5月6日(木)、都内にて「第6回東京-北京フォーラム」の第2回実行委員会が開催されました。今回の実行委員会は、本フォーラムの基本計画の公表と、中国側の交渉経過、分科会等の構成について協議するために開催されました。
実行委員会には、実行委員長の安斎隆氏(セブン銀行代表取締役社長)や、明石康氏(元国連事務次長)をはじめとする副実行委員長の各氏、企画委員長の国分良成氏(慶應義塾大学法学部長・教授)、運営委員長の工藤泰志(言論NPO代表)など、オブザーバーも含めて計32名が参加しました。
まず、安斎氏が「日本と中国の力関係は変化しており、この対話で実施している世論調査の結果にも少し変化が出てくるかもしれない。その意味でこの対話の意義は、いくら日中関係がよくなっても小さくなることはない。第6回ということでちょうど折り返し地点なので、ここをちゃんと成功させて10回までの道筋をつけたい」と開会の挨拶を述べました。
その後代表の工藤より、本フォーラムの基本計画や中国側との協議経過、実施プログラムの構成案について報告がありました。工藤はまず、「これまでは、日中関係が厳しい状況にある中でお互いの相互理解を深めるという目的のもと、大きな意義を果たしてきたが、今後はこの対話も質の向上という大きな課題に直面している」との問題意識を述べました。そして、現時点で5つもしくは6つの分科会の開催を予定しており、その各々について中国側と詳細な協議を始めており、5月中旬にはフォーラムの概要を決定したいと報告しました。さらに、会場との対話型を重視して意見交換を活発化させることや、この対話の政府や社会に対する「提案力」を高めることについても中国側との交渉が進んでいることが報告されました。
これを受け、企画委員長の国分氏は、転換期にある中国との対話の意義について、「上海万博が開催され、表面的には非常に盛り上がっているように見えるが、全体としてみると中国社会には様々な問題が出始めており、大きな転換期にある。軍事費と民生部門のバランス問題も本質的なトピックになりつつあり、今回の安全保障対話や経済対話は非常に興味深い議論になるだろう」と述べました。
また、増田寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問、元総務大臣)より、この対話の提案力を高めるのであれば、より早い時期に人選を決定したうえで事前のやり取りが不可欠である旨が指摘されました。
各分科会の議論の方向性としては、田波耕治氏(株式会社三菱UFJ銀行顧問、元国際協力銀行総裁)より、「経済対話については、分野の特性上テーマが広いので、すれ違いの可能性がたかくなってしまう。事前にテーマを絞り込んで中国側と協議する必要があるのではないか」という意見が述べられました。
福川伸次氏(財団法人機械産業記念事業財団会長)からは、新しい5カ年計画において内陸開発が大きな課題となるだろうとの見通しのもと、分科会における議論について提案がありました。福川氏はさらに、「中国にはいま、日本の政治に対する不信感があるという印象を受けている。中国の世界戦略の中で日本が重要だという位置付けは変わっていないが、どうやって付き合っていくのかを模索している時期だ。政治面でいかに信頼醸成ができるかが中国側の関心事だと思う」と指摘しました。
また、武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長、前日本銀行副総裁)は、「中国の成長戦略ということでは、将来的な最大の課題は年金や医療などの社会保障問題になるだろう。現在は問題が表面化していないが、必ず将来は厳しくなるので、この点での議論も一つのやり方ではあるかもしれない」と指摘しました。この他にも、分科会の議論内容や運営方法について参加者間で活発な議論が行われました。
最後に明石氏はこれらを踏まえ、「過去の蓄積の上に立って、今回は新しい方向付けも出てきており、今回のフォーラムには期待が持てるという強い印象を受けた」と述べ、本フォーラムの今後の展開についての決意を述べたうえで、本会を締めくくりました。
5月6日(木)、都内にて「第6回東京-北京フォーラム」の第2回実行委員会が開催されました。今回の実行委員会は、本フォーラムの基本計画の公表と、中国側の交渉経過、分科会等の構成について協議するために開催されました。