岡田克也 (民主党副代表 衆議院議員)
おかだ・かつや
1953年三重県四日市市生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。90年、36歳で衆議院議員に初当選し、現在当選6回目。 92年に自由民主党離党後、細川護煕連立政権樹立に参画。以後、「政権交代ある政治の実現」という信念を貫き通す。98年の民主党結成後は政策調査会長、幹事長などを歴任し、2004年5月代表に就任。直後の参議院選挙では自民党を上回る改選議席を獲得するが、05年9月の衆議院選挙で政権交代を果たせず、代表を辞任。現在、民主党副代表。
基調講演
こんにちは、民主党の現副代表の岡田克也です。
私が民主党で代表・幹事長を勤めた時期は小泉政権の時代と重なり、日中関係にとってあまり良い時代ではありませんでした。
ちょうど中国の若者たちが日本領事館に投石した直後に、私は国会で小泉首相と党首討論を行いました。そのとき私は、日本の象徴である領事館への投石は許せないが、日本側にも反省すべきところもあるのではないかと主張しました。当時多くの人々から批判されましたが、今思えば、自分の主張が妥当だったと多くの人に認めてもらえるだろうと思います。
安倍総理は日中関係改善の意欲を示しているので、その点に関して私は率直に評価したいと思います。しかし、具体的議論はこれからであり、各論においても日中両国がしっかり議論して当面の課題について答えを見出していくことが重要であります。
また、このたびの参院選では民主党など野党が多数を占めました。それから、昨日スタートした安倍改造政権では、私の先輩である町村さんが外相になりました。
政党を問わず、こうしたニュースが日中関係にプラスになることを願っています。
こういう厳しい日中関係において経済交流が進んだことは特筆すべきことです。製造の拠点、市場として重要性を増してきた中国ですが、中国にとっても日本の市場の重要性は増しています。経済面において、私はそう大きな心配はしておりません。
ただ、政治・安全保障が問題であり、この分野におけるしっかりした交流が必要です。
日中関係を考える上で、お互いがお互いを必要としているという認識を持つことが大切です。中国なしの日本は考えられません。中長期的な視点で、アジアの中の日中関係、世界の中の日中関係という視点で日中関係を考えていくことが必要だと考えています。
21世紀はアジアの時代と確信しています。平和で豊かなアジアを作り上げ、その中で日本の平和と豊かさを実現することが日本の政治家の課題です。その際に、日中それぞれがお互い強い国を目指して覇権を目指していくことはお互い、そしてアジア、世界にとってプラスではありません。
中国から見れば、日本の防衛白書が気になるかもしれませんが、日本から見れば中国の軍事力の増強、そしてその不透明性に懸念をもたざるをえません。情報交流、相互交流によるお互いの懸念なくすための努力が必要です。長期的には在日米軍を含め、日中双方が軍縮できる環境を作り出していくことが重要です。軍拡競争は避けるべきです。
また、偏狭なナショナリズムについてですが、日中双方の若い世代にその傾向があることはやはり気がかりです。
もちろん、最近改善されつつあることは数字が示していますが、まだまだお互いに対して厳しい意見を持つ若者がたくさんいることは現実です。
やはり両国の若者の間のコミュニケーション会話が大切で、お互いが知り合っていくことで問題を乗り越えていくべきです。この問題は日韓の間にもありますが、ワールドカップサッカーで日韓共催で行った際に日本も、韓国も活躍しました。
そして世界の強豪と戦う韓国チームを日本の若者は自然な気持ちで応援しました。北京オリンピックもぜひ、日中の若者の間が自然な形で応援し合えるようなオリンピックにしたいものだと思っています。
日本は中国、アジアとしっかり協調しながら自分の豊かさを作るべきです。今はその豊かさの基礎を作るべきときです。アジアの中の日中関係、世界の中の日中関係、次の世代のためにその形を作っていきたいと考えています。今日の議論がその日中関係の新しい姿を作るための前進につながることを祈っております。
文責:山下泰静