※「議事録」は現地での速記録を基に作成したものです。
正確性を期し、後日再整備いたしますので、それまではあくまでご参考程度にお止めいただきますようお願い申し上げます。
若宮
いかに戦略的互恵関係を構築するかという共通目標が日中双方で確認されました。この分科会では安全保障の分野で忌憚なく意見を交換し、相手の考え方を学ぶことを目標としましょう。安全保障は何かと難しい分野ですが、よりよい相互関係を築くためには、議論は避けられないものです。
進め方は、第一セッションは中国と日本それぞれの安全保障政策について、日中双方から三人の先生にプレゼンテーションをお願いします。それぞれが持っている疑問をぶつけ合って、それに答える形で議論を深めていきたいと思います。
それではまず中谷前防衛庁長官に口火をきって先制攻撃を仕掛けてもらおうと思います(笑)。なおプレゼンテーションの時間は10分とします。
中谷
よろしくお願い致します。戦略的互恵関係を築くために、中国にとっての安全保障戦略をお尋ねしたいと思います。
まず、上海協力機構の意味についてです。中国はロシアとの共同軍事演習を行いましたが、今回は使い慣れた装備を使い、作戦を重視した演習との印象を受けます。そして共通の目標はテロ対策だと思われます。中国側はテロについてどのような考えをおもちでしょうか。
次に、中国の軍事衛星についてです。中国が事実を公開しないということは、それらを可能にする経済的実力があると見なされます。これらを明らかにしていくべきだと考えます。全国人民代表会議によると、中国の防衛予算は3472.32億元です。そして、その用途は依然として不透明なままです。日本予算はすべて公表しています。中国も軍事費の透明性を高めるべきです。また中国の国連分担金は2%で、日本の五分の一以下です。この事実も軍事費の透明性を求める要因となります。中国はすでに大国です。どのような姿勢でこの現実を受け止めますか。軍事の透明化は軍拡競争を抑止し、国際秩序の健全化につながります。中国も貢献すべきでしょう。
私は日中の防衛交流をこれからも望んでいます。相互信頼性を確保するためにも、軍事の透明化、相互協力は必要不可欠であります。
若宮
では次に、中国側から陳先生お願いします。
陳
友人の皆様、最初の中国側のスピーカーとして発言させて頂きます。自国の安全保障は大変重要な問題であります。それを考える際には三つの要素があります。
一つは歴史的な要素です。中国には、過去列強各国に侵略されて、自分たちを守ることができなかった苦い思い出があります。21世紀に入り、過去の過ちを繰り返さないようにしようとしています。その中でも台湾問題は多くの中国人が注目している国家安全保障の問題です。
二つ目は現実的な問題です。中国はいまだに軍事的には弱く、多くの脅威にさらされています。自国を守るためには軍事力の強化が必要なのです。ここから現在多くの人々から中国脅威論が語られますが、中国は過去他国を侵略したことはないし、今後もないでしょう。
三つ目は将来的な問題です。これからも中国の実力は高まり、統一は完成に近づくでしょう。そうすれば外来的な脅威にさらされなくなるだろうと思います。こういう日が早く訪れることを願っています。
日中間は歴史的には摩擦がありましたが、それは過去の話です。台湾問題を除けば、両国は共通のテーマを持っています。
宮本大使がおっしゃったように、新しい21世紀という時代でいかに新しい友好の形を作っていけるかが課題です。懸念の見方があることも事実です。過去アジアに二国以上の大国が並立することはなかったからです。しかし、お互いの意見に耳をかたむけ、協力していけば、アジアの、そして世界の安全保障に貢献することができると確信しています。
若宮
対極的な見地でしたね。次のスピーカーからはシビアなコメントもいただけると考えています
西原
私は全般的な安全保障政策についてお話したいと思います。
まず、中国の政府は人民解放軍の活動を十分に把握していないのではないでしょうか。だとしたら非常に危険です。例えば、2004年に原子力潜水艦が日本の領海を潜水したまま通過したとき、日本側の批判を受けて中国政府が答えたのは一週間から十日たってからでした。他には、2007年1月、衛星を撃ち落とす実験をした際、公式なアナウンスに10日もかかっています。国家主席もこの動きを知らなかったのではないでしょうか。
次に、軍事の透明性についての問題です。日本国内では防衛問題に関して多くの議論がありますが、中国ではそういった議論は行われていません。核の問題でも、中国で反対運動が起こったとは聞いていません。
また、防衛交流は今後積極的に進めるべきです。これまで、政治問題で交流が途絶える事が多く、政治と防衛交流を分けて考えて頂きたいと思います。
若宮
次に劉先生お願いします。
劉
単刀直入に問題に切り込んでくださってありがとうございました。
まず、私たち中国側が日本の軍事面で懸念しているところについてです。まず基本的な戦略についてです。日本は相変わらず中国の軍事発展を日本にとってマイナス、不利の状況だと見ているのではないかと心配しています。日本は日米同盟を軸としてきましたが、最近ではオーストラリア、インドを含めた協力の動きがみられます。それに軍事安全保障も含まれているのでしょうか。その4カ国同盟が軍事をも含めた同盟になるとすると、それは中国を除外する動きとして、心配になります。
二つ目です。日本は97年に防衛協力指針を改定し、新たなガイドラインを発表しました。安全保障政策に転換が見られました。また、離島問題も重要です。そこに台湾は含まれるかどうか、日本政府の見解ははっきりしません。中日互恵関係に基づいて、日本の防衛計画体制を再調整してもいい時期だと思います。
台湾と北朝鮮の核問題も大きな問題です。軍事安全保障分野における議論を深めていかなければ、本当の意味での戦略的互恵関係の構築は不可能です。
若宮
次は日本側から、中国側から出された疑問について答えて頂きたいと思います。添谷先生、お願いします。
添谷
双方から実直に問題を提示して頂き、素晴らしいことだと思います。問題の本質的なところが明らかになりました。
生まれた場所の文化の違いを前提に議論をしたいと思います。
まず、日本の安全保障政策にはコンセンサスがないことを理解する必要があります。
戦後の体制には様々な歪みがあります。憲法があるのに自衛隊がある、日米安保がある。今、一気にそのひずみが噴出してきているのです。右側の人々が自由にいろいろ言えるようになったり、現在の安倍さんに代表される保守的な言説も、戦後の平和主義に対する反動として起こっているのではないでしょうか。これは将来的なビジョンを持った戦略ではありません。今の保守的な政治家にとっては、主張の対象として中国が選ばれやすいのです。
次に、台湾問題に関してです。日本の政策ははっきりしています。台湾問題は「situational」である。つまり状況次第。周辺事態とは日本が独自に何らかの行動をとることではありません。アメリカが行動をとったときに日米安保上何ができるか、というのが日本の発想なのです。アメリカに協力することもあるだろうし、しないことも考えられる。したがって周辺事態には台湾も入っているのです。日本が単独で軍事行動をとるかのように見ているから日本の状況を反映しない議論になってしまうのです。
若宮
それでは金先生、お願いします。
金
ありがとうございます。日本側から出た疑問にコンパクトに答え、自分の考えを述べたいと思います。
全体的に言えば、こうした状況は現象を通して本質とは何かを考えなければなりません。
戦略的な意図が何であるのかが大きな問題であるのです。
中国には日本に侵攻するという意図はまったくありません。中国は日本を敵視した例は過去一度もないですし、アメリカに対しても同様です。これがまず根本的なことです。
祖国の統一にとって台湾問題は非常に大きな関心を集めています。アメリカの参加により事態が複雑になっているのです。日米同盟に中国が追従するという状況は好ましくありません。アジア地域の秩序は平等でなければならないのです。
民衆レベルで問題が起きたときに軍事交流も途絶えてしまいます。中国の日本に対する好感度は5%にすぎません。日本の海上自衛隊を受け入れる準備は中国にはできています。
日本はどうでしょうか。中国と日本の艦隊の共同軍事演習を行うというのはいずれ実現するでしょうが、まずは国民感情と相互の信頼関係を改善することが必要です。
若宮
それでは仙谷さん、お願いします
仙谷
ここまで率直に議論できる環境になったことを非常に感慨深く思います。
しかしやはり中国側は発想方法が従来型であると感じられます。それでは議論が積み上がらないのではないでしょうか。
東アジアにはすでに冷戦はなく、改めてその構造を作り出す必要はないという観点から話します。日本の外交政策は従来よりももっと自由度が高まってもよいのではと思います。
日本には日米同盟をもって中国に対抗するという考え方はまったくありません。日中、日韓、中韓が中心になって東アジアの秩序を作り上げていく必要があります。
若宮
呉さん、よろしくお願いします。
呉
軍事の透明度についてだけ話します。尽きるところ相互信頼の問題であります。
どこの国でも国防は第一に重要な問題であり、全面的に公開することはありえません。 徐々に発展していく問題だと思います。中国が防衛白書を最初に発表したのは94年です。日本のレベルにこれほど短い時間で達するのは不可能であり、お互いに非難しあうのではなくお互い議論することによって解決の方法を見出すべきだと思います。
若宮
自衛隊の艦船との共同演習が行われるかについて、中谷先生よろしくお願いします。
中谷
まさにそのことを話そうと思っていました。自衛隊も昔の軍の過ちを反省しているのに、まだ反日的な感情があるのかと思うと悲しいです。
李
ありがとうございます。2つの問題に関して述べたいと思います。
まず、上海協力機構についてです。これは内政に干渉はしません。
次に、人民解放軍についてです。解放軍には絶対的な信頼が置かれており、先制攻撃で核兵器を使うことはありえません。日本はアメリカの核の傘のもとにおかれており、日本は軍備に関しては中国をリードしています。
彭
中国の軍事の透明性は変わり続けているので、見守っていただきたい。
中国の戦略は明確で、防衛を第一に考えているということです。日本の皆さんに安心してもらいたいです。台湾問題を除いて、中日に軍事的な懸念はありません。台湾問題も日本が関与しなければ問題はありません。
若宮
軍隊に対するイメージが日中では異なります。戦前にそれで大失敗をしたという苦い教訓があるからこそ、日本側は中国のことを懸念していることだけを述べたいと思います。
王
第一セッションでは安全保障における模索を話し合いましたが、第二セッションではそれをもとに議論を深めたいと思います。
まず、日中相互三人ずつ、十分のプレゼンをお願いし、その後質疑応答を行います。
まずは呉さんです。どのように協力関係を築いていくのか、どう問題を乗り越えていくのかを考えていきます。
呉
東アジアは経済だけでなく、安全保障の面でも欧米に遅れています。中国と日本は東アジアの2大国ですが、まだ対話メカニズムが確立されていません。そのためには学者同士が議論を深める必要があります。そして、各分野において対話を進める必要があります。安全保障はその中でも遅れていました。スタートは遅れましたが、他の分野とともに、安全保障に関してもメカニズムを作っていく必要があります。台湾問題は両国にとって大きな問題で、両国が戦争するとしたら、台湾問題でしょう。かつて日本と中国間で台湾に関する関係の合意がなされましたが、近年では日本側にそれを突破しようとする動きがでてきました。21世紀になって副大臣クラスが台湾を訪問しています。これは中国に対抗する動きであり、不可解です。この問題に関しては、規制を加えていただきたい。現在中台間の経済面での交流は非常に盛んですが、陳水偏が国民投票を行ったり、独立の動きを強めています。日本はこの動きに対してしっかり対処してほしいです。
仙谷
2国間だけでなく、多国間での協力関係を作っていくべきです。6カ国協議では拉致問題の解決を前提にしていました。このメカニズムを今後の協力体制の発端とするべきです。戦略的な互恵関係はあらゆる分野で出来ることをやり始めなければ、達成できないのです。アジアで共同の海上警察は作れないだろうか、戦略的な互恵関係をどう作っていくか。これらは今後の課題です。
彭
私たちは今まで、現象に対しての議論を行ってきましたが、本質を見なければなりません。去年の氷を溶かす旅で中日関系は徐々によくなってきています。大事なのは後戻りしないことです。そこで提案するのは、社会的な問題も含め、包括的なリスク管理システムを立ち上げることです。東アジアの安全保障についての問題は明確です。朝鮮問題と台湾問題です。これを解決していかなければなりません。日米同盟など冷戦が残したシステムではこれらの問題には対処できません。だからこそ6カ国協議が出来たのです。強固かつ、集団的、強制的な力を持つメカニズムが必要です。6カ国協議というそのはじまりと言える枠組みをしっかりさせていくべきです。また、6カ国協議で問題が挫折した場合の対処も重要です。
添谷
中国への運動は戦後の反動であり、台湾問題もそうです。日本側の動機は、今まで中国の言いなりになりすぎたという前提からくるものです。確かに日本と台湾の関係は深まっているかもしれないが、彼らが日台関係を動かしている訳ではありません。台湾と中国の関係も密になる中で、本当に中国は台湾に軍事力を使えるのでしょうか。現在の国際社会ではそのような軍事行動は拒絶されるはずです。そこを中国に考えてほしい。中国側にとってはこの問題を考えるのは難しいでしょうが。
朝鮮問題について。朝鮮半島の人々は朝鮮半島を巡って日中がライバル関係になると考えていますが、そのようなことはないでしょう。ただ、朝鮮半島の統一も考えながら、議論を進めていくべきでしょう。拉致問題はマクロから見ればそれほど大きな問題ではありません。拉致問題の解決は日朝の国交正常化と、朝鮮半島の統一によってもたらされるでしょう。大きな懸念は中国中心の東アジア秩序が出来た時に、アメリカや台湾を排除したものになるのではないか。そうなると日本は、やりづらいのではないかということです。米中関係が安定すれば、日本が中国に対して抱いている懸念の多くが解決されるでしょう。
金
中日間では安全保障に対して様々な努力が行われていますが、やはり一番大事なのは、相互の信頼関係です。日中は様々な面で関係が深くなってきていますが、軍事面ではまだまだです。両国の安全保障を後戻りさせてはいけません。エネルギー協力で彭湖諸島問題を解決するべきです。昔に比べ、日米同盟に対する中国人の考え方はフレキシブルになっています。アメリカは東アジアにおいて建設的な役割を持ちうるが、中国を抑圧するものであるとも思います。朝鮮半島の問題の本質は北朝鮮の国家としての地位が確立されていないことが大きいと思います。拉致問題に対して日本側の大使の話を聞いて、中国は水面下での努力、橋渡しはできると思います。それは日本だけでなく中国にとっても利益となります。アジアの一体化、協力はアメリカを排除してはならない、それは考えられないことです。中国の学者はアメリカを受け入れることに関して、積極的な方向にかわっています。そして中国の学者たちは完全に政府と一致している訳ではなく、バリエーションがあります。
若宮
台湾問題で若干の相違があるものの、他の点では多く納得できます。もし台湾海峡で戦争が起きた場合、日本国民で自衛隊を派遣するべきだと言う人はいないでしょうが、アメリカが参戦した場合、それは微妙になります。日本が台湾問題に関してコミットしないと言えないのは、台湾海峡で戦争が起こっては困るからで、あえて曖昧にしているのです。
北朝鮮問題に関しては、北朝鮮は米軍が恐いのでしょう。実体以上の北朝鮮を見せようとしているのではないかと思います。それを外から見ると恐いということなのではないでしょうか。もしかしたら、その傾向が中国にも見られるかもしれません。ただ、中国はそのような段階を超えて、もう少し安心感を与えて欲しいとおもいます。私も東アジアの安全保障メカニズムの構築に賛成です。日中がしっかり関係を作っていくべきです。
中谷
中国の核問題についてです。中国の核は日本にとって脅威です、日本は既に核を持たないことを公言しており、それに関して中国はこの核の保有に関して、どの場合でしか使わないなどをはっきりさせるべきです。中国と台湾の間の会話も試みてほしいし、会話によって解決していってほしいと思います。
朱
中国側としては、朝鮮問題において拉致問題が障害にならないかが心配です。核問題は六カ国が協力し朝鮮とアメリカの間で解決をして欲しいと思います。透明度に関しては心理的要素もあります。中国側は日本の意図をより重視しており、逆に日本側はデータを重視しており,そのためにお互いに不安を感じています。日の丸に対する見方は本当に偏見であるのでしょうか。日本は歴史認識の面で非常に曖昧です。
中国の核政策は明確で、核を先制攻撃に使う事はありません。
西原
日本の防衛白書では中国を敵視しているという表現は全くありません。中国のいくつかの軍事的動き、国境を超えた軍事活動は抑止できないものでしょうか。日米豪印の連携と上海機構の間で対応を進めるべきです。
台湾問題について、台湾は独立したいと言っている。あらゆる面に関して台湾も国際的にオブサーバーとして参加すべきだ。
朝鮮問題に関しては、非常に難しいです。中国の影響力の増加に対して韓国は不安を持ち、統一にはまだまだ時間がかかります。
歴史問題について、日本も歴史に対しては反省をしています。それよりも中国での反日教育をどうにかしてほしいです。
?
防衛白書、国旗問題に関しては、事実がないとはっきり解決できません。日本はアメリカとなにもかも一緒にやってはいけない。それは台湾問題にも影響が出る。アメリカが覇権主義をとった場合反対できないのではないか。日本ほどアメリカに忠実な国はない。
?(中国側)
軍隊の問題について、軍事費については共通の基準でなければならない。事実で話し合わなければ意味がない。誇張していては意味がない。日本の国防費のほうが中国よりも伸びているというデータがある。東中国海に関してコンセプトをたださなくては行けない。中国は中間線をこえていない。中間線は日本が設けたものであり超えたところは公海である。次に中国の国防白書に関しては、中国は核兵器を核兵器のない国に対して使用しない。また防衛にのみ使用する。そこははっきりとさせています。軍隊が統制されているかどうかの問題に関して、そういうことはありえません。
?
また、安全保障に関して、自衛隊を訪問した際、軍艦の相互訪問をしたいという希望があることは確認されています。中日の安全保障がアジアの地域にとってとても大切です。中国を戦略的パートナーという位置に日本は置いていません。多国間協力を中心にし、2国協力を打開していくべきです。
?(中国側)
中国も戦争は望んでいません。中国とアメリカとの関係はいい状態を維持しています。アメリカとは台湾海峡の現状維持を共同で一致しています。しかし、日本はそうした内容をまだ公表していません。
添谷
台湾の現状維持に関して日本もそれに対しては公言しており、公式的に発表しているかどうかでは、日本が一番している。あまりにも中国に協力しているため日本の中の右の反対に遭っているため中国にはそのように映る。
(新聞記者の質問)
もし東アジアがEUを目指すのならばどうすればよいのでしょうか。日本と中国の対等、並立に関して答えていただけませんか?
若宮
アジアにおいて2つの大国が並ぶことに対して日本は心の備えがあるでしょうか。
これは人それぞれです。今、日本はトータルで中国に勝っていますが、抜かれるのは時間の問題です。
中国のインテリはどんどん海外の教育も受けており優秀な人材も多い。日本人の中では脅威を感じている人も多い。こういうことに反動してのナショナリズムが出ている。中国が大きくなればなるほど、ナショナリズムも大きくなります。しかし、冷静な人々の間には中国と日本は協力していかなければ共倒れになるという見方があります。これからはますますそうでしょう。中国と日本は一緒にやっていかなくてはいけません。これが理性的な見方です。日本は得意分野で中国に協力していけます。
中谷
冷戦構造が残っているのはアジアだけです。共通の安全保障の考えを持つことでEUを超えていけます。
王
EUの経験は大変参考になります。しかし違いが大きいです。国家間でもっとも緊張があるのは東アジア地域です。国家間において矛盾が非常に多いです。日本と韓国と朝鮮と中国においては特に、隣国が多くまだ解決できていない問題が多いのです。しかし希望があります。なぜなら発展が一番早いからです。これからは利益の最大化を図るためにも、中国にとって法律の整備なども重要です。
今まではいろいろ矛盾があったが、東アジアはこれから発展していけるとおもう。重要な役割をもつ学者や報道はもっと努力していくべきです。この地域には戦争がなく、これは積極的に発達している証拠である。反省しながら過去の悪いところを是正しながら近代化して行かなくてはいけません。問題を避けるだけでなく創造的に問題を考えて行くべきです。EUは長い時間をかけて成立したものです。東アジアでも100年後には訪れるはずです。中国の発展は遅れており、これからは行動で示して行きたいです。台湾問題において武力で解決するのは最悪の場合であり、私たちはベストを尽くしていきたいです。
率直に言いますとこれからどうすればいいのか、中日両国は持続可能な安全保障を築いていくべきです。まずは相互の信頼を深めること。冷戦思考を捨てること、共同で他国を助けるなど現場で協力すること、です。
また、大陸と海洋の対立という問題を解決していかなくては行けません。この2つの国が協力こそが重要な基礎である。平和的な関係を築くことは避けてはいけない問題です。また多国間関係において協力して行かなくてはいけない。日本人の拉致問題においてもすぐに解決することはあり得ませんが、朝鮮を少しずつ変えていくことによってこそ解決すると思われます。
添谷
日本も中国も転換点にあります。転換点にあるが故に将来がはっきりと見えない状態にあります。お互いに役に立つ情報しか使わず討論しているのは非常に良くないことです。これは避けるべきです。日本も中国もお互いに協力していかなくてはいけません。20年前までは中国に対して好意的な印象をずっと持っていました。
日本人のこういう気持ちが変ったのは90年代からです。特に台湾問題は大きな転機となりました。こういう関係は10年程度の関係でしかありません。日本が中国を支援して来たのは中国が国際的に開放的な国を目指していたからです。それは今成功しているといえます。中国の孤立化をもっとも恐れたのが日本であり、今その成功に逆に戸惑っている日本も自分を反省すべきです。
王
今日は有意義な討論ができました。これからも続けていけたらいいと思います。
<了 >