8月27日。2005年から年に一回開催されている北京東京フォーラムも今回で第三回目となったが、その第一日目が明日、スタートする。
前夜祭である今日は、明日28日から始まる本格的な議論のための打ち合わせと、主催者であるチャイナデイリー、北京大学、そして言論NPOによる歓迎レセプションが執り行われた。
まず16:00より、明日から議論に参加するパネリストが日本側、中国側に別れ、一時間半にわたってそれぞれ打ち合わせを行った。日本側ではまず、言論NPO代表工藤が 28日の全体会議、分科会に就いての簡単なブリーフィングを行い、その後パネリストがそれぞれの分科会ごとに明日の議論の内容や進行方法について議論を行った。
その後、代表工藤は自らがパネリストとして参加するメディア分科会の席で他のパネリストと顔を合わせ、明日の議論の方向性について意見を交わした。
そこでは、日中間の認識の大半はメディアが作り出しているということを踏まえ、まず世論調査に見られる認識の格差をどう判断するかについて深く議論がなされた。この際に民主主義という概念について中国がどのように考えているのか、日本における先の参院選で、民意がメディアに反映されて選挙という形で政治を変えたということを中国がどう理解するのかについても中国側に聞いてみたい旨の発言があった。体制が異なるのと同様にメディアの使命も異なるという現実の中で、両国のメディアがどのような役割を果たしていくべきかも課題であるとされた。
議論の構成に関しては、前半は、日中世論の認識の齟齬をどう考えるかという観点から議論することが確認された。それに続く後半では、具体的な問題を取り上げて、その問題をどう考えるのかという観点から議論を進めることが確認された。
日本側の司会者を務めるNHKの今井義典氏は、この先、日中関係を良くするにはどうすればよいか、来年につなげる提案を行いたいと述べ、将来的には 互いの国の記事をピックアップし、比較検証をしようと提案してはどうかとの意見も出された。
それぞれの分科会における打ち合わせが終わった後、17:30からは中日双方の打ち合わせが始まった。議論に参加する日本側、中国側双方のパネリストにとって、これが初めての顔合わせの機会である。ここでも六つの分科会にそれぞれ分かれ、分科会全体としてどのような議論を交わすかという点について活発な意見交換が行われていた。
18:30。参加者の議論は盛り上がり始めていたが、次は主催者による歓迎レセプションの時間である。参加者全員が席に着いたところで司会が始まり、日中双方の関係者5名より歓迎の意が表明された。
まず、チャイナデイリー総編集長の朱霊氏が、日中の戦略的互恵関係とアジアの未来についての意見交換をし、両国の理解増進のために議論するこのフォーラムにおいて、胸襟を開いて率直に語り合ってもらいたいと快活に述べると、言論NPO 代表工藤は8月という時期にこのようなフォーラムを開催することの困難さを痛感したと述べつつも、以下のように述べてこの第三回フォーラムにかける強い思いを語った。
「昨年王毅駐日中国大使が述べたように、この民間主催のフォーラムで『日中の歴史が変わった』。しかし、変えたことは変えたが歴史を創るのはこれから。このフォーラムを個人が担うアジアの未来のためのチャネルとして成長させるために、全力で、真剣な議論をしたい」。
これを受けて、全国政治協商会議外事委員会副主任である趙啓正氏も、中日関係の改善にこのフォーラムが果たした役割は無視できないとし、党大会のために中国側メンバーの構成に多少の影響が出ているかもしれないことを指摘しつつも、きちんと、そして完璧にこのフォーラムの成果を中国の指導者に伝えていくと力強く語った。
新日中友好21世紀委員会日本側座長の小林陽太郎氏も、三回のフォーラムが隆盛を極めつつあることは、健全な中日関係を望むことが着実に増えていることを示しているとし、今回のフォーラムの結果を座長として進める委員会の報告の参考にしたいと述べた。
そして最後に、賈慶国・北京大学国際関係学院副院長が会場の参加者に歓迎と感謝の意を表明し、第三回フォーラムの成功を祈念して盛大に乾杯がなされた。
第三回北京東京フォーラムの全体講演は、28日9:00よりスタートする。前回に負けるとも劣らない盛り上がりを見せる本大会は、日中の新たな歴史を創る一歩となるか。前夜祭として盛況のうちに終わった第一日目は、それに大きな期待を抱かせるものとなった。
文責:山下泰静