7月20日(水)、都内ホテルにて、言論NPOの第24回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、中華人民共和国特命全権大使の程永華氏をお招きし、8月21日からの「第7回北京-東京フォーラム」を前に、「これからの日中関係の課題」と題して講演が行われました。今回は、言論NPOのメンバーの他、東京-北京フォーラムの実行委員など30名が出席し、活発な意見交換がなされました。
程大使はまず、現在の日中関係について「この6、7年、一直線というわけにはいかず様々な問題があったが、現在は改善・発展の軌道に乗っていると認識している」と述べ、「今回のフォーラムは中日関係の発展、友好関係の増進のために必ず役割を果たすことができる」と期待を表明。そして昨年の漁船衝突事件は中日関係に大きな傷跡を残したと指摘しつつも、「東日本大震災を受けて、中日両国国民は積極的に隣国同士助け合うという精神を表してきた」と強調しました。
震災後の支援については、温家宝首相の被災地訪問や福島原発のポンプ車「大キリン」、中国国民の義援金募金などの例を挙げ、「このような支援活動は日本においてよい反響を呼び、双方の国民感情が改善されつつある」と指摘、災害後の再建復興事業を通じての協力は両国関係発展のチャンスであり、関係緊密化の舞台になると見通しを語りました。
その上で程大使は、「これからは中日が共通認識を持って力を合わせ、戦略的互恵関係の発展を推進すべく努力を続けていかねばならない」と述べ、そのために「戦略的相互信頼の深化」「実務的な協力の強化」「国民感情の改善」という3つの要素が必要であるとの見解を示しました。とりわけ第一の点に関しては、「善意を持って隣国と付き合い隣国をパートナーとする」「和を尊ぶ」「覇権主義は唱えない」など中国の周辺外交政策の基本を説明し、「共通認識や原則に基づいて問題を処理し、大局を見失ってはいけない」と強く訴えました。また、第2の点に関しては日本製食品の対中輸出・中国人訪日観光客数の回復など日本側の関心事について、両国の交流をスムーズにして適切な措置を執ると述べました。
その後の出席者間での議論では、安全保障や若者の対日感情、震災の中国企業への影響など各分野から本格的な質問や意見が出されたほか、中国の世界戦略や米中関係などにも話題が及び、東京-北京フォーラム本番の前哨戦ともいえる討論となりました。
最後に工藤は、「大使のお話から、日中関係はゼロサムではなく色々なチャネルで問題解決に取り組まなければならないということを改めて感じた。知的で未来志向な議論を継続していくためにも、来月、北京で本音の対話をしっかりと行いたい」と8月のフォーラムへの決意を表明し、本会を締めくくりました。
次回のメンバーフォーラムは内閣官房副長官の福山哲郎氏をお招きし、7月28日に開催される予定です。
7月20日(水)、都内ホテルにて、言論NPOの第24回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、中華人民共和国特命全権大使の程永華氏をお招きし、8月21日からの「第7回北京-東京フォーラム」を前に、「これからの日中関係の課題」と題して講演が行われました。今回は、言論NPOのメンバーの他、東京-北京フォーラムの実行委員など30名が出席し、活発な意見交換がなされました。