第3話:「アジアの交流は民間が主導する」
20世紀後半のアジアの特徴の1つでもあった、国家が社会を主導するという手法で不均衡な空間に対処すれば、これは近代化の優劣を争わざるを得ないことになってしまいます。21世紀のアジアは、むしろ民間が社会を主導するという手法で不均質な空間の特徴を生かすべきではないでしょうか。民間の前に存在する不均衡は優劣ではなくて差異にしかすぎないのであります。
そして第2に、領域についての不均衡であります。アジアには中国のような巨大国家もございますれば、シンガポールのような都市国家もございます。この領域的な不均衡が与える心理的側面への影響は今後の検討課題だろうと思います。この問題に対応するための1つの方策は、大国においては地域単位の交流を加速していくことであると考えます。
こうした観点からも、私は、アジアの大国である日本はいずれ道州制を導入し、各地域単位での交流を進めていくべきであると考えております。将来、中国が連邦制に向かうのかどうかは中国自身が考えることではございますけれども、アジアの中における地域単位の交流というものをぜひ今後ともに検討していきたい、こういうふうに考えます。
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発言者
中川秀直(衆議院議員、自由民主党政務調査会長)
なかがわ・ひでなお
1944年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、66年日本経済新聞社入社、73年同社退社、故中川俊思代議士の秘書を経て76年衆議院総選挙初当選。96年国務大臣科学技術庁長官、同年自由民主党総務会長代理、98年衆議院議院運営委員長、2000年党幹事長代理、同年7月内閣官房長官(IT・沖縄担当兼務)・沖縄開発庁長官、2002年党国会対策委員長(歴代最長)などを歴任。2005年より党政務調査会長に就任、現在に至る。