言論NPOと中国チャイナデイリーおよび北京大学の共催により、「第3回北京-東京フォーラム」が今年もいよいよ幕を開けることとなります。昨年に東京で開催された第2回フォーラムでは、当時の厳しい状況下に置かれた日中関係を改善する動きがそこで生まれ、政府間の外交を補完する民間による「公共外交」の重要性が合意されました。今年は北京に場を移し、日中間の課題だけでなく、アジアの未来をともに創る議論の場として「公共外交」をさらに機能させていくことを私たちは考えています。
8月28日からのフォーラムの開催に先立ち、前日の夜には会場の昆侖飯店(クンルンホテル)に日中両国の参加者が集い、チャイナデイリー、北京大学、言論NPO主催によるレセプションが開催されました。
チャイナデイリーの張銘氏の司会で会は進行し、最初に同氏より、このフォーラムが民間外交、公共外交の重要なチャネルとして発展し、日中両国で大きく注目を集めていること、中日関係の現状を確認し、将来を展望する議論の形成を図っていきたいとの認識が示されました。
次に、両国の来賓として、日本側からは、在中国日本国大使の宮本雄二氏、新日中友好21世紀委員会日本側座長の小林陽太郎氏、元防衛庁長官で衆議院議員の中谷元氏、衆議院議員の上田勇氏、衆議院議員の竹下亘氏、日銀副総裁の武藤敏郎氏、三菱東京UFJ銀行会長の三木繁光氏などが、中国側からは、全国政治協商会議外事委員会副主任の趙啓正氏、中国外交学院院長の呉建民氏などが紹介されました。
最初に挨拶に立ったチャイナデイリー総編集長の朱霊氏からは、中日の戦略的互恵関係から、さらにアジアの未来を開く場として、このフォーラムでは小異を捨てて大同につき、胸襟を開いて意見交換を深めることへの期待が表明されました。
次に、言論NPOの代表工藤は、8月という日中両国にとって特別の月をアジアを考える月にすべく同月での開催を期したこと、しかし、それゆえに、今年も日本の新内閣の組閣の日に重なるなど、数々の日程上の困難に直面してきたこと、それにも関わらず今年は、日本から60人あまりがこの場を訪れ、北京在住の聴衆も含め170人の日本人の参加をみたことは、このフォーラムに日本の有識者がいかに大きな期待を抱いているかを示すものであることを述べました。
また、昨年の第2回フォーラムは、まさに駐日中国大使の王毅氏が当時、「歴史を変えた」と表現したとおり、その直後に日中首脳会談が実現し、首脳の相互訪問が動き出しましたが、同氏が「歴史を創るのはこれから」としたように、この場で今年も全力で議論し、真剣に日中やアジアの未来に向けた課題に向かい合いたいとしました。そして、アジアの未来を築くのは民であり、それは個人が担うべきものであって、このフォーラムをその対話のチャネルに発展させたいとして挨拶を結びました。
次に、趙啓正氏は、これまで3回にわたって主催3団体が日中同時で実施してきた世論調査は、中国の人々が真剣に中日関係を考える上で大きな意味があったとして、中国の若者が盲目に走ることなく考える機会を与えていることの重要性を指摘しました。そして、日本側がこのフォーラムに蒼々たるメンバーをそろえたことについて強い感銘を受けていること、中国の指導者にここでの議論の内容を直結させる旨を述べました。
次に、小林陽太郎氏からは、このフォーラムが関係者の努力で成功裏に第3回目を迎えていることは、アジアにおける健全な中日関係の必要性や、二国間にとどまらないアジアという広い視野で物事を考えようとしている人々が両国で増えていることを示すものであるとの挨拶がなされました。
そして、乾杯の音頭をとった北京大学国際関係学院副院長の賈慶国氏からは、フォーラムの主催団体の一つとして、この歴史的なプロセスに参加できることへの謝意などが述べられました。
翌日からのフォーラムを控えたこの会は、セブン銀行の安斎隆社長による日本側各支援者の紹介なども交えながら和気藹々と進み、本格的な議論づくりと相互交流の成功への期待と熱意で会場は盛り上がりました。
それでは、これより、フォーラムでの議論を各分科会の議論も含め、可能な限り皆様にお伝えしていきます。