「第9回 東京-北京フォーラム」報告会 ― 民間外交は日中関係をどう変えたのか

2013年11月08日

「第9回 東京-北京フォーラム」報告会 言論NPOは11月7日、東京・学士会館において、「第9回 東京-北京フォーラム」報告会を開催しました。報告会には本フォーラムの副実行委員長である宮本雄二氏(元駐中国特命全権大使)、同運営委員長の工藤泰志(言論NPO代表)、メディア分科会パネリストの加藤青延氏(NHK解説委員)が出席し、報告を行いました。

 報告会では冒頭で、本日欠席した本フォーラムの実行委員長である明石康氏(国際文化会館理事長)のビデオメッセージが流されました。その中で明石氏は、北京コンセンサスによって「不戦の誓い」をしたことで、「我々は日中の未来のための大きな『宿題』を自分たちに課したことになる」と述べ、今回のフォーラムが新たな日中関係の一歩になったとの認識を示しました。


工藤泰志 続いて、工藤はまず、今回のフォーラムには日中両国から多くの若者が参加していたことを紹介し、「日中関係に新しい流れを感じる対話となった」と述べました。

 さらに、政府間外交が停滞し、緊張が高まる東アジアの中で、民間レベルには北京コンセンサスをまとめるなど冷静な議論も存在することを世界に示した今回のフォーラムは、「過去8回のフォーラムと比べても民間対話としての大きな役割を果たすことができた」と強い手応えを口にしました。

宮本雄二氏(元駐中国特命全権大使) 宮本氏は、日中関係に激しい逆風が吹き荒れる中開催された今回のフォーラムを、「日中両国にとって、日中関係の安定こそが何よりも重要であるという強い信念を持った人々が結集した対話になった」と高く評価。北京コンセンサスはこのような人々の「強い信念の結晶」と述べ、その意義を強調しました。

加藤青延氏(NHK解説委員) 加藤氏は、対話を通じて中国メディアと様々な認識のギャップがあったことを紹介しました。一方で「センセーショナリズム、ポピュリズム、ステレオタイプの否定」などメディア報道のあり方について日中間で共通認識を形成できたことをはじめとして一定の成果があったことも示し、今後もこの対話を継続していくことの必要性について述べました。


 会場からの質疑応答を経て、最後に工藤は、「今回の『不戦の誓い』を日中二国間だけのものではなく、東アジア全体のコンセンサスにしていきたい」と言論NPOの民間外交が目指す今後の方向性について述べました。


 続いて宮本氏は、今回のフォーラムのまさに開催期間中に行われた習近平指導部による座談会「周辺外交工作座談会」において、習近平体制の外交方針が、「民間外交」を積極的に推進していく姿勢に転換したことについて言及し、「間違いなくこのフォーラムが、日中間の民間外交の大きな流れを作った」と力強く語りました。

 その上で、来年東京で開催される第10回東京-北京フォーラムへの強い意欲を示し、報告会を締めくくりました。

言論NPOは11月7日、東京・学士会館において、「第9回 東京-北京フォーラム」報告会を開催しました。報告会には本フォーラムの副実行委員長である宮本雄二氏(元駐中国特命全権大使)、同運営委員長の工藤泰志(言論NPO代表)、メディア分科会パネリストの加藤青延氏(NHK解説委員)が出席し、報告を行いました。