ネットワーク化、中国100都市で展開したいと思っています。また、省エネプロジェクトも各地に普及させ、民間ベースで環境問題に解決を与えられれば、と思っています。

司会:排出削減について何を行っているのかを、紹介していただきました。日本側も同様なご紹介をお願いします。

松井:東京大学で地球や宇宙の研究と教育に携わっています。小林陽
太郎さんによると、新日中友好21世紀委員会に理科系の人材は私だけです。

日中の一番の問題は環境問題です。委員会で環境問題について提案しました。水問題と環境問題では石炭が一番関わります。石炭のガス化、液化などの技術などについて、日中で共同開発したらなどと提案しています。

環境問題は簡単に解決できない長期的な問題ですし、教育が問題です。日中で共同の環境教科書を作ったらどうか提案しました。中国側も積極的です。長期的な取り組みの一つとして日中共同で、小中高校で環境教育をすることを提案しました。

水野:1971年林彪が死んだときに中国に来たのが初めてで、以来30年あまり、毎年一度は来ています。昔は文革の終わり頃だから環境問題はありませんでした。

しかし、1984年(昭和59年)、私が建設大臣になった際、李鵬さんとお会いしました。中国に高速道路をつくることを提案したら、同意するけれど、公用車しか走らないとおっしゃっていました。そして現在、日本の何倍とも言う高速道路が完成しています。しかし環境問題が発生しています。みんなが環境問題について触れています。

共産党大会でも胡錦濤国家主席が語るでしょう。中国の方に障害があるでしょうが、2年後のポスト京都では加盟していただきたいと思っています。胡錦濤主席の話がストレートに降りて行って、具体的な話をもっとしなければなりません。京都会議に参加していただきたいと思います。アメリカもインドも参加して欲しいです。日本でさえも削減目標に達していません。

産業別に割り当てて、家庭でも削減を行う必要があります。また28度に室内冷房温度を調整するとか、そういった具体的なことも大事です。


尾田:建設庁で国土管理に携わっていました。河川が主で、河川法を改正などに携わりました。治水は重要です。洪水対策が1番目で、利水は2番目です。

橋本首相の省庁再編のとき、河川局長を最後に建設省をやめました。そして、世界水フォーラムを日本で開催したときに、私は事務局長をつとめました。そして議長である橋本首相に指導をいただきました。

そして、ことし12月、世界水サミットが大分で開かれます。委員長はオランダ皇太子で私は委員の1人です。日中が持続可能な発展を実現するためにも、日本・中国・韓国とアジアを支えるためにも。中国側からもトップクラスの方々の参加をお願いしたいと思っています。


本郷:金融を専門にしています。政府系銀行で環境ビジネスを取り組んできました。昨年7月から環境ビジネス支援室を立ち上げました。排出権を考慮に入れています。国連と共同する努力。高効率の変圧器を、排出権を組み合わせて中国に提供しています。エネルギー問題と気候問題で省エネを進めています。

中国は最先端技術を必要としています。しかし高価です。民間企業が主役ですが、技術移転のルートは政府がつくるべきです。金融は最後の一押しだけです。
また、最後に付け加えますと、この問題は日中2カ国だけではなく、東アジアの地域で考えるべきだと思います。

司会:日本側、中国側が各々どのような行動をとっているかがわかったところで、主な環境問題の考え方に議論を移しましょう。

韓:安倍首相の気候変動対応策についていうと、環境問題について中国への期待を感じました。しかし、気候変動問題は発展開発の問題です。工業化、産業化がもたらした鉱物資源の大量使用が問題です。それによって大部分の国の生活レベルは上がりました。しかし中国は発展国、日本は先進国です。中国は経済発展の中期段階です。日本はもう安定段階に入りました。しかし環境問題については中国政府も努力しています。

温家宝首相のスピーチによると、中国は京都議定書の外で、独自の環境改善の行動を行っています。新国家プランには、中国の対応策を提出していますし、排出削減弁公室を部長クラスに昇格します。中国は排出大国で世界1位であることは重要ではありません。今年は1位ではありません。

中日との協力については、各自の立場を理解することや、共通点を見出すことが重要です。

中国の環境問題に対して努力が足りないというが、今後具体的に対処していくには、相互理解、技術交流が必要です。


梅田:水野先生のお話にもあったとおり、COP3での目標は日本も達成に苦労しています。今年日本政府がやるべきことは、自治体や産業部門による改革、国民運動、1人あたり1日1kg排出削減です。10年間でオフィスと家庭各々で1億7000万トン増えており、1人あたり1kg削減して、4700万トンを減らさなければなりません。冷房は28度、暖房20度に設定することが目安になります。他にも、電気製品のエコ製品優先購入や、自動車のアイドリング禁止、レジ袋を使用しないことなどがあります。

中国は削減努力を真剣にやっています。日本側からは、体制が十分じゃないことを指摘できます。中国の環境保護総局は200名ですが、日本の環境省は1000名、アメリカは1万名います。また、環境報道は増えているが、健康被害についてはよくわかりません。日本のように具体的に報道されることによって社会から変える必要があります。報道の仕方を変えるべきです。

宋:中国は環境問題に直面しています。それは、中国の経済発展レベルに関係しており、具体的には、雇用問題、水問題、人口問題などと連動しています。

8%の経済発展の影響で環境問題が発生しています。環境問題をしっかり認識することが大事です。社会と経済が調和的に発展するために、中国は科学発展によって取り組んでいます。経済発展を重視し、環境も重視する、一緒に発展させるのです。

そのためには、行政手段や法改正などにより環境保護を行っていくことが挙げられます。環境法の分野としてはこれらの政策は励みになります。国のやり方や指導には賛成です。省エネなどの業務プランが出てきています。具体的なものとしては、経済に関する梃子入れを行うこと、グリーン貸付を行うこと、環境法の修正を行い、水の規制などを強めること、科学技術により環境問題を解決することがあります。

また、体制や基準、モニタリングの構築、監督も行う必要があります。企業など小さなところからも行う必要があり、生産流通などにおいてもそうしたことを行うことが必要です。


松井:私は、科学者として、方策は言えません。しかし、認識は大事です。私からは、地球温暖化と水問題について、東アジアの水や雪の量がどうなるのか。こういったことについて話したいと思います。環境問題の難しいところはシステムであるところ、すなわち、あらゆる問題が繋がっていることにあります。

人間の生き方が地球全体にどう影響しているのか。わかった上でどう計算するか。このままだとCO2が排出されると気候はどうなるか。数値も出して計算しています。

世界中でやっている計算で一致することは、二酸化炭素の濃度上昇で気温が100年後には数度あがることです。CO2増により雨、雪などがどれくらい降るのかについては、世界で一致していません。地球シミュレーターを使った研究によると、水源地帯の黄河、長江では、雨が降り流量が増えることで東シナ海の塩分濃度が減る、ということが見えてきます。こういう問題には、具体論による説明が必要です。

水野:国土交通省の水資源局の資料を読むと、さまざまなことが明らかになると思う。宋さんに言いたいことは、もっと中国で具体的な議論が必要だということです。北京で号令をかけても南には届かない、西にも行き渡らない。しかし、オリンピックに向けて、この問題に注意しなければなりません。

外国にとっても関心事です。日本のようにCO2をどれだけ下げるかとか、ゴミ分別、室内温度の調整など、環境につながったりする具体的なことについて論じていかなければ進みません。

本郷:非常に興味深いお答えを有難う御座います。先ほどドイツの例でwin-winにするという話があったが、我々も同じように考えています。

いかにビジネスを通じて環境保護に結びつけるか、これが両国にとって望ましい環境保護を考える枠組みになると思います。近代的な都市のアプローチには問題があります。温暖化問題は時間的に制限があります。

ひとつひとつの省エネだけではなく、セクター別にパッケージ化できると日中の協力も加速できるのではないでしょうか。実際に、石炭火力の近代化は一件一件は小さな投資だが、それが無数の累積効果となって大きくなります。これをどうパッケージするのか。そういうことができるといいと思います。個別アプローチから全体アプローチへの提案をしたいと思います。

梅田:日中の環境協力という観点から3点述べたいと思います。
まず、日中の環境協力は長い歴史があります。例えば、円借款、無償協力、JICAを通じた協力があります。下水関係では50以上、植林、砂漠化などでは基金を通じて省や自治区で行っています。

ただ中国がこれだけ発展して、政府間で合意されている援助は2008年に終了するということになっています。今後、日中間の協力を考えた場合には、一方的なものではなく、ビジネス、民間を中心として政府が何をできるのか、を考えなければならないと思います。その意味で知的所有権の保護は非常に重要だと思います。

2点目は、環境協力と政治は別だ、と先ほどありましたが、来年の北京オリンピックについては、環境面で協力したいと思います。最近、北京当局から光化学スモックの関連で協力できないか、と尋ねられています。資金はあるようなので、ノウハウや経験の共有ができないか、検討中です。

3点目は、日中友好環境保護センターがあり、人材育成や環境モニタリングなどの活動を行っていますが、その活動が目に見えなくなってきています。我々も梃子入れが必要です。ノウハウや管理の面では活用できる余地があると思います。特に環境教育や専門家の育成の面ではまだ改善の余地があります。

宋:日中友好環境保護センターについては私も関わっていました。知的財産については、一方では環境の技術移転費、コストを上げることは避けなければなりません。モントリオール議定書の時には無理がありました。一社が移転すれば他のすべての企業も移転してしまいました。ですので、保護するには合理性に基づいた方法によるべきです。

杜:議長として総括したいと思います。今日の会議は時間は短いですが、多くの考えが出され、共通認識があるということがわかりました。

まず気候変動、水環境についての日中協力は最重要の分野だと思います。環境分野の人間はこの分野の協力が日本からあったことは分かっており、感謝しています。

しかし、お互いの相違としては、日本側はもっとスピードをあげて具体的にやりたい、と言っていますが、中国側としても同じことを望んでいます。

共通認識としては、中国は全体としては途上国だが、一部の地域ではたいへん進んでおり、そうした地域では環境保護の基準を上げるべきだ、あるいは環境保護のスピードを上げる必要がある、進んだ地域は率先して保護の必要がある、ということだと思います。すべてを一律にすることはできません。

今の環境保護には様々な方法があり、ハイテクだけでもだめで、消費者運動だけでもだめ、管理の問題なども含まれます。まだ一般市民まで普及してやっているわけではありませんが、少しずつ動いています。

4つめの同意点として、技術移転も業界移転にしても良い方法だと思います。

例えば、セクトラルアプローチ、循環経済、鉄鋼、非鉄、建材など大型事業について、中国は第11時5ヵ年計画で明確に中国は計画しています。

またクリーナー・プロダクションについてもビール産業などで取り組まれており、さらに普及する必要があります。中国は1000社を選んで省エネなどを進めています。彼らは率先してやるべきです。

第5点目は、日中環境保護は民間協力が重要だということです。技術移転の話になりますが、日本の進んだ技術が中国に移転するというのは中国にとっても、日本にとってもよいことだと思います。技術移転のコストは高いという意見、低いという意見双方あり、合意できていません。それから知的財産の保護の問題があります。確かに違反企業もあります。

6つ目、中国企業には意欲が足りないことがあります。環境保護のための設備の導入にはコストがかかり、たとえ罰金を課されても導入したくないという本音があります。財政面の補助が必要になります。また、法律、法規も重要な問題です。

しかし、末端企業まで徹底させることができるかは難題であり、執行面の問題は残ります。

このように、午後の話し合いについて、皆様の共通認識についてまとめさせていただきました。

最後に3点、中国はなぜ色々なところで発展途上国だということを強調しているのかについて述べさせていただきたいと思います。

まず第1に、発展過程で貧困人口を減らす。20年で2.5億人の貧困人口を減らしました。

2点目に、発展した国はより多くの財政収入を得られるようになるはずということです。15

年前、10数億元だったのに、現在は400~500億元の中央からの環境保護への資金投入があります。省エネ技術を使わなければ世界で通用しないことは分かっています。中国の家電は世界のシェアに占める割合は高いです。

中国が発展途上国であるということを強調するのは、途上国だからやりたくない、ということではなく、発展の過程の中で生まれた問題なのでよりよく解決したいということを強調したいということなのです。

また、低炭素技術を広く使う社会となるために、日本に多くを学びたいと思っています。すべての国民が排出削減に義務を負っていると考えています。また、93年の「ニューサンシャイン計画」によって日本は非常に進んでいると思います。また、ここ数年、非常に利益を生み出しており、この「ニューサンシャイン計画」のビジネス化に良いモデルを打ち立てた日本は世界に良い例を示していると思います。中国もこの点について日本に学ばなければいけません。着実にこういうことをして、単に計画や建前にとどまらず、ミクロや具体的なことに取り組むなど日本から学ぶ必要があります。

中国には気候変動に関する国家プランがありますし、排出権削減義務はないものの、中国は中国なりの目標を出しています。「美しい国50の提案」の中では、中国に今後、重要な役割を果たすことを期待する、とありましたが、中国もそうなるように努力しています。

お互いにもっとお互いの立場、やり方、困難を理解して、信頼関係を作ればいろいろなことがやりやすくなると思います。夫婦関係と同じで、お互いに不満を持っていれば攻撃してばかりになってしまいます。

福川:今のご発言は、本会議ではこれをご報告すれば足りるというような、すばらしいまとめでした。ありがとうございました。

私も戦略的互恵関係のなかでエネルギー政策を考えることには同意します。政策の総合性、広範な政策を整合的に展開する必要があります。産業、一般市民、交通の問題、これは環境問題がこれをやれば解決するというわけではなく、総合的にやらねばならない、しかも具体的にやらねばならない、という話でした。

抽象的に制度を作ればよい、監視制度を作ればよいというわけではなく、個別の事業、地域別など具体的に展開するということが言われたと思います。

またPPP(パブリック、プライベート パートナーシップ)があります。もちろん、事業の主体はこれからは民だろうが、やはり民だけでできるわけではありません。パブリックは限界もあるものの、環境整備につとめていかなければなりません。これをどのようにPPPを作り上げていくのかが、今後の重要な課題となると思います。

4番目におっしゃった、日中の協力が極めて長い経験があるということについては、日中協力の経験をさらに発展させ、アジアの観点にもっていくことが重要です。これを世界のモデルにしようという意欲が、今日のみなさんのなかにあったのではないかと思います。

2000年まで中国と環境に関する国際諮問委員会に参加しており、SEPA、カナダ、アメリカ、インドネシア、オランダなどが中国に助言をするという会で、その当時に比べれば、中国が非常に進歩した保護政策を展開しており、たいへんな感銘を受けました。

今後、そうした動きの中でも、日中での信頼関係、情報提供が基礎になっていくと思います。

今後、戦略的な互恵関係を築くなかで、環境問題が重要になると思います。これを日中関係深化のひとつのステップとしたいと思います。今後も皆様とともに発展させていただきたいと思います。最後にパネリストの皆様と通訳の皆様にお礼を申し上げます。


尾田:最後に、第一回アジア・太平洋水サミットでは中国首脳の参加を期待しています。

<了>